第1章31話:カラミア公国


さて、アネットの街を発つ。


そこからの移動は速かった。


翌日にはブランジェ領を出て、辺境伯領へ。


さらに、その日のうちに、国境の関所にさしかかる。


さすがにキャンピングカーで堂々と衛兵の前に出るわけにはいかないので、下車する。


キャンピングカーをアイテムバッグに収納して、徒歩で関所に向かった。


私が国外追放になったことは衛兵たちにも通達されていたようだ。


問題なく、関所を通してもらえる。


さあ、ここからはカラミア公国だ。


――――カラミア公国。


人口70万人程度の小国。


緑豊かではあるものの、耕地には向かない山が多く、酪農を中心として発達した国だ。


関所を抜けたあとの街道を歩きながら、アリスティが言う。


「無事にランヴェル帝国を出られましたね」


「はい。そこはひと安心ですね」


ここまでくれば、刺客に襲われる心配は激減すると言っていい。


「でも、カラミア公国はランヴェル帝国との関係が深すぎます。ここに定住しても、母上と再会する恐れがあるでしょう」


ランヴェル帝国とカラミア公国は積極的に国交を行っている。


ブランジェ家も、出張でカラミア公国を訪れることが多い。


実家の者たちと鉢合わせになるのは嫌だ。


アリスティが尋ねてくる。


「では、これからどうなさるおつもりですか?」


私は答える。


「カラミア公国の向こうにある、リズニス王国を目指そうと思います」


「リズニス王国、ですか」


カラミア公国の東に位置するリズニス王国は、平和で豊かな国だと知られている。


とりあえずの移動先としては最有力候補となるだろう。


さて、行き先が決まったところで、キャンピングカーの走行を再開しようと思う。


街道から少し離れたところで、キャンピングカーを取り出して乗車する。


カラミア公国は、さっさと抜けてしまおう。


(公国を出るのにそこまで時間はかからないはず……)


カラミア公国は国土面積が小さい国だ。


どれぐらい小さいかというと、日本の半分もないぐらいだ。


端から端までの距離は、日本でいえば、大阪から東京ぐらいの距離だと思う。


それでも馬車なら一週間はかかるだろう。


しかし、キャンピングカーならば1~2日。


まあ寄り道や休憩をするとしても、3日程度で走破できるはずだ。




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