第1章29話:素材を買いまくる!



翌朝。


キャンピングカーの車内で朝食を済ませたあと、アネットの街を訪れた。


アネットの街は領都に次いで繁栄した街だ。


人口は15000人程度。


ちょっとした都市である。


私とアリスティは、仮面をかぶって素材屋へ直行だ。


3つのアイテムバッグを肩にかけて持つ。


なおアイテムバッグの1つにはキャンピングカーを収納している。


――――まずは一番近くの鉱物屋へと訪れた。


現在、私は金貨2万枚を所持している。


日本円にすると2億円。


これだけあれば、好きなだけ素材を買い集めることができるだろう。


というわけで、私は素材を買いまくることにした。


「鉄は全てください。砂鉄でも黄鉄鉱でも構いません」


鉱物屋はカウンターで注文して商品を売ってもらう形式だ。


だから欲しい品物を口頭で挙げていく。


「あと銅と鉛と錫と水銀、硫黄や硝石も欲しいですね。あ、ミスリルもあるじゃないですか。じゃあそれも――――」


私が次々に注文していくと、店主は焦ったように聞いてきた。


「お、おう。そんなに買って大丈夫かい? 特にミスリルなんて、かなり高額だが」


「はい、大丈夫ですよ。というか、まだまだ注文するつもりなんですが」


他にも欲しいものはたくさんある。


バンバン注文していき、膨大な数の注文を終える。


鉱物屋の店主は驚いていたが、やがてフッと微笑んだ。


「こんなに買ってくれるとはな、仮面のお嬢さんよ? こいつはサービスだ。持っていきな」


店主がなんらかの石を投げ渡してくる。


受け取ると……それはコランダムだった。


「コランダム……ですか」


「ああ、よく知ってんな。そいつを加工すれば宝石になるんだよ」


コランダムはルビー、もしくは、サファイアの元となる原石だ。


鋼玉と呼ばれていて、研磨材としても使用できる。


「宝石職人のもとに持っていけば、立派な宝石に変えてもらえるだろう。たくさん買ってくれた礼だ、くれてやる」


「ありがとうございます! ほんとに嬉しいです!」


これは有難かった。


コランダムからはいろんな素材が手に入るからね。


さて、用が済んだので鉱物屋をあとにする。


次の店にいって、買い物を続ける。


木材やレンガや粘土などの建材。


服の素材となる羊毛や綿、リネン、麻、布、糸。


本来、買占めはよくないが……一日だけなら問題ないだろうと思って買いまくっていった。



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