第1章12話:ポーションづくり
(しかしポーションは、買うよりは自作したほうがいいかな)
そのほうが錬金魔法の練習にもなるからね。
アリスティはさらに尋ねてきた。
「あと、これは意見ではなく確認ですが、行き先は決まっておられるのですか?」
「行き先というと、どこの国に行くか、ということですか?」
「はい」
「カラミア公国へ行くつもりです。まあ、そこへ行け、と通告されていますので」
実は、今回の国外追放にはいろいろと決まりがある。
まず、半月という期限。
半月以内に国を出ろ、ということだ。
そして行き先。
これはいま述べた通り、カラミア公国と決まっている。
ブランジェ領→辺境伯領→カラミア公国
という経路での移動命令だ。
まあ、どのみちブランジェ領からすぐにいけるのはカラミア公国しかない。
わざわざ『公国に行け』と通告されなくても、行くつもりではあった。
「ただカラミア公国は、ランヴェル帝国とつながりが深いです。それを考えると、公国に定住するかどうかは決めかねていますね」
私はそう述べた。
公国には帝国の息がかかった者が多い。
だから私は、公国を素通りして、さらに向こう側の国へ行くことも視野に入れていた。
「なるほど。把握いたしました」
アリスティはそう告げた。
続けて言った。
「では最後になりますが……メイドである私に、何か仕事をお与えください」
「え? うーん、そうですね……」
私は悩んだ。
ややあってから、答える。
「私はアイテム錬成に集中したいので、それ以外のことは全面的に任せたいと思いますが、よろしいですか?」
「かしこまりました」
アリスティはそう答えた。
話は終わったので、さっそく私はアイテム錬成の作業に入った。
まずはポーションを作り始める。
ポーションの原理は不明な部分が多い。
そして錬金魔法は、原理を知らないものほど生産が遅くなる性質がある。
だからポーションを1本作るには時間はかかる。
低ランクのものですら2時間も必要なのだ。
(キャンピングカーを1時間で作ったことを考えれば、有り得ない遅さだよね)
もっと高速化ができるはずだ。
というわけで……。
私はポーションについて考察してみることにした。
原理はどうせ考えてもわからない。
だからポーションというアイテムについて、科学的知識からまとめてみることにする。
具体的には、ポーションが水溶液であり化学薬品であると仮定したうえで、知識を整理することにした。
その考察をはじめて30分。
だいたいの整理ができた結果……。
私はポーションを30秒程度で作れるようになっていた。
(まあこんなものでしょうか。欲を言えば10秒以内で作れるようになりたいですが)
考察を深めればもっと早く作れるようになるだろう。
それは今後の課題として……
ひとまず、私は魔草を素材に【低級マナポーション】を作った。
さしあたって20本ほど。
キャンピングカー製作で多少疲れていたので、さっそく低級マナポーションを2本飲んで魔力を回復した。
(回復ポーションも作っておいたほうがいいね)
というわけで薬草を素材にして【低級ポーション】も20本製作する。
さらに低級ポーション3本を素材にして【中級ポーション】を製作。
最終的には低級ポーションが11本。
中級ポーションが3本となった。
一定以上の怪我は、中級ポーションで回復したほうがいい。
できれば上級ポーションもあれば安心だけど……
今の素材と知識では作れなさそうなので諦めた。
いずれ作りたいとは思うけどね。
(よーし、この調子でジャンジャン作っていくよ!)
キャンピングカーで街道を移動しながら、私はアイテム錬成に没頭する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます