特別クラス
俺の目の前に現れた男の人は筋肉質でゴツかった。俺の1.5倍くらい背丈があった。多分一瞬で瞬殺される。そんな予感がした。
「特別クラスに案内させてもらう。こい」
「分かりました」
男の人は大股で歩き出す。俺はそれについていく。それにしても聖徳の廊下の幅が広い。この人四人分でも全然隙間が出来るくらい。まぁ、聖徳自体が大きいのだから納得か。そう思考していると、不意に
「俺は特別クラスの担任ではない」
という。少し悔しそうな顔をしていたので、無難に返す。
「そうなんですか?」
「あぁ、別のクラスの担任だ」
少しキレっぽい口調でそう話す。まぁそうか。この男の人からすれば他のクラスに配属されたのは「特別クラスの生徒を扱いきれない。」と言外に言われているようなものだ。癪に触るんだろう。で、あれば何も言わないほうが言いだろうと勝手に判断する。
俺が何も喋らないことを見て、男の人も黙る。そのまま無言で俺達は教室へ向かう。
しばらくしたところで、男の人が右の方にある教室を見やりながら、俺に話しかける。
「ここが特別クラスの教室だ。」
緊張するなぁ。知ってる人が何人かいるとはいえ、自己紹介とかをする必要がありそうだ。今から少し自己紹介の内容を考える。
「ここまでありがとうございます」
「合図があると思う。それまでここで待て。では俺は行く」
そう俺に伝えると男の人は去って行った。それからしばらくして教室が少しだけうるさくなる。不意にドアが開けられ、スーツに身を包んだ。20台程の若い先生が出てきた。
「準備できてる?」
俺はこれまでの間に一応は自己紹介の筋道を立てておいた。軸があれば話しやすいからだ。
「行けますよ」
「よし!じゃあ入って!」
そういうと、担任は教室の中へと入る。続いて俺も入る。坂上さんに翼、昨日あった男の娘もいる。
俺の姿を確認した一部の方から「えーー」という声が聞こえる。転入生だからといって、女子ではない場合もあるのが現実だ。それと「氷姫と一緒に歩いていた人だ!」という声に別れる。
「では!転入生を紹介しますっ!」
担任は俺の月影壊と言う苗字をでかく黒板に書いていく。なんか恥ずかしいな。思えば、俺達家族は、家を引っ越すことはなかった。家庭がシングルマザーだったからか、そういう経験はない。
「月影壊くんですっ!」
「よろしくお願いします」
「ってことで軽く自己紹介をお願い!」
俺は自分で考えた通りに筋道を立て自己紹介する。クラスの視線が俺に集中する。
「月影壊です。この学校に来る前は普通の学校に通っていました。これから三年程よろしくお願いします」
俺がそういうと周囲から軽くパチバチと聞こえてきて、徐々に拍手の音は大きくなっていった。
「よろしくね!じゃあ君の席は……」
出来れば知っている人の近くがいい。知らない人と一から関係を構成するというのは、どちらかと言えば苦手な方に分類される。
「あそこね!」
担任が指し示した先は、知っている人と誰とも近くない席であった。仕方ないので現実を受け止める。俺の席の隣は女子であった。気弱そうな女の子である。
俺はその子の隣の席に行く。隣人と良い関係を築くため、話しかける。
「よろしく」
「あ、うん。よろしくお願いします」
反応はイマイチであった。何かおかしかったのだろうか。傷つくなぁ。俺は教室の天井を見上げる。
「月影壊くんでしたっ!!分からないことがあったら誰かに教えて貰って!もちろん私でもいいけど!!」
「じゃあ授業をはじめよっか!お昼までは勉学だね!月影くんは、教科書は隣の姫奈ちゃんに見せて貰ってね!!」
担任はそういうと、授業を始めたのだった。
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久しぶりの戦闘シーンが次話で見られます!
頑張って書きますので、楽しみにしておいてください!
星がやっと20個を超えました!
評価してくださった7人の方ありがとうございます!
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