ヴィラン
この話からあと2話ほど視点が入れ代わったりします!お手数をおかけします
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俺こと月影壊は普通の高校に通う、無能力者の高校一年生である。俺が通う高校は普通の学校であり、異能を使えるような人は全校生徒のなかでも20人くらいしかいない。その20人はだいたい雑魚異能やヴィランと戦うのが怖くて普通の高校に来たみたいな人しかいない。
「行ってきまーす」
そう母親につたえ、家を出る。近所のおばちゃんが俺に挨拶をしてくる。それに答えながら馴染みの通学路を通る。今は7月なので、蝉がみんみんと鳴く。高校に行く道にある、コンビニの曲がり角を通ったところで悲鳴が聞こえた。
「きゃぁぁぁーー!!!」
どうせまたヴィランの犯罪である。ただ一応は死なれると目覚めが悪いってことで助けに行こうと全力疾走をする。悲しいことにこの全力疾走ですら、身体強化系の異能力者に二秒もたたず追い抜かれてしまう。それだけ異能を持つ人と持たざる人では差がありすぎる。そう思考しながら走っていると、悲鳴が聞こえた現場に到着した。
野次馬達の間をかい潜り現場をみる。見れば男が炎を纏ながら二十代くらいの女の首にナイフを突きつけている。異能学校の生徒はまだ誰も助けに来ていない。くる前に多分この女の人は死んでしまう。
「助けて!!!」
「はぁー?逃がすわけねーだろ!ガハハ」
「誰でもいい!!!お願い!助けて!!」
この人混みのなかに助ける素振りを見せた人は一人もいない。誰だって自分の命が一番なのだ。
「誰も助けてくれないみたいだな」
「いやー!!いや!!いやぁぁぁ!」
「これ以上近づいたやつは殺す。この女も殺す。」
そういってヴィランは炎のサークルのようなものを作った。俺達は一歩下がる。それをみて、女の人は絶望していた。虚な目で周りを見渡す。その人質の女の人が俺を見たようで実際見ていないかも知れない。でもいつの間にか俺の体は走り出していた。
「その人を離せ!!」
「くくっ。やれるもんならやってみな!!」
ヴィランからだされた炎は俺には向かって行く。炎が俺の目の前に迫る。俺は無能力者だ。炎をどうにかして打ち消すなんてことは出来ない。勝つなんてことは到底無理だ。だからこそ時間稼ぎをして異能学校の生徒や民間のヴィラン対策に当たってくれている人たちを待てばいいと考えていた。
そんな精神ですれすれで地面を転がり、炎を回避する。俺の背中で爆発が起きる。そのまま爆風の勢いで起き上がり、ヴィランにむかって駆け出す。
「っな!?なにも異能を使わずに回避しただと?っち、次はその倍だ」
ヴィランから二つに枝分かれした炎が俺に迫る。至るところの服が焼けちぎれたがこれも転がることで回避する。
「っまたか!お前異能を何故使わない?いや、無いのか?なら何故避けられる?」
ヴィランから打ち出された炎をすれすれで躱す。何故かは分からないが、どこに向かって炎が来るのかが見える。
「っよし!!これなら行ける!!」
本当は民間業者か異能学院の生徒を待つつもりだったが、避けれると確信したので、ヴィランを倒すプランに切り替える。俺は走って至るところに傷が出来つつもヴィランの攻撃を交わしながらヴィランに近づいていく。
「何なんだよ!お前は!!」
その問いを無視し、俺はヴィランの懐に入り込む。思い切り力を込めてヴィランの腹を殴り飛ばす。思えば人を殴ったのもこれが初めてだ。何と言うか気持ち悪い感覚に顔をしかめながら、ヴィランを睨む。拳が少し赤くなる。多分だが、全然効いていないと思う。俺の弱っちい攻撃がヴィランに効くとは到底思えなかった。
「…っ、っかは」
ヴィランは血を吐きながらも、立って見せる。これは想像通りだ。俺も制服がボロボロになり、ちぎれている所には至るところに傷が出来ていた。右手は多分骨折していると思う。直撃はしていないがかすっただけでもダメージがひどい。頭がくらくらして俺は倒れ込む。それから意識が全て飛んでしまった。
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少しだけ情報公開を。このヴィランが何故人質として女性を捕まえていたのか。に関しましては強盗ですね。近くの宝石屋さんから金目のものをポケットに詰め込んでいたわけなんです。このヴィランについての情報が少ないというコメントがありましたので、少しだけ説明させて頂きました!
元々この2話と3話と4話は同じ話で2話としてまとめてさせて頂いていたのですが、分けることになりました。アドバイスをくれた方ありがとうございました!
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