第3話 それでも、幸せ

「痛いっ・・・」

花が指を押さえ、うずくまった。


「大丈夫か?」

急いで駆けつけた与平が心配そうに花の手をとる。


「草の棘がささっただけ・・・」

囁くような声に与平の胸にざわめきが起こる。


夫婦(めおと)になって二年になるというのに。


いまだに花を愛おしく思う自分が恥ずかしくなるほどに。

与平は妻が大好きだったのです。


そんな。

夫の眼差しを見つめ返す花は。


幸せだな、と。

思うのでした。

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