第捌話 デリバリーは話をせずに済むのでスマホアプリが良いです
「朝からバタバタしてたらお腹空いちゃったし、何か食べる?
特にマオちゃんは、こっちへ来てから何も食べていないんじゃないの?」
『その通り何も食べてないから、食べさせてもらえると助かる』
「そうじゃな。確かに多少腹が減った感じがするな」
「とは言え、大したものがないからデリバリーで頼むわね。
何か食べたいものとか、逆にこれはダメっていういものはあるかしら?」
『特にない、強いて言えば量がほしい』
「
「じゃあ、ピザにしましょうか」
と言いつつ、ピザ屋さんのメニューをしまってある棚から取り出してきた。
「ふたりとも、この絵から気になるものはある?」
「う~む、どれもこれも気になる・・・迷うぞ」
『吾は量があれば良い。カナデと魔女が選んだもので良い』
「じゃあ、適当に色んな種類が乗っているやつにしましょうか」
「色んな種類が乗っている?
想像ができぬが奏を信じて間違いなかろう。
奏が良いと思うように用意をしてくれ」
「はいはい。じゃあ、今から注文するわね」
ピザ屋さんのスマホアプリで注文をした。
やっぱりスマホアプリで注文すると、電話するより割引が効くしクーポンも充実しているし、口頭伝達のミスが起きないから良いわよね。
「だいたい30分くらいで届からちょっと待っててね。
それまでの間だけど、マオちゃんもリシュナちゃんみたいにこの国の言葉を覚える?」
『そうだな。たしかにこの世界は魔素が少なく意思疎通の魔法でも疲れるから覚えられるなら覚えたいな』
「だって。リシュナちゃん、教えてあげられる?」
「多分大丈夫じゃと思うが・・・」
「あたしも隣で協力するからやってもらえない?」
「そうじゃな・・・妾がこの国の言葉を習得した方法を伝授してやろう。
と言うことでだ、奏。タブレットを貸してくれ」
「そうね。じゃあ、これでお願いね」
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【ピーンポーン】
「届いたみたいね。ちょっと待ってて」
届くやいなや、すぐに受け取ってふたりの待つ部屋へ戻ると・・・
「奏!いい匂いじゃな!早く食わせろ!」
「カナデさん!早くください!」
リシュナちゃんだけでなく、マオちゃんもすごい勢いで寄ってきた。
「わかったから、ちょっと離れて」
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「『色んな種類が乗っている』と言われてもピンとこんかったが、これは確かに『色んな種類が乗っている』じゃな。
これはどれを食べるか迷ってしまうな」
「ケンカはしないで仲良く食べてよ」
「心得ておる。
それにしても、この丸い肉をスライスしたものが美味いのう。
ほれ、魔王も食ってみよ」
「うん、これは美味しいですね。
魔女の言う通りです」
「良かったわ。ふたりとも口に合ったようで」
ボン・キュッ・ボンの金髪美女とユニセックスながらも100人居たら120人が振り向くに違いない美貌を持つ美人が美味しそうにピザを頬張る姿は眼福です。本当にありがとうございました。
この光景だけでお腹いっぱいと言いたいところではあるけど、生き物なので物理的に何も食べないとやっぱりお腹は減るのよね・・・マルゲリータおいしい。
「昨日のハンバーグも美味かったが、このピザも絶品じゃ」
「カナデさん、こんな美味しいものを給仕させるとは貴族ですか?」
「美味しいなら良かったわ。
あとね、マオちゃん。あたしはただの平民よ」
「そうなのですね。平民でも使用人がいるとは商人ですか?」
「商人でも富豪でもないわ、本当に普通の平民よ。
さっきの人はあたしの使用人じゃなくて、このピザを作っているお店の人よ。
作って配達までしてくれるお店なの。
それにしてもマオちゃん、言葉遣いが変わったわね」
「はい、威厳を出すために口調を尊大にしていましたけど、よくよく考えたらここではそんな事をする必要はないのでこの国の言葉を覚えるのに合わせて、普通の喋り方をしようと思いました」
「たしかに、その方が良いわね。あたしもその口調の方が好きよ」
「ありがとうございます」
「ちょっと待て!奏!
魔王の話し方の方が良いのか!?
妾の話し方はダメか!?」
「ダメってことはないけど、あたしは平民だし偉そうな口調よりは普通の口調の方が良いわね」
「そうか・・・」
リシュナちゃんは急にシュンとしてしまった。
「なに落ち込んでるの。せっかく美味しいものを食べているんだから元気出しなさいって」
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