第漆話 悪いことをしたと思ったらすぐDO☆GE☆ZA

前回のあらすじ。初対面の異世界魔王に匿うよう依頼されました、まる。


ここに居たままで警官隊が制圧しに入ってきたらそれだけでもとんでもないことになるだろうし、第一バスタオルを巻いただけの裸の女は社会的に死ぬし、あたしは社会的に死にたくないので、一旦家に戻ってからじっくり話を聞く事にしようと話を振った。



「とりあえず、ここに居ても警官隊がいつ入ってくるかわからないし一旦あたしの家へ戻りましょう」



「たしかにそれが正解じゃな」



『確かに貴様の言う通りだな。ついていくから誘導してくれ』



「じゃあリシュナちゃん、魔王さんにも服を脱いでもらう?」



『服を脱ぐのは構わんが、何故脱ぐ必要があるのだ?』



「透明にならないと見つかっちゃうじゃない。

 あたし達は透明になるために全裸になったのよ?」



『なるほど、そういうことか。動転していたから今まで気付かなかったが、外に居る者たちに気付かれず出ていくだけなら認識阻害で十分ではないか?』



「あ・・・そ、そうじゃな」



「はひ?


 ・・・リシュナちゃん、もしかしないでも裸になる必要がなかったんじゃない?」



「こ、怖いぞ・・・かなで・・・妾も動転しておったのじゃ、しょうがなかったの・・・じゃ?」



あたしは極めて冷静に話をしているのだけど、リシュナちゃんは何かに対して怯えているので、そっと後ろを振り返ったけど何もなかった。



『ははは、これは愉快だな。世界最強の金色の魔女が怯えているところを拝めるとは』



内心怒っているのは自覚があるけど、こんなふてぶてしいリシュナちゃんを怯えさせるほどの雰囲気になっていた?


ははは、まさかそんなご冗談を・・・と思ってリシュナちゃんの方を向いたら、リシュナちゃんの国でもそんな文化があるのか日本の伝統的謝罪スタイル土下座DO☆GE☆ZAの姿勢で額を床に付けている状態でいた。



「本当にすまぬ!

 すまなかったのじゃ!

 何でもするから許して欲しいのじゃ!」



「さすがにものすごく恥ずかしかったけど、リシュナちゃんがいなかったら解決しなかったんだし許すもなにもないわよ。

 そんなことより早く帰りましょ。魔王さんのことも考えないといけないし」



「そ、そうじゃな。奏がそう言ってくれるなら僥倖じゃ。

 速やかに帰ってこやつの話を聞いてやろうぞ」




帰りは認識阻害の魔法だったので、実際には見えているようだけどバスタオルを巻いただけの裸の女がふたりでも誰にも気付かれずに家へ戻れた。


でも、このバスタオルは勝手に借りてきたものだから返さないといけないのよね・・・




あと、警官隊が取り囲んでいる家がどうなったか知るのが怖いから、勇気が出るまで調べないようにしようと思う・・・




~~~~~~~~~~


「まずは身体を洗わないとね」



『そんな言うほど汚れてないと思うぞ?』



「リシュナちゃんにも言ったのだけど、この国では毎日お風呂に入るのは当たり前なのね。

 だから、匿って欲しいのならあたしの言う通りにしなさい」



少しだけ怒気を含んだ感じで強めに言い含めたら魔王がしゅんとした。



『すまなかった。カナデの言う通りにする・・・

 して、この湯浴み場の使い方を教えてはくれぬか?』



「そうね・・・って、何いきなり脱いでるのよっ!」



魔王がいきなり服を脱ぎ始めたので慌てて腕を掴んで止めようとしたら、勢い余って押し倒してしまった・・・




その時、あたしは大きな間違いに気付いた。



「魔王さん!あなた女の子なの!?」



『ああ、そうだが?』



「ユニセックスな雰囲気だとは思っていたけど、女の子だったとは・・・

 背も高いし身体つきもいいし・・・

 まぁ、いいわ。女の子だというのならあたしも一緒に入って説明してあげるわ。

 そう言えば、魔王としか呼んでなかったけどあなたの名前を教えてもらえる?」



『吾に名はない。魔王は唯一無二の存在ゆえ他と識別するための名など不要なのだ』



「そうなの。でも、なんか肩書で呼ぶのも何だかなぁ・・・名前を付けて良い?」



『別に構わぬ。好きに呼べ』



「そうねぇ・・・じゃあ、安直だけど『マオ』って言うのはどうかしら?

 この国でも女の子に付けられる名前でもあるのよ」



『良いぞ、それで』



「じゃあ、これからはマオちゃんって呼ぶわね」



『了解した』



そんなやり取りのあと、魔王改めマオちゃんとお風呂に入った。


ちなみに、昨夜リシュナちゃんに行ったムダ毛処理のあれこれを繰り返したのは言うまでもない。

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