第4話
彼女が作ったオムライスは母の味がした。
美咲が食器を下げに来た。
ふいに彼女が僕にキスをして来た。
僕はびっくりして「なぜ?」と聞いた。
彼女は「きあら、あなたがキレイだからよ」と言った。
「なんで?なんで?」僕の瞳から一筋の涙が頬を伝った。
美咲は僕を抱きしめていた。
僕の醜い左顔を手で撫でていた。
僕は「ああ、人の手って、こんなに温かかったんだ」
美咲は左顔に口づけをした。
傷が癒えていくようだ。
僕は震えていた。
美咲は「怖くなんかないよ」と笑顔で言った。
美咲は言う「あなたは心のキレイな人、大好きよ」
僕はこんな言葉今まで一度も聞いた事なかったよ。
あの時以来初めて聞いた言葉だ。
それは僕がまだ小さい頃まだ父のDVが無かった頃まだ幸せだった頃母は毎回僕に「きあらは何てキレイなのかしら私に似たのね」と優しく微笑んだ。
美咲はキスをしてきた。とろけるような甘いキス。
彼女は僕のシャツを脱がしてきて僕も彼女の服を脱がしてお互い裸で抱きあった。
その行為は甘美でお互いにむさぼるように高みへと上りつめていった。
こんな事僕には一生縁がないと思っていた。
一生人を愛する事なんてないと思っていた。
僕は忌み嫌われる者ずっとそうだった。
彼女が起きる前に服を着た。
美咲はプロのピアニスト家も裕福だ。
僕たちが結ばれる事なんて決してない。
僕は美咲が眠ってる間に家を出た。
風が強かったので左の顔が見えてしまう。
通りすがりの女が笑っている。
心が痛む。
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