第1章(高校生入学編)
第30話 入学式に行くもテンプレ発生
今日は県立恵松高校の入学式。
今はもう高校の制度が変わってしまい、入学式に先立って探索者の適性検査が行われ、適性があればラビリンス専攻科、適性がないと普通科に振り分けられる。
最初は普通科で、10月に行われる適性検査の後にクラス分けされるはずだったのだが、急遽法律が改定され入学式の時に検査及び本来半年後に行われるクラス分けを行うように変更された。
発端は3月後半から急にラビリンスのランクが上がった事だった。
その数は約3割らしい。
一般に公開されたのは入学式の前日と酷い・・・
2世及び既に探索者登録している者はそのままラビリンス専攻科になる。
僕は知らなくて、学校の正門でその事を告知している教師から聞いた。
受付で合格通知書を見せる。
「淺沼さんですね。二世の方か探索者登録証をお持ちだったりしますか?」
僕は探索者証とカバンの中にコンバットナイフを忍ばせていてそれも見せる。
一般人がそれをすると銃刀法違反だが、探索者証は携帯許可証を兼ねている。
「もうランク4の許可が出ているのですね。1組へどうぞ」
一旦教室に行く。
ガラガラガラと引き戸を引き教室へと入ると既に何人かがいたが、その中に仲本もいた。
女子もいるな。
しかし、何故か女子の1人に睨まれている?
「ようトーマス。お前もう試験以外でラビリンスに入ったんだよな?どこだよ?」
皆が見てくる。
「おはよう仲本君。2日前に風曲の森に入ったよ」
「運のいい奴だよな。俺等3日の午後からシケラビ【試験用ラビリンスの事】に入るところだったのに封鎖されちまってさ、しかも代替えできのう風曲の森で試験をするはずがあそこもランクが上がったとかで閉鎖されちまってよ。今この中で合格しているのはトーマスと委員長だけだぜ?」
仲本君が目線を向けた方をみると、女子に囲まれて話し込んでいる美少女が見え、目が合う。
もしも彼女が眼鏡を掛けたら、正統派学級委員って感じで気品があるのだが、仲本君との話が聞こえていたようだ。
彼女は僕らと同じ高校1年生とは思えないほどに大人びて見え、黒い髪をポニーテールにまとめている。
そのポニーテールはふんわりとした質感で、彼女の若さと清純さを強調しているかのようだ。
ついモフりたくなるような魅惑的な髪だ。
彼女の顔にはまだあどけなさが残っており、笑った時に見せる無邪気な笑顔は周囲の人々を和ませる魅力を持っている。
彼女の瞳は大きく、透明感がありその奥には未来への輝かしい夢が宿っているように思える。
彼女の肌は滑らかで健康的であり、自然な薄桃色の頬は彼女の若々しさを一層引き立てている。
化粧なしでこれは反則だろう。
その美少女の魅力は外見だけではない。
彼女は内面にも正統派の美しさを備えている。
彼女は優れた学生であり、誠実さと努力家の姿勢を持っている。
彼女の柔和な性格は周囲の人々に安心感を与え、彼女の優しさと思いやりは多くの人々の心を打つと思う。
しかし、性格はそうではないのだが、少なくとも表面上からは優等生だと思えてならない。
彼女の未来は明るく、この美少女の成長を見守る事が楽しみだ!と感じる容姿だ。
彼女がさらなる美しさを引き出し、内外の魅力を融合させていく姿は、まるで一冊の感動的な物語を読み進めているような気持ちにさせてくれるのだ。
つまり彼女こそまごう事のない主人公だ。
今目が合った一瞬で僕の心は囚われてしまった?
いや、何処かで見た子だな?それもこの1週間以内に。
買い物をしている時に見たんだったかな!?いや、2度見たような?
「委員長って?」
「そんな雰囲気出てるだろ?なあ、実戦はどうだったんだよ?」
「ははは。一応僕も何体か直接倒したよ。カーヴァントにゴブリンだけを回させたから。ナイトとかは怖くて無理だけど、ゴブリンには僕の経験値になって貰ったよ」
「そんな事も出来るのかよ!?いいなあ!俺も早く入りたいぜ!」
僕が仲本君と話していると委員長さんが来た。
ち、近い・・・
レイラや愛姉と接していなかったらドキドキして声も上ずっただろう。
「貴方ね?シケラビの3階層を攻略したでしょ?あの時見えたのは貴方ね?」
「えっと、初めまして?」
「そうね。何度か見掛けたけど話すのは初めてね。私は渚 友里愛よ(なぎさ ゆりあ)」
「僕は淺沼 斗枡」
「で、どうなのよ?」
「どうなのよと言われても、3階層の奥でゴブリンナイトと10匹程のゴブリンウォーリアが出て、それを倒したら魔法陣が出たんだ。で、魔方陣の中心にあるホールを通って入り口に戻るも監視員がいなくて、しかもラビリンスが封鎖されているって出ていたから慌ててギルドに戻ったんだよね。それがどうかしたの?」
「貴方死にたいの?2階層で異常な魔物の出方をしていたでしょ? 私はコスト1や2のカーヴァントでは太刀打ちできないと判断して、監視員の方にすぐ報告したの。でも誰かが 3階層に降りるのを見たから救援要請したのですけれども、やっぱり貴方だったのね。どうやって ランク1や2のカード達でランク3のナイトなんて倒したのよ?私も念の為と思いウォーリアーを3体引き連れて行ったのですけれども、1体は途中で死んじゃった位なのよ!」
「僕はワーウルフとウォーリアーと残りは6体のゴブリンで行ったよ。 僕のゴブリンの1体が物凄く強いんだ。そのゴブリンのお陰で楽させて貰っただけなんだ。 特殊個体なのかな?でもワーウルフもウォーリアーも瀕死と判断する状態になったから、途中で下げて最後は僕とそのゴブリンだけで戦ったんだ。とは言えゴブリンのうち5体は戦いの途中で死んじゃったけどね」
「まだあるでしょ?」
「うん。父の軍隊仕様のバトルスーツと剣を拝借したんだ。だから装備で勝てたのかもかな?ウォーリアーはスタートパックにあったのだけど、ワーウルフは父のカードから拝借したんだ。それに僕の姿を見たんだったら全身真っ黒だったでしょ?」
「じゃあ風曲の森で見た黒い人も貴方なの?自衛隊員にしては若いと思ったのよね」
「2日前?」
「そうよ。私達逃げろって言ったのに逃げなかった人がいたのよね。やっぱり貴方なのね?何故逃げなかったのよ?あれでもしもアンタが死んでいたら私達一生引きずる所だったのよ」
「あの後・・・」
戸が開き、別の者が入ってきた。
「っち。シケタ奴しかイねぇのか!って美人見っけ!」
「あんたも探索者になるんだろ?なら俺とパーティー組めよ!」
僕はめんどくさいなあと思ったけど、委員長さんはその男が肩に手をやろうとしたのをピシャリと叩いた。
「私この人とお話をしているの。あなたなんかとパーティーを組む位なら、この人と組むわ」
「何だてめぇ!モブはすっこんでろ」
肩を小突かれたが僕はびくともしなかった。
「てめぇ俺様を舐めてんのか?」
「止めておきなさい。この人はランクアップした風曲の森を踏破しているのよ。アンタ程度が何やっても勝てないわよ」
「じゃあこの女を掛けて勝負しやがれ!」
「おっ!トーマス、委員長を賭けて決闘すんのか?いいねぇ!よし!ここは俺が審判をしてやるよ!」
教室にいる者達は面白がって机や椅子を端へとやり、中央に空間を作ったのだった!
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