第17話 スタンピード?

 寝落ちしたのもあり、翌朝早く目が覚めた。

 着替えてからランニングと木刀を振る。

 流石に真剣はすっぽ抜けでもしたら大変なので使わない。

 真剣を振っていると、まあ近所迷惑だし、もし近隣で真剣を振っている人がいたら怖いよね・・・

 だから木刀なんだ。


 今日はラビリンスに入るので軽く汗を流す程度にしている。

 僕が素振りをしていると冬奈も時折一緒にしている。


 冬奈も高校に入ると否応なしに探索者にならなくてはならないので、今のうちに鍛えているんだ。


 もっとも剣術などは誰かに教えられた訳でもないので、ネットや本で見ながら独学でやっている。


 時折竹刀で冬奈と打ち合っている程度だ。

 冬奈は剣道部にて中々の腕前だ。

 あの探索者法案が採択されてすぐに冬奈は剣道部に入っていたりする。


 その後食事をし、食後に探索に行く準備をする。

 カーヴァント3体に着せる服を用意していく。

 僕の体は成長期で、着られなくなった服もそれなりにあり、それを中心にカバンに詰める。


 アレクはヤンチャなヤンキー風。

 ムミムナは真面目そうな美少女で、ゴブリン特有の赤茶けた腰までまでの長い髪。

 ゼッチィーニは・・・ショートカットで闊達なお姉さんチックだ。

 3体共に見目麗しい。

 ゼッチィーニはタンクか。

 父さんの装備に盾があったな。

 剣は手元に2本ある。

 1本はアレク、もう1本はゼッチィーニ行きだな。

 ムミムナと僕はコンバットナイフ。

 父の使っていたのは僕が使う。

 途中ドロップした装備品で充実していこう。


 名前 アレク

 所有者 淺沼 斗升

 種族 ゴブリン

 ジョブ アタッカー

 性別 男

 ランク 1 ι

 レベル 2

 能力

 気配察知

 


 名前 ムミムナ

 所有者 淺沼 斗升

 種族 ゴブリン

 ジョブ ヒーラー

 性別 女

 ランク 1 η

 レベル 2

 能力

 魔法反射



 名前 ゼッチィーニ

 所有者 淺沼 斗升

 種族 ゴブリン

 ジョブ タンク

 性別 女

 ランク 2 θ

 レベル 2

 能力

 シールドバッシュ


 ワーウルフの怪我は結構なものだったから今日は出番なしかな。


 レイラを筆頭に、ゼッチィーニが副長というのはどうかな?

 見た目からするとかなりの知性があると思う。

 血を掛けて直ぐはまだゴブリンっぽかったけど、一夜明けたらレイラのように別の見た目だ。


 ゼッチィーニは粗末な革鎧を着ていたはずだけどどう見ても胸がはち切れんばかりにパッツンパッツンだ。


 ムミムナは既に弾けていて、髪の毛で乳首が見えない感じだ。


 女子から召喚し、アレクは女子の着替えが済んでからかな。


 にしても荷物が大変だよ。

 我ながら後先を考えなかったな。

 今日はランク3のラビリンスに入る事になった。


 愛姉の話から近くのランク2は市街地にあるからか高校生に人気で混むらしい。

 ランク3の方は市街地ではなく、郊外の山の麓にあり、あまり人気がないそうだ。


 なら空いているランク3の方が良さそうだと思い遠い方を選んだんだ。


 母さんは職場に向かったから僕は送って貰えない。

 というか車に乗れないんだよね。

 それもあり1時間に1本出るバスに乗るべくバス停に向かっていた。


 しかし、後ろからクラクションが鳴り、振り向くと愛姉の車が見えた。


「何やっているのよ!何で家にいないのよ!?それにしても荷物が多いわね」


「現地集合じゃなかったの?」


「メール見ていないの?出る時にメールするって昨夜送ったわよ。返事がないからおかしいなと思って予定より早く来てみたらバスで行こうとしていたから驚いたわ」


 僕はスマホを取り出して確認したら・・・何故か迷惑メールに入っていた。


「あっ!何故か迷惑メールに振分けられているよ!何で!?」


「私のアドレスを登録しておくように言ったわよね?やっていなかったの?」


 僕はカードの合成に夢中になり忘れていた。


「あう・・・ごめんなさい。きのうカードの確認をしていたら忘れちゃった」


「もう仕方がないわね。ほらスマホ貸して」


 愛姉が全てやってくれた。

 僕はその間に荷物を後部座席に置いてから助手席に座る。


「さあ行くわよ!」


 ブオン!ブオン!ブオン!キュルルルル!


 いきなりスピンターンでUターンを行い、爆速で向い出す。

 僕の体はレカロシートに保護されてはいるけど、背もたれに体が押し付けられながらヒイェーと唸っていた。


 きのうの愛姉は大人しかったんだけど、今日は本性を出した?

 今時珍しいマニュアル車だったから、おやっ?と思ったんだけど、愛姉はハンドルを握ると人が変わる人だった・・・


 僕は終始引き攣っていたよ。

 人気のないラビリンスとは言え、それなりに人が来る。

 バスで来る人がそこそこいるので、どうやらバスが着く前に辿り着きたかったようだ。

 大した人数ではなくてもバスから降りた人が一斉にラビリンスに入ろうとすると、入り待ちが出来てしまうわとブツブツ言っていたな。

 でもね、50キロ制限の道を100キロ出すのは止めて欲しい。


 確かに探索者は常人より反射神経も身体能力も全て上で、車の操縦能力もF1ドライバーを凌駕するらしいけどさ。


 でもマニュアル車を華麗に操る姿はかっこよかった。

 ただ、飛ばし過ぎはかっこよくないけどそれは黙っておこう!

 クワバラクワバラ・・・


 僕は美女と一緒に死ぬのかな?とビクビクしていたけど、幸い事故る事もなく目的地に到着した。

 ロッカーへ荷物というか貴重品を入れると僕達は探索者カードを翳し、ランク3の風曲の森ラビリンスへと入っていった。

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