第16話 合成

 今日ゲットしたカードはゴブリン8枚、ウォーリアー6枚、ナイト1枚だった。

 僕がゲットしたカードは基本的に売らない。

 それはレイラの事があるし、色々試したいからね。


 今回失ったのはゴブリン4枚。

 最後の部屋で力尽きたようだ。

 最初にペアを組ませ、適当にラビリンスの中へと放り出したんだった。

 初めてのラビリンスでテンパっていたけど3階層へ行き、ナイト達との戦いの時まですっかり忘れていて気が付いたら死亡カードとなっていたんだ。

 ごめんなさい・・・


 カードは何とか回収していたから今は箱に入れており、落ち着いたら供養しようかと思う。

 いきなり死なれた・・・

 皆こういう時にはどうしているのだろうか?

 このゴブリン達が死ぬ瞬間を見ていないし、カードから死亡と分かるけど現実味がまるでない。

 まともに意思疎通ができていないのと、思い入れがないからかな。

 愛姉に聞いてみよう。


 プルルルルー、プルルルルー


「はい璃音です」


「愛姉、僕だけど今良い?」


「あら、もう私が恋しくなったの?」


「いや、真面目な相談にのってもらいたくて」


「ちぇっ。つまらないわね。コホン。ちょっと待ってね。今お花を摘んでいるから少ししたら掛け直すね」


 うーん、トイレに入っているなら出ないで掛け直せばよいのに・・・

 あかん、想像してしまった・・・

 少しして愛姉から電話が掛かってきた。


「ゴメンね。で、何を相談したいの?」


「死んだカーヴァントの対処とか、死亡カードは皆どうしているのかなって」   


「斗升君の性格だと引きずっちゃうかぁ。そうだねぇ、ご飯でも食べながらお話しする?」


「ありがたいけどもうお母さんがご飯を作っているんだ。だからまた明日話に付き合ってもらえたらなと思うけど駄目?」


「分かったわ。でも今言えるのは、余程入れ込んでいるカーヴァント以外が死んだ位で気にしてはダメよという事ね」


「ですよね~。せめて後日供養しようと思います」


「だね。それが良いわ。中には拾わずに放置する人もいるのだけど、それは迷惑行為なの。その辺についても教えるわね」


「愛姉、ありがとう」


「どういたしまして」


 美女との食事を断ってしまった・・・今は考えないようにしようと言うか、悪いけど後日この子達も実験に付き合ってもらおうと、今は集めたカードはいつ死んだかを書いたメモと共に袋に入れている。


 さて、どうしようかなぁと机にカードを並べて思案に耽けっていた。

 一旦死んだカーヴァントの事は忘れよう。


 ウォーリアーは・・・まだ試したくないな。

 ゴブリンだと痛くはないか。

 取り敢えず何となくゴブリンのカードを性別で分ける。

 ただ、怪我をして戻したグヌルスリについては今回何もしない。


  未登録   登録済  死亡

 男  5    3    3

 女  3    3    1

 ウォーリアー

 男  3

 女  3    1


 これまで性別を気にしていなかったけど、実はゼッチィーニはメスだった件。


 レイラの時と同じような事が出来るか試してみよう!

 レイラが正統派美少女になったのもあり、メス、つまりゼッチィーニの変化に期待したい!

 少し考えたが、結局死亡のカードも使う事にした。

 本能?何故かそうしないとと感じたんだ。

 愛姉にはああ言ったけど、僕の好奇心は抑えられなかった。

 今出来る事は今したい!


 死亡カード3枚を上にするとして、未登録、登録済の順で重ねてみよう。

 ひょっとしたら小説やアニメのように生き返るとかあるかもだし。

 もっともカードになった時点で1度死んでいるんだけどね。


 今回は少し反省し、血を瓶に入れてそれを掛ける事にしたんだ。

 先ずはオスのゴブリン11枚だ。


 ハァハァハァ・・・

 指を少し切ろうとして躊躇ってしまった。

 必要な事だと分かってもいるし、チクッとするだけだけど・・・


 フウフウフウ・・・


 落ち着いてから今度はチクッとする。

 ポタポタと血が少しずつ垂れる。

 遅い・・・

 今度はナイフを出した。

 これなら!

 アルコールで消毒して指を切る。

 うん!勢いが倍になった。

 程なくして血が溜まったので、指をギュッと握り止血をする。


 今日愛姉から採血時の止血剤というか、強力な治療薬を分けて貰ったのでそれを塗るとすうっと痛みが消え、傷もあっという間に無くなった。


 凄いな!


 探索者適性者でないと毒だからと、一般人に使うなと言われた。


 血を小瓶に入れ、カードもトレイに乗せてある。

 準備良し!

 行きまーす!


 カードに血を一気に垂らすとちゃんと下まで掛かると一瞬光ったけど、残ったカードは3枚だった。


 1番上は・・・死亡カード

 2番目・・・・死亡カード

 3枚目・・・・死亡カード


 いや待て、3枚目は少し違うな。

 名前とかは死亡したカーヴァントのカードだけど、生きている状態のカードになっているな。


 名前 アレク

 所有者 淺沼 斗升

 種族 ゴブリン

 ジョブ アタッカー

 性別 男

 ランク 1 ι

 レベル 2

 能力

 気配察知

 

 確かレベル2だったよな。

 レベルは引き継ぐのかな?

 こいつは8枚を吸収して9枚分になったのと、死亡したゴブリンのカードの中では1番下にしていたよな。


 取り敢えず今回のような事を合成としよう!

 検証が必要だけど、1度に合成できる死亡カードは1枚?

 又は生きているカードと触れている必要がある?

 今回は1番上と言うのはどうやら関係ないようで、今の段階だと条件を満たした中で1番上にあるカードが合成元になるのか、元のレベル次第か?

 確か死亡したゴブリンのカードはレベルが2だったからどうやら戦闘でレベルが上がっていたようだ。


 まだ血はあるから次に行こう。

 

 死亡カードは真ん中にしよう。


 7枚重ねられているゴブリン(メス)のカードへ血を掛けると・・・1番上というか、1枚残ったのは死亡したカーヴァントのカードだった。


 やはり残ったのは生きているゴブリンのカードだ。


 名前 ムミムナ

 所有者 淺沼 斗升

 種族 ゴブリン

 ジョブ ヒーラー

 性別 女

 ランク 1 η

 レベル 2

 能力

 魔法反射


 残りはウォーリアーだ。

 う~ん・・・

 試すか?試さないか?

 今試したいのは男女のカードが重なるかだ。

 確かゼッチィーニはレベル2だ。

 未登録のカードは例外なくレベル1だよな。


 レイラの事もあり予測が外れなければ、7枚を重ねようとするとゼッチィーニのみ残るはずだ。


 男女混合の場合関係なく重なると思う。

 レイラの時に偶々メスばかりだったなんて無いと思うんだ。

 念の為下にオスにしてゼッチィーニを挟んで未登録(メス)カードを配置しよう。


 ゼッチィーニが戦っている所は見ているから、カードの合成により強くなるのかというか、どれ程強くなったか分かると思う。


 残りの血を掛ける。


 やはりゼッチィーニのみ残った。

 よし、次はゼッチィーニとナイトだ。


 僕の好奇心は止まらない。


 トレイにまだ血が入っているから2枚を血に浸す。

 しかし2枚共残り、ナイトが僕のカードとなっただけだった。


 もうこれ以上は出来ない。

 次にゴブリンとウォーリアーのカードをゲットしたら、今重ねたカードと重ねてみて、更に重なるか見てみたい。


 取り敢えず洗面台でトレイを洗い流し、食事をしてからスマホで情報収集をしていたら寝落ちした・・・


 名前 ゼッチィーニ

 所有者 淺沼 斗升

 種族 ゴブリン

 ジョブ タンク

 性別 女

 ランク 2 θ

 レベル 2

 能力

 シールドバッシュ

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