第13話 買い物
店内は女性向けの装備品を中心に売られていた。
コンビニの店舗程の面積で所狭しと鎧や戦闘向けの服が売られている。
特筆すべきなのは内装はオーソドックスだが、店内の無機質な内装に対して花やリーフを飾ったりと、女性ウケしそうなように工夫されており男が単独で入るには敷居が高い店の作りだ。
そんな中奥から店員?が出てきた。
「あらぁ~愛莉ちゃん久し振りね!ってついに男を作ったのね!って年下には興味ないって言っていなかったかしら?」
「久し振りママ!この子はそういうのじゃないから。斗升君って言って、私が担当になったの。で、今日はカーヴァントに着せる装備品を買いに来たの。予算は20万で、私と背格好が同じ位のゴブリンの女の子用ね」
「ゴブリンのって、いくら大きくても頭1つ低くなかったかしら?」
「その子特殊なのよ。お肌の色が少し緑色なのと目が猫のような感じ以外人間にしか見えないの。あっ!バストは私の方がワンカップ大きいと思うわ」
ドヤ顔の愛姉。
確かにそんな感じだった?ような気がする。
そこから商品を見せてもらったのだが、予算が厳しいのでビキニアーマーを選ぶしかなかった。
皮の服をチョイスして動きやすさを残しつつ中に程々の防御力。
とはいえ最低ランクの防具だ。
女性の駆け出し冒険者が着る最低限の組み合わせ。
流石にビキニアーマー、つまりブラとパンティー姿で戦うなんて普通は恥ずかしくて無理だ。
ふと気になり愛姉に聞いたが、愛姉が現役の頃はビキニアーマーの上に服を羽織っていたと。その服等はマイカーに入っていて、服を着たままだと返り血などを浴びたりと、帰りの服が無くなるからそれ用の服と武器はマイカーに入れている。引退してもスタンピード等で魔物が外に出てきたら自衛はする。
また、愛姉のビキニアーマーは、なんとそれ自体がカーヴァントだった。
つまり、装備用のカーヴァントを装着しているんだ。
でも美人がプルルンするのを見たいけど、この人のは見てはいけないと、何故か魂が警告していた。
この警告の理由とそれが正しかった事は後日分かるのだが、今はまだその時ではない。
この後1度僕の探索に同行したいと言う。
同行する資格は2年目から得られるのだとかで、この4月1日に資格を得たが、この市のギルドにて新規登録した人は1日は1人だけで、他の人が同行した。 で、僕は本年度の2人目だったらしい。
今の段階ではこれが精一杯だろう。
まあ持金が少ないからね。
選び終わるとママと呼ばれるどう見てもオカマバーの店主さんが紹介された。
気の良さそうな男が女装しているようにしか見えない。
「斗升君。この人はヒロミママ。一応生物学的には男だけど、中身は女だから女の子として見てあげてね」
トランスジェンダーに特に思うところはないけど、いくらなんでも30を超えてそうな人に女の子はないだろう?女として接するのは良いけどさ・・・
「あー斗升君?今、ママの事女の子って年じゃないでしょって思ったでしょ?女の子は幾つになっても女の子なのよ。だから私の事も女の子として接するのよ!
僕はその迫力に善処しますとしか言えなかった。
その後色々な店の前に行きラビリンス産の武器防具が売っているビルだと理解しビルを出た後は自宅へ送ってもらった。
取り敢えずランク2のラビリンスを教えてもらい、明日一緒に入る。
至れり尽くせりだ。
それ程二世の力が特別なのだ。
今後の事を考えると僕がどれ位戦えるのか直接見ないとアドバイスがまともに出来ないからだそうだ。
父が0号さん達を引き連れてラビリンスに入ってから約20年が経過している。
この頃は日本は自衛隊のみ、各国も軍隊のみが対処しており、ラビリンスに入り生還した者の数は2割を切っていた。
しかし、0号によりカーヴァントの事が分かると一変し、日本では2年もすると一般人がカードを入手してラビリンスへ入るようになり、彼らは探索者と言われるようになった。
つまり本格的に探索者がラビリンスに入り始めたのは、ラビリンスが現れてから2年後だ。
ラビリンスが現れてから20年。
最初にラビリンスに入った者が子をなしたとすれば今は19歳。
しかし、混乱からその子達がラビリンスに入った者の子だと言うのが理解され、特別視され始めた時にはもう把握できていなかった。
しかし、一部身元のはっきりした探索者の子が異様な探索者適性を見せ、特別な力を持っている事が分かった。
調べると探索者の子が例外なく探索者適正を持ち、何かの力を持っていた。
それが分かったのが3年前。
そして2年前に探索者義務法が可決され今に至る。
現時点で19歳未満の者で15歳以上(中学生は不可)の者が調査対象だった。
しかし、私生児にまで調査がなされず、初期にラビリンスへ入った者の子までは追えなかった。
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