第14話 愛莉の秘密(第三者目線)

 愛莉の父は自衛隊員だった。

 ラビリンスに入った時に母はその隊員の恋人だった。

 名前を愛子という。


 最初にラビリンスに入り、帰還した時に初めて愛し合った。


 そしてその隊員が2度目のラビリンス探索時に、愛子がいる町の近くでスタンピードが発生した。


 魔物が大量にラビリンスの外へ湧き出し、愛子も襲われた。

 当時大学生だった愛子も襲われ、大怪我を負った。


 ゴブリンに襲われ(犯され)殆ど裸になっており、助けられた後に近隣の市にある病院へ搬送された。


 しかし記憶を失っており、その後妊娠が分かった。

 ほぼ裸で保護された為に身元不明者として保護された後愛莉を産んだ。


 女手1つで育てる事になり、記憶喪失から頼れる者がいなかった。

 7年経過し愛莉が6歳の頃記憶を取り戻したが、愛子が愛した男はラビリンスにて1年前に帰らぬ人となり、自衛隊の戦死者リストにあった。


 そんな愛子は両親の下に身を寄せ、愛莉は祖父と祖父母、母の愛を受けてすくすくと育った。


 愛莉が高校に入ると世の中の流れで探索者をせざるを得なかった。 

 仲間の1人に二世がおり、彼は強かった。


 しかし、2年前に彼の慢心からランク6のラビリンスに入り、彼は無惨に散った。

 

 7人パーティーだったが、2人が死に5人が命からがらに脱出したが、愛莉は恐ろしさから探索者を引退した。


 ただ、探索者適性がある者が探索者以外の道に進む事は困難で、母に迷惑が掛かるからとギルド職員になる道を選んだ。

 ギルド職員になるには探索者をしている又はしていた必要があった。


 当時セクハラまがいの面接を受けた。

 移動でもういないが、所長の女になるか二世が現れたら籠絡してそいつの女になり子を産めと。

 はっきりそう言われた訳ではないが、二世が現れたら担当にさせる為に採用すると言われたのはそう言う事だ。


 彼女は誰の子か分からなくなるから他の男と関係を持つなとはっきり言われた。


 市に住む二世のリストを渡されていたが、早速有名な初期の自衛隊員である子である斗升が現れた。


 高校生となる者が1人おり、最短の4月2日に現れたのだ。


 現在の所長は愛莉に命じなかったが、二世の担当になる事を了解し、行動報告さえすればパーティーメンバーとしてラビリンスに入る事を許可すると伝えた。


 この町のギルドに繋ぎ止める贄だと分かっていた。

 幸い斗升はそうだとは思わなかったようだ。

 ただ、流石に二世の扱いは知っていたようで、騒がれたくないからと自ら登録に来た。


 それと専属の職員を充てがわれる程とは思ってもいなかったようで驚いていた。


 不思議な事に弟としか思えず、ついお姉ちゃん風に接した。

 特別な力を持っているのは持っているカードからも直ぐに分かった。

 

 確かにランク1、しかもコスト1のカードにも関わらず異次元の強さだったようだ。

 自衛隊が試験用のラビリンスで探したのは斗枡だと分かった。 

着替えと称して無事に帰還した旨を自衛隊に報告したり、買い取った物のリストからランク3と思われる魔石があったからそう判断した。


 特筆すべきはゴブリンのはずが人にそっくりだった事だ。

 父親が遺したカードの所為だと言っていたが恐らく彼の力でそうなったんだと思った。


 亡くなったあの人も二世だったが、オラオラ系で苦手だった。 

 女癖が悪く、何度も関係を迫られた。

 高校の時に彼氏は作りたくないと頑なに断っていたが、今思えばあのランク6への無謀なチャレンジは格好を付けたかっただけだと思う。


 しかし、不思議と斗升君は接しやすく、しかも他人のような気がせず弟のようにさえ思えた。


 しかし魂からの警告は決して結ばれてはならない相手だと言っているように思えた。


 恐怖から1度はラビリンスを探索する道を諦めたが、斗升君となら再び行ける気がした。


 私がビキニアーマー姿になっても見てもジロジロ見ないかな?

 見られなかったら女としてショックだけどね。


 夕方少し前に斗升君を送っていったけど、本当は夕食もしたかったのよね。

 まあ明日もラビリンスに入るし、私も準備があるので今日は無理だったわ。


 さあ弟君の為に私もひと肌脱ぐわよ!

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