水族館デート、Part 4
水族館のレストランって何を売ってるんだろ? 水族館に関係ある物ってなると……海鮮丼とか? いや、それはちょっと心が痛むわね。
「ねえ、ユズちゃん。レストランってどんなメニューがあるんだろ?」
「え~っと。ちゃんと調べてないけど、ハンバーグとかオムライスとか色んなパンとかあるんだって~。評判もいいみたいだよ♪」
なるほど、けっこう普通っぽい?
「それって水族館じゃなくてもいい気が……」
「リンちゃん~それを言っちゃおしまいだよ~!」
「まあそうだね。まさかお寿司を出すわけにはいかないし」
地引網体験とか漁港見学ツアーなら、お昼ご飯に魚料理が出てきそうだけど、水族館で魚料理は無いよねぇ。
「水族館でお寿司! すっごい新鮮なのが食べられそうだね!」
「ハルちゃん?! 流石に展示品は食べないと思うよ?!」
「そうなの?」
は、ハルちゃんが完全に狩人の眼になってる……! なんでこうなっちゃったの?
「ハルの気持ちも分かる。日々モンスターを倒してるからか『あれって食べ物ドロップするのかな?』って思うよね」
「エイとか見たら『これ倒したら毒針がドロップするのかなあ』って思うよね~」
ハルちゃんがこうなったのは、私の
「……とまあ色々予想しながら来てみた訳だけど」
「なるほど、これは予想してなかったね!」
「こうきたかあ」
「どれもおいしそうだね~」
食材として使われてる海鮮は、海藻類とかタコ、エビくらいで、お魚を使ったような料理は無さそう。それじゃあどうやって水族館らしさを出してるかと言うと、メインディッシュの横にお魚型に切った人参を添えているだけって言うね。
(言い方は悪いけど……『まあ、いい妥協点を見つけたね』って感じ)
とリンちゃんが店員さんに聞こえないよう小声でそう言った。「あはは。そうだねぇ」と私も同意する。
「コホン。それはそれとして、まずは座る場所を決めないとだね。出来れば四人で一緒に座れる場所を確保したいけど……」
「外にあるテラス席なら空いてるよ、けどちょっと暑そうだよねえ……」
「時間帯をずらせばよかったね」
「奥の方は空いてないかなあ~?」
結局、四人一緒に座れる席を確保するまでに20分ほど彷徨う事になってしまった。もっと事前に下調べしておくべきだったかもしれないわね。反省します……。
何食べよっかな? あ、この「焼き海苔のスパゲッティー」っての美味しそう。ドリンクは……水でいいか。
「ヒメちゃんはどれにするのー?」
「これのつもり、ハルちゃんは?」
「ハルはこれ、ハンバーグプレート! ドリンクはフルーツスカッシュってのにするつもりだよ」
「いいね、美味しそうね! ユズちゃんとリンちゃんはまだ悩み中かな?」
「私は決まった。これ、野菜たっぷりカレー」
「私はまだ~。ごめんね、待たせて。先に行っても良いよ~?」
「野菜カレーいいね、夏バテ防止になりそう! あ、全然待ってるとかじゃないよ。焦らせちゃってごめんね。ちなみに今はどれが候補なの?」
「今はエビのオムライスにするか、リンちゃんと同じく野菜たっぷりカレーにするかで悩んでる~。オムライス……いやでもカレーも……」
「あんまりお行儀良くはないけど、分け合いっこする?」
「いいの? じゃあそうする~」
あ、それいいわね。格式ばったレストランじゃあるまいし、分け合いっこしても怒られないよね? ……よね?
「私もオムライス気になってたからちょっと頂いても?」
「ハルもカレー気になってたんだー!」
「もちろん」
「いいよ~」
いろいろ食べた方が楽しいよね!
という訳で食レポのお時間です。まずは私が自分で選んだ「焼き海苔のスパゲッティー」から。ではいただきます。
うん、うん。なるほどね。和風スパゲッティーって感じを予想してたけど、そうじゃないわね? バターを使って、濃く味付けされているみたい。このクセになる油っこさは豚骨ラーメンに近いものを感じる。面白いわね、今度家でも作ってみよ。
「香ばしくていい匂いだね~!」
「そうだね。はい、ユズちゃんも食べてみて!」
「ありがと~、じゃあ私のオムライスもどうぞ~」
「それじゃあいただきます。うんうん、なるほど」
うーんなるほど。良くも悪くも普通のオムライスって感じだね。
エビのオムライスって名前なんだからもう少しゴロゴロとエビが入ってるのかと思ったけど、そうでもなかったのが少し残念かなあ。
でもオムライスにエビを入れるって発想は面白くて好きよ。ソーセージとか鶏肉の代わりって事だよね。これは参考になるわ。
さて、次はハルちゃんが選んだハンバーグプレートを分けてもらおう。へえ、思ったよりおいしいわね! 流石に専門店で出てくるような「切ったら肉汁がジュワー」みたいなのと比べたら劣るけど、普通に平均以上だと思うわ。
最後にリンちゃんの選んだ野菜たっぷりカレー。やっぱり夏はカレーが美味しいわね! ナス、オクラ、トマトなど夏野菜が沢山使われてる点もGood……いやGreatね!
そういえば、ご存じのようにゲーム『ダンジョンはアイドルの(略)』は音ゲー要素のあるRPGな訳だけど、音ゲーやってるとGoodが悪い意味に聞こえない? 「あ、コンボ途切れた」って。え、それはゲームのし過ぎだろって? ……すみません。
うん、いろんな味を楽しんでいるものだから箸が進む進む! 気が付けば全て食べ終わってしまったわ。
「ふう、どれも美味しかったね。ごちそうさまでした」
「「「ごちそうさまでした」」」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます