レベルアップと報酬と
リュウオウ戦でゲットしたのはアイテムと動画だけではない。大量の経験値も取得しており、報酬獲得のアナウンスの少し後にスキル入手のアナウンスが聞こえた。
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「あ、新しいスキルを入手したよ!」
「私も。〈アレンジコスチューム〉だって」
「アレンジかあ~。もしかして、新しいコスチュームを着れるのかな~♪」
「そういう事! これからは色々な服でアイドル活動できるようになるよー! このデフォルトの服装のままだと個性を出せないからね」
世界中の【アイドル】が皆同じ服装だったらつまらないよね。それぞれのグループがオリジナルの服で活動する、それが自然だよね。
ただ、ここで問題になってくるのが、【アイドル】の衣装だってタダじゃないって事。むしろ、作るのが結構大変なのよね。だからこの世界では【アイドル】になったばかりの子は全員共通のデフォルト衣装で活動して、【アイドル】が性に合いそうならオリジナル衣装が解放されるって訳ね。
ゲームでもプレイヤーランク○○で解放されるコンテンツ、みたいなのがあるでしょ? それと似たような感じね。
というような事情を説明した。
「なるほどね~。今まではお試し期間だったって事だね?」
「まあ、そういう事。そもそも【アイドル】の本領発揮は200層以降だからね」
私たちはまだまだ研修生って事だね。
「じゃあ、市販の服を自分たちで選ぶのー?」
「それとも手作り?」
「いい質問だね。市販の服だと権利関係がややこしくなるからダメ。けど、流石に自分たちで衣装を作るには技術が無いから、別の人に依頼するよ。という訳で……今週末にでもミカンさんにお願いしに行こう!」
「なるほど~! って、ええ~! お姉ちゃんが?!」
「そ。今後ミカンさんには私たちの衣装作成をお願いしようと思うの。そこで使うのがスキル〈サポーター指名〉、これはリーダーの私だけが発現しているはず……。みんなは〈アレンジコスチューム〉しか貰ってないよね?」
三人が頷く。やっぱり〈サポーター指名〉はリーダー専用スキルみたいね。
「私はこのタイミングで〈サポーター指名〉ってスキルもゲットしたの。このスキルは【アイテム職人】に対して『自分たちの専属になってください!』ってお願いするスキルなの。お願いされた相手は特殊昇進先の【アイドルサポーター】が解放されるわ」
「つまりお姉ちゃんを専属にするの?」
「うん。専属と言っても、アイドル衣装以外は自由に作って自由に販売できるから、仕事に支障が出ることはないはずだよ」
「なるほど、それなら安心だね~」
「という訳で今週末にでもお願いしに行こっか! ユズちゃん、簡単にこの事を伝えておいてくれる?」
「は~い!」
これにて新スキルについてのお話は終わり。
◆
次は報酬について確認しよう。
「そっか! 動画で忘れてたけど、報酬で『リュウオウ戦の思い出』ってのも貰ってたよね?」
「思い出と言えば、水晶玉みたいなやつだっけ」
「中にアイテムが詰まってるんだよね~」
前はタイパニック号の時に、思い出系アイテムを貰った事があるよね。その時は中に色々なお魚が入っていたのよね。
「今回は何が入ってるのかなーっと」
水晶玉に触れ、中身を取り出したいと念じる。まず一つ目は……。
「これは何と言うか……。マニアックな武器が来たわね。そしてスキル付きみたいね」
「うわあ! 死神が持ってる奴だー!」
一つ目は禍々しい妖気を放つ大鎌だった。別ゲーで使った事はあるけど、ダンジョンアイドルでは使った事がない武器ね。
別ゲーで使った時は「致命攻撃や即死攻撃に長けた武器」って扱いだったけど、実際これってどう使うの? この形状、戦いに向いてない気がするんだけど。
「か、かっこいい……!」
「こ、怖い……」
「「え?」」
リンちゃんとユズちゃんで意見が食い違っていた。
「怖いよ~。ハルちゃんが言うように死神が使ってそうだし……」
「ユズ、前提が間違ってる。死神はモンスター。倒すべき敵」
「そ、そっかあ~。……もしも出てきたら守ってくれる?」
「もちろん」
「えへへ~///」
そしてラブコメが始まった。ほほえまー。
そうだよね、死神は決して怖い存在じゃないよ! 倒せばドロップアイテムになるのだから資源の一種だよね! これは世界共通の常識だよ。(違う)
「そういえばヒメ、スキルが付いてるって言ってたけど、どんな?」
「うん、一つ目はスキル〈荒廃竜の嘆き〉、武器に崩壊属性を付与する魔法みたい」
「「「崩壊属性……?」」」
「基本属性には属さない特殊な属性の一つね。HPを減らすことに特化した属性とされてるわ」
崩壊属性は基本属性に含まれないから、〈マジカルバリア〉で防げないの。だからブレス攻撃でもろにダメージを食らったのね。
そして今言ったように、この属性はHPを減らすことに特化している。だからあのブレスはハルちゃんバリアを一気に削り切れたって事みたい。納得したわ。
本来こういった特殊な属性は200層より上で出現するはずなんだけど……。流石は隠しボスというか、私たちの運が悪かったというか。
いや、結果的には経験値を沢山貰えた訳だし、運が良かったのかな?
「なるほど、そんなカラクリがあったんだね!」
「じゃあ、これを使えば物凄い威力の攻撃ができる?」
「たぶんね。けど私たちの場合、物理攻撃力が高くないから、そんなにダメージは出ないと思うよ? 〈マジカルバースト〉で十分かと」
「それもそっか」
「じゃあ捨てるの~?」
「いや、実はもう一つスキルがあって、そっちは魔法攻撃なのよね。スキル〈荒廃竜の
「それは使えそうだね!」
「だけど【アイドル】らしくないような気がするかなあ~」
そこが問題なのよね。「ふはは、魔物は消え去りなさい~(ゴロゴロピシャーン!)」なんてアイドルではなく魔王の所業よね。まあ、いつか使うかもしれないから、マジックバッグに入れておこう。
「そして、もう一つ装備品が入ってるみたい。これね、えーっとハープかしら?」
それは黄金に輝くハープだった。これはなかなか綺麗ね、美術品としても価値がありそう。
「死神の鎌の次は、天使のハープって事かな?」
「綺麗だね」
「スキルはついてるの~?」
「こっちもスキル付きね。〈再生の希望〉と〈再生の雷〉だって」
再生の希望は普通の回復魔法。ハルちゃんのスキルの下位互換って感じ。再生の雷は幽霊系の敵に対して特攻の魔法攻撃らしい。
「じゃあ、当たり?」
「まあそうだね。普段使いはしないけど、機会があれば使おうかなって感じかな? 他にもまだアイテムが入ってるみたいね。えーっと、音符結晶×100だって」
もちろんその場で使った。
◆
Q. なぜヒメはスキルを使わずとも効果を知れるのですか?
A. そもそもこの世界は、スキルは入手した時点で「ああ、こうやって使うんだな」と分かるようになるという設定です。ただし、大まかな効果が分かったとしても、その詳細は
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