有名な問題
方程式の答えを入力すると、先ほどまでただの岩だと思っていた物が左右に分かれ、間に亀裂が出来た。次へ進むための道ね。
「正解だったみたいね」
「すごーい! このゴゴゴ!って岩が割れるのも、映画みたいでカッコイイね!」
「確かに。けど、これ、急がないと閉ってきたりしない?」
「ええ~?! そうだったら大変、急がないと~!」
という訳で、私たちは急いで狭い通路を進み、一分もかからないうちに広い空間に出る事が出来た。すると、私たちが入ったことを感知したのか、部屋に置いてあったろうそくの火が灯り、その全貌が明らかになった。
「おおー! このろうそくがぱぱぱって灯っていくの、遺跡って感じ!」
「分かる。けど、閉鎖空間で炎は危ないんじゃ? あ、これも魔法の火か」
リンちゃんが言うように、ここで燃えているのは魔法の火だから、一酸化炭素中毒の心配はないよ。
さて、光が灯った場所にいたのは頭が鳥、首より下が人間の石像。体長は2メートルほどあり、威圧感がすごい。
「あ、ピラミッドにいる奴だ! えーっと、スなんとか!」
「私知ってるよ~ スフィンクスだよね~?」
「いや、それを言うならホルス」
ハルちゃんとユズちゃんはエジプトの物は全部スフィンクスだと思っていたのかな……? リンちゃんが言うように、ホルスに近い造形をしているわ。
「とりあえず、目の前にある看板を読んでみよ? ユズちゃん、お願いできる?」
「うん、分かったよ♪ えーっとね……」
“
石像の左右に通路がある。どちらかは正解の道でどちらかは不正解の道だ。どちらが正解か目の前の石像が知っているから聞くとよい。
ただし、その石像はYesかNoを一度しか答えられず、またその石像はランダムで「常に嘘を吐く」か「常に本当のことを言う」が決められている。
”
「だって~! な、なんだか難しそうな問題だよ~!」
という訳で、第一ステージが数学だったから、第二ステージは言葉の問題よ。これは有名な問題だから、答えを知っている人も多いかも?
「ちなみにリンちゃんは答えを知ってる?」
「私は知ってる。ヒメは?」
「もちろん知ってるよ」
「じゃあ、ユズ、ハル。頑張って」
「「ええ~?!」」
◆
「ユズちゃん、分かる……?」
「全く分かんない……。まず問題を整理してみよ~。『質問は一回』『YesかNoしか言わない』『嘘つきかもしれない』ってことだよね?」
「うん、うん。じゃあ……例えば『正解は右?』って聞いたとしたら?」
「駄目だよね。正解が右だとして、正直者なら『Yes』って言うけど、嘘つきなら『No』って言うよね~?」
「そうだよね。きっと回りくどい言い方をするんだよ! 『正解は右じゃないことない?』みたいな。これは違うけど……」
「うんうん。それで、目標は『嘘つきだろうが正直者だろうがYesになる質問』みたいなのを考えないといけないんだよね」
「「うーん」」
……シンキングタイム……
「まっっっったく分かんない!」
「ヒメちゃん~リンちゃん~ヒント~!!」
「ヒント、ねえ。うーん。あ、そうだ。数学で(-1)×(-1)は?」
マイナスの掛け算。中学一年生の最初で習うよね。(-1)×(-1)は……。
「「プラス1」」
になるわよね。
「なるほど。さすがヒメ、いい例えをするね。マイナス×マイナスはプラスなんだ。同じように嘘の嘘は本当」
「「??」」
首をかしげる二人。リンちゃんはかなり核心を突いたことを言ったわね! さあ、ここから答えを導き出せるかな?
……シンキングタイム……
「嘘の嘘は本当……?」
「う~ん? あ! もしかして~!」
手をハイ!と高々と上げるユズちゃん。ユズちゃんが出した答えは……?
「お、ユズちゃん、分かった?」
「うん♪ あなたは『右が正しい道ですか?』と問われると『はい』と答えますか? って聞けばいいんじゃない?!」
右が正しい道
正直者→はい
嘘つき→『右が正しい道ですか?』の答えは嘘をついて『いいえ』になるから、『はいと答えますか?』という質問には『はい』と言う。
左が正しい道
正直者→いいえ
嘘つき→『右が正しい道ですか?』の答えは嘘をついて『はい』になるから、『はいと答えますか?』という質問には『いいえ』と言う。
「すごい! 本当に分かるようになってる!」
「えへへ♪ 噓の嘘は本当って言われたから、嘘の答えに嘘を重ね掛けするようにすればいいって思ったの!」
「じゃあ、早速聞いてみよー! ユズちゃん、どうぞ!」
「うん! 石像さん、あなたは『右が正しい道ですか?』と問われると『はい』と答えますか?」
ユズちゃんが自信満々にそう尋ねた。さて、返事は……。
〔……右っていうのは君たちから見て?〕
「あ、はい。そうです」
〔Yes〕
「「「「……」」」」
いや、あなたYesとNo以外も話せるんかーい!!!
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