バレンタインデーの後日談、Part 2
ボクセル(≒立方体)でできた世界で建築をするゲーム、元居た地球でも似たようなゲームがあった覚えがあるけど、こっちの世界にもあるの。ところどころ違う点があるみたいだけど。
「ゲームモードはどうする~? サバイバル? クリエイティング?」
前者は敵と戦いながら町を開墾する感じのゲームモードで、後者は建築に徹するモード。私はどっちも好きだよ、と伝える。
「ハルもどっちでもー。リンちゃんは?」
「うーん。毎朝ダンジョンで魔物と戦ってるんだし、ゲームの中でまで戦わなくてもいいのでは、と思う。だからクリエに一票」
「「「確かに!」」」
ということで、建築をすることに決まった。お題は「将来こんな家に住みたい」、ダンジョン内のGCショップで買えるスペースにどんな家を作りたいかをみんなで考えて作ることになった。
画面を二分割して、二人でプレイできるみたいだから、画面左でユズちゃんとリンちゃん、画面右でハルちゃんと私がプレイする。
「リンちゃん、リンちゃん! キッチンってこれだと狭いかな?」
「うーん、どうだろ。そもそも、この家は私達四人で住むって設定だよね。だったらそのくらいの広さがあれば十分じゃないかな」
「そっか、確かに~」
ユズちゃん達は内装を作ってもらっている。今はキッチンを作っているみたいね。私は二人に「ダンジョン産の物の中には大きいものもあるから、調理スペースは広い方がいいかも」と伝えた。
「ヒメちゃんー! 見て、プール!」
「いいね! 豪邸と言えばプールだよねー」
「それからここにはヤシの木!」
そしてハルちゃんと私は外を担当している。プールにヤシの木、いかにもお金持ちって感じの家ね。実際に立てるとなると100億円くらいかかりそうな家ね……。まあ、使うのはGCだし、十年後には払えるかな?
「ヤシの木からココナッツが取れるって聞いたんだけど、ほんとなの?」
とハルちゃんが質問してきた。あーちょっとややこしいよね。
「ほんと……と言えば本当だよ。ココナッツはココヤシの実だからね。ただ、ココヤシ以外のヤシも存在するけどね。まあ、ハルちゃんが想像してる、いわゆるヤシの木やココヤシよ」
「そっか! じゃあじゃあ、ココナッツをいっぱい収穫したいね! ココナッツってね、割ったらジュースが入ってるってテレビで言ってたんだ! すごいよねー!」
「あーココナッツジュースの事? あれって実際どんな味なんだろ?」
ジュースって言うくらいだし、甘いのかな? でも、トマトジュースはそんなに甘くないし、「ジュース=甘い」っていうのは間違いだよね。
なんて考えていると、リンちゃんが口を開いてこう言った。
「二人とも勘違いしてそうだから言っておくと、ココナッツジュースは甘くないよ?」
「あ、そうなんだ」
「そ、そんな?! なんで、ジュースって名前なのに?!」
ハルちゃんがとてもショックを受けている。
「そもそもジュースっていうのは『果汁』って言う意味。ブドウジュースみたいに甘くておいしいものはもちろん、レモンを搾ったものもジュースって呼ばれる。ココナッツジュースに関しても、ココナッツの果汁という意味に過ぎず、甘いって事ではない」
「そ、そうなんだ……。でも、自動販売機で買ったココナッツジュースって甘かったよ?」
「それは砂糖が入ってる」
「な、なるほど……。じゃあ、ここにヤシを植えるのは却下だね……」
あ、ハルちゃんにとってヤシの存在意義はココナッツジュースだったんだね。それなら仕方がない、別の作物を植えるべき……いや、ちょっと待って。
「ダンジョンの事だし、本当に甘いココナッツジュースがなるココヤシもあるかも?」
「「!」」
こうして、私たちの家(ゲーム内)のプールにはココヤシが植えられることになった。
◆
「関係ないけど、私の中ではココナッツジュース以外にもあと二つ紛らわしい物があると思ってる」
「なあに、リンちゃん?」
「一つは日本の○○城はシンデレラが住んでそうな『お城』ではないってこと。もう一つは、国立公園は子供たちが遊ぶような『公園』ではないって事」
「「あー、なるほど」」
「え、国立公園っておっきな公園じゃないの?!」
私とユズちゃんは納得するも、ハルちゃんは再びショックを受けていた。
「ここにも勘違いしてる人が一人いたか」
…
……
………
「一応聞いておくけど、ハルは姫路城ってどんなお城か知ってる?」
「それは分かるよー! 屋根は黒っぽい瓦、壁は白い、大きな建物だよね? 小学校の歴史の教科書にも書いてあったし、それは知ってるよ!」
流石にハルちゃんも、日本のお城と西洋風なお城の差については知っていたみたい。
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