遊園地に行きたい? ならダンジョンへGo!

 ハルちゃんの家にて、私たちはのんびりとテレビを見ていた。大阪にある有名テーマパーク、ユニパにできた新エリアの紹介をしている番組だ。


「いいなあ、ユニパ。ハルも行きたいー!」


「確かに楽しそうだよね、でも私達だけで行くのは難しいよね……」


 大阪まで行って、ユニパを満喫するとなると、どうしても向こうで一泊する必要がある。もしくは深夜バスを使うとか? いずれにせよ、女子中学生四人組で行くのはリスキーよね。そもそも、ホテルも取れないはず。

 まあ、私たちは全員【アイドル】だし、一般人相手ならまず負けることはないけどね。だからと言って、宿泊を認めてもらえないだろう。


「ユニパと言えば、修学旅行で行ったりするイメージがあるけど、どうなんだろ?」


「お姉ちゃんはニュージーランドでホームステイって言ってたよ~」


「あー、なるほど。さすがお嬢様学校だね! そっか海外かあ、それも楽しそうね!」


 ユズちゃんのお姉さん、つまりミカンさんはお嬢様学校に特待生で通っているのよね。


「ハルのお兄ちゃんは、高校の修学旅行はユニパだって! 羨ましいー!」


「それは羨ましいね。ちなみに三人はユニパ行ったことある? 私は無いんだけど……」


「ないよ」

「ある。家族と行った」

「ないよ~」


「リンちゃんはあるんだ? どうだった?」


「当時は身長が足りずジェットコースターに乗れなかったから、思い出があまりない。その上、各エリアの元ネタを知らなかったから、何をしに行ったのか本当に分からなかった」


 あーなるほど。大抵の子供なら、その辺りを理解してなくても「非日常な空間」ってだけで楽しめると思うのだけど、リンちゃんは昔から物事を冷静に見る子だったからね。


「もしかして、リンちゃんはユニパは嫌いだったり~?」


「そういう訳ではない。改めて行ってみたいとは思ってる」


「そっか~! じゃあ、いつか一緒に行きたいね♪」


「うん」


 ユズちゃんがさらっとデートの約束をしていた。うんうん、いいね。でも、テーマパークでデートすると別れるって聞いたことがあるんだけど大丈夫かな?

 あーでもあれって待ち時間に会話がなくなるからだっけ? 私たちの場合、女の子同士だし、なんやかんやぺちゃくちゃしゃべって時間をつぶせそう。女の子が三人集まったらかしましい、なんて言うくらいだし。


「そういえば、三人は絶叫系はいけるの? ちなみに、ハルは得意だよ!」


「私は嫌いじゃないけど好きでもないって感じ」

「私も」

「ちょっと苦手かな~。でも、足がぶらぶらしないタイプならいけるかも?」


 なんて話しているうちに、テレビでは新エリアにできるアトラクションの紹介に移っていた。コースターに乗りながら、銃を使って敵を打つゲームみたいね。射的がメインで、ちょっと絶叫って感じのアトラクションみたい。


「これ、楽しそう!」

「うん。確かに楽しそう」

「このくらいなら、そこまで怖くなさそうだし、私でも楽しめるかな~」


 三人は紹介映像に目を輝かせている。


『このエリアがオープンするのは4月27日となっています』


『おー! つまりゴールデンウィークにはオープンしているという事ですね!』


『そうなりますね! ぜひ、今年のゴールデンウィークはユニコーン・ステレオ・パークへ!』



「ゴールデンウィークかあ、絶対混みそう……」


 そう口にする私の顔は引きつっているに違いない。リンちゃんも「うわー」という表情で「人でぎゅうぎゅうになる。確実に」とコメントする。


「順番待ちはいやだなあー。順番待ちせずにアトラクションを楽しむ方法ってないのー?」


「【アイドル】として有名になったら、試乗会に誘われるかもだよ~! ね?」


 ハルちゃんが無茶なことを言うが、ユズちゃんがそれに解決策を提示した。なるほど、有名人になれば試乗会とかに呼ばれるかも……。


「その可能性はあるね。……いや待って。そうだよ、それがあるじゃん!」


 テーマパークに気を取られて忘れていたけど。そうだよ、私たちは【アイドル】じゃない!


「あるよ! 射撃を楽しみつつ、絶叫も楽しめるアトラクションが! 早速明日行こう!」


「「「?」」」


「東京中央ダンジョン83層にある隠しエリア『機械仕掛けの再生産機リポッパー』、そこで似たようなアトラクションを楽しめるの!」




 遊園地に行きたい? ならダンジョンへGo!





◆ あとがき ◆


 本日、現代ファンタジーの週間ランキングで91位になりました!

 これも応援してくださった読者様のおかげです。本当にありがとうございます。


 ちょっとした報告です。今回のストーリーが少し短めになってしまった事へのお詫びと、ランキング入りのお祝いを兼ねて、一時間後の20:05分にもう一話公開します。

 良ければそちらも読んで下さい~。

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