【アイドル】とそのスキル構成
特殊階層をクリアしたことで、私たちは【魔法少女】から【アイドル】になる資格を得た。
「特殊階層のクリアがトリガーだったの?」
「そうだね。もちろんレベルもカンストに達してないとダメだけどね」
ちなみに【アイドル】の獲得条件は以下の四つ。
・魔法少女である
・裏ボスを倒したことがある
・マジカルフィーバでフルコンボを出したことがある
・レベル90(カンスト)に達している
・特殊階層をクリアする
レベルに関してはこの世界に存在するのか分かってないけど……噂によると特別な資格を持っている人は測定してもらえるっぽい? ま、私の場合おおよそのレベルを自分で計算できるし今のままで問題ないけどね。
参考までに、ゲームにおけるレアリティーとレベル上限は次のようになっていた。
Cランク(☆):レベル上限30
【宝石商】など
Bランク(☆☆):レベル上限60
【火術師】、【剣士】など
【アイテム職人】などの生産職もここに分類される
Aランク(☆☆☆):レベル上限90
【魔女っ子】や【魔女】、【剣豪】や【剣聖】などBランク戦闘職の昇進先
【魔法少女】【物理少女】
Sランク(☆☆☆☆):レベル上限120
【アイドル】【ダンサー】(Aランク戦闘職の昇進先)
例えば私のお母さんは元々Bランクの【火術師 Lv.60】だったのが、昇進してAランクの【魔女 Lv.1】になった訳ね。レベルは下がってるけど、ステータスは引き継がれるから安心してね。
これはつまり、【火術師 Lv.60】≒【魔女 Lv.1】≒【魔法少女 Lv.1】という事。言い換えれば、私たちは最初から☆2キャラのカンスト並みのステータスを与えられているという事になる。いかにこの世界がアイドルを優遇しているかがわかるわね。
あ、【魔法少女】と対をなす存在として【物理少女】って言うのもあるけど、こっちも優遇されているわね。ただゲームではあまり取り上げられてなかったから、詳しくは知らないのよね……。
「なるほど、『特殊階層をクリアする』っていう条件が。だから海鮮が欲しいって言ったとき『丁度行きたい場所もあった』って言ったんだ」
「そゆこと。というわけで、早速昇進しよっか!」
「「「うん!」」」
「じゃあ……『私達、アイドルになります!』」
〔
〔
〔
〔
「凄い! スキルを一気に三つも獲得したよ!」
「! ハル、急に耳元で叫ばないで……。それにしても、ロボマネージャーって何」
「〈私の歌を聴いて!〉ってなんだか楽しそうなスキルだね~♪」
さて、三人も気になってそうだし、早速【アイドル】のスキルについて解説していこうかな。
「まずは、はい。ブローチを見てみて」
私はいつもの服装に変身して、胸元のブローチを見せる。
今までなら水色の背景に火の紋章、もしくはオレンジ色の背景に水の紋章だったけど今は違う。アイドルに昇進したことで使える属性が増えたのだ。
「あ! 火じゃなくて雷になってる!」
「それに背景が虹色になってる」
「虹色ってことはもしかして……」
「そう、今私たちは全属性に変身できるわ。火・水・土って感じで」
ぱっぱっぱと私は属性を切り替える。うん、ちゃんと全属性に変身できるね。
「おおー! ってことは、ハルも水属性に? なれた!」
「当たり前だけど、ここでは試し撃ちしないでね。家が壊れるから……」
「分かってるよ!!」
「そして火じゃなくて雷になっていることからも分かるけど、属性が進化したわね。火属性は進化して雷属性に、水は氷に、土は鉱石だね」
「進化!」
「どんなことができるの?」
「今のところはマジカルバースト、マジカルバリアが強化されるだけだね。後々新しいスキルを覚えるからその時までのお楽しみで」
そして次は〈マイク召喚〉と〈私の歌を聴いて!〉について。
「〈マイク召喚〉! っとこんな風にマイクを出すことができるの。みんなもやってみて」
スキルを使用すると、私の手の中にマイクが生成される。私はそれをフリフリしながら三人に見せた。
「「「〈マイク召喚〉」」」
「いいね。そしてこれはただのマイクじゃなくって魔法でできたマイクだからこんな事もできるの。えい!」
私がマイクに念を込めると、マイクの形状が変化する。さっきまで棒状のマイク(ハンドヘルドマイク)だったのが、ヘッドセットマイクに変化した。これで両手を自由に動かせるね。
「形が変わった!」
「?!?!」
「すご~い! 便利だね♪」
リンちゃんが目を真ん丸にして驚いていたのが可愛かった。
「それで〈私の歌を聴いて!〉なんだけど、これは歌う事で音符を出す魔法ね。イメージとしてはマジカルフィーバーに近いかな?」
「音程とかタイミングを外したら失格?」
「うんん、そんなことはないよ。この魔法は途中で意図的に中断しない限り最後まで続くよ。そして、この魔法の真骨頂はマジカルフィーバと併用できる事にあるわ」
「なるほど、さっき船でライブしたときみたいな感じ?」
「そういう事」
歌いながら魔法をぶっ放す。この世界の【アイドル】に近づいてきたね!
最後は〈ロボマネージャー召喚〉についてね。
「〈ロボマネージャー召喚〉」
ピココ、ピココ!
直径30センチくらいの平べったいロボットが召喚された。それはプロペラを持っており、空中をホバリングしている。まあ実はプロペラの回転はただの飾りで本当は魔法で浮いているのだけど。
「「「ドローン?」」」
「に近いね。この子はロボマネージャー、動画撮影と音楽再生をしてくれるの。しかも、ただその場に止まって撮影するだけじゃなくって、一番良い表情が映るように動いてくれるし、さらに動画の編集もしてくれるわ。あと、今はできないけど今後ライブ配信をするようになったらアンチコメントや誹謗中傷を自動カットしてくれたりもする」
まさにマネージャーにふさわしい働きね。……もはやマネージャーの域を超えた活躍をしている気もするがそれはともかく。
「へー。あ、もしかしてこれを使えばダンジョン内でも写真・動画撮影ができるの?!」
「ハルちゃん正解! そう、これでやっと活動を始められるね。さっそく一枚お願いしようかな? みんな、一緒に並んで!」
ピココ、ピココ!
パシャ!
ピコ、ピコ!
「えーっと? あ、そうだ。BlueTeethでスマホと接続しないと写真を見れないんだった」
「「「そんな事もできるの?!」」」
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