養蜂の花園

「ここが23層。『お花畑』なんて呼ばれてるフィールドだよ! 生で見ると、やっぱり綺麗!」


「すっごーー! ハル、ここでピクニックしたい!」

「いつもは辛口評価の私も、これは圧巻としか言いようがない」

「き、綺麗……! こんな場所で結婚式を挙げたい~♪」


 やっぱり三人も女の子、綺麗な景色には目が無いようで。三人とも目を見開いてる。うんん、それ以前に、これは男の人でも感動すると思う。歴戦の剣士であっても、この景色を前にしては戦意を喪失するのではなかろうか。


「うんうん。三人とも気に入ってくれてよかった。けど、ここはダンジョン。ちゃんと敵もいるから、注意しようね」


「敵の種類は?」


「説明するね。まず、このフィールドには何種類かの魔物がコロニーをつくってるの」


・ウリボール:人に突進してくるウリ。おそらく、うり坊(猪の子供)とウリとボールをかけているのだと思う。

・スズメビー:雀サイズのミツバチ

・カピ薔薇:頭から一本の薔薇が咲いているカビバラ

・パニックバード:人を見るとクァー!と鳴き、ランダムな方向に魔法を放つ鳥


「この四種類が東西南北に生息しているの」


「なるほど~、じゃあ私たちはスズメビーがいる西に行くんのね!」


「そういう事!」



「見える? あそこにスズメビーがいるわ」


「あ、あれが……」

「確かに大きい。けど、なんかリアルの蜂よりも可愛く見える」

「なんというか、デフォルメされた蜂のキャラクターみたいだね」


「あはは……」(だってこのゲームの敵、基本的に可愛いタッチで描かれてるし……)


「それはともかく! もうちょっと近づこうか。……ここまで来れば、盾を構えているのが見えるよね?」


「あれは、水の盾?」


「うん。スズメビーはあんな風に属性防御を張っているの。あの子は水属性で防御しているから、火属性で攻撃してもダメージを与えられない。逆に土属性なら大ダメージを与えられるわ」


 再確認だけど、この世界では「水>火>土>水……」というように、三すくみの構造がある。


「じゃあ、私ね~! いっくよ~! 〈マジカルバースト〉♪」



 ぼふん!



「あ、蜂さん爆発しちゃった!」

「ドロップアイテムは何だろ?」

「ハチミツかな~♪」


「ドロップアイテムは、ハチミツが20%くらいで落ちるよ。他は全部はずれだね。あ、ちなみにハチミツは小瓶に入って落ちるはずだよ」


「宝石は?」


「落ちない」


「残念」


 リンちゃんが残念そうな表情をしている。うーん、ゴメンね。文句ならこのゲームを作った人に言って!


「まあまあ。で、今は一匹しかいなかったけど、西の端っこまで行くとスズメビーの巣があるんだ。だから、そこまで行ってみよう!」


……

………


「は、蜂が沢山……」


「攻撃したら、私達目がけて襲い掛かってくるから、対応する属性攻撃をバシバシ撃つよ! 用意はいい?」


「うん!」

「どんとこい」

「大丈夫~!」


「よし。じゃあ、ゲームスタートよ!」



 四匹が順番に飛んできた。水・土・火・土の順番ね。


「まずは私だね~! 〈マジカルバースト〉♪」

「次はハルちゃんお願い」「うん! 〈マジカルバースト〉!」

「次は私。〈マジカルバースト〉」

「最後は私が行くよ! 〈マジカルバースト〉!」


 次は三匹が順番に飛んできた。水・土・水の順番ね。次は、次は……。


「なんだか、リズムゲームみたいだね!」

「なんでこの子達は一匹ずつ飛んでくる? ……バカなの?」

「なんだか楽しいね~♪」


「楽しいなら良かった! やっぱりフラワーガーデンは最高の狩り場ね」


 それからリンちゃん。そういう事は考えちゃいけません。「なんでラスボスが始まりの町に来ないのか」と一緒だよ。




【東京中央ダンジョンの序盤ボス攻略法】


1:匿名のダンジョンインストラクター

ダンジョンインストラクターをしている人間です。

突然ですが、最近ボス戦で四に戻ってくる人が多いので、攻略法について話そうと思います。

よければ見ていってください。


2:匿名さん

楽しみ


3:匿名さん

こういう、本当に役立つのはマジで助かる。


4:匿名さん

トドメツマリの攻略法を知りたいです!


5:匿名のダンジョンインストラクター

まずは下準備から。朝の9時に「ダンジョン店」が開店するのはご存じかと思いますが、そこで必要な事を済ませます。

・ポーションは人数分×5本は用意しましょう。高いですが、ここでケチってはいけません。ボス部屋さえ突破すれば、それ以降は比較的楽なのですから。

・武器のチェックをしましょう。探索者登録をしていれば、タダ同然の価格で受ける事が出来ますので、活用しましょう。

・サクランボトレント対策の火瓶、トドメツマリ対策の目つぶし薬などの対策品は、推奨個数の3倍は揃えましょう。推奨個数は「全て命中させた場合、必要になる個数」です。失敗する可能性も考慮して、最低でも2倍、出来れば3倍の個数を用意しましょう。


6:匿名さん

ポーションをケチるのはマジでダメ絶対。


7:匿名さん

推奨個数は「全て命中させた場合、必要になる個数」

→はじめて知った……



……中略……



21:匿名のダンジョンインストラクター

サクランボトレントの射程距離は10~15メートルです。この距離距離感が曖昧だと、攻略は不可能と言っても過言ではありません。

サクランボトレントがいる場所は、狭い屋内のような空間です。広場での10メートルとボス部屋での10メートルは全然違うという事を知っておきましょう。


22:匿名さん

>>21

これはマジ重要


23:匿名さん

>>21

俺、これでえらい目に合った



……中略……



86:匿名のダンジョンインストラクター

以上のように、ボスは舐めてかかってはほぼ確実に負けます。ボスが何故ボスと言われているか。それは強いからです。その事を十分念頭に置いて、行動するようにしましょう。


87:匿名さん

パチパチー

凄く為になった


88:匿名さん

パチパチパチパチ


89:匿名さん

お疲れさまです! すごく為になりました!



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