第17話 変化

 翌朝、杜若さんに変化が見られた。


「大原くん……おはよう」


 俺の席に近づくと、挨拶してきたのだ。


「おはよう。って、喋っとる!?」

「うん、特訓の成果……かな?」

「良かった。無駄じゃなかったな」


 危うく、俺がセクハラしただけになるところだったぜ。

 杜若さん、今日も鋭い目つきは変わらない。

 蛇に睨まれた蛙のように、俺がゲコゲコ怯んでいると。


「うざ」

「あ、いつも不機嫌・初手ウザいの藤原や!」

「あん?」


 完全にチンピラやないかと呆れると、藤原はご機嫌斜めに着席。脚を組んで、短いスカートから太ももがよく映えた。

 俺は紳士ゆえ、隣の席のJK太ももに慧眼を向けたりしない。美脚ですね。


「きも」


 藤原が心無い一言を放った。

 しかし、彼女はいつも辛辣なのでちっとも傷つかない。ぐすん。


「……っ!」


 杜若さんは、藤原の攻撃性に恐れをなして退散してしまう。


「杜若さんが人に話しかけるとこ、初めて見た。あんた、何したわけ?」

「ふ、抑えられぬ魅力じゃないか?」

「は? 鳥肌立つから、やめて。ほんと、やめて」

「あ、はい。サーセン」


 杜若さんとは異なり、侮蔑の視線を頂戴した。


「大原は、醜態を曝し過ぎ。顔だけに飽き足らず、口までセクハラは自重しなさい」

「オメーはパワハラやめろ! 俺が気弱なボーイなら、もう学校来れねーぞ!」


 杉野高校にイジメはありません。生徒一同、和気あいあいな学校です。

 俺は、さわやか相談室の連絡先を初めて調べることにした。

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