第4話 後日
「また君か。何度言ったら分かるんだね」
フロア中にその声は響き渡った。一瞬、全員視線を向けたがすぐに作業に戻った。しかし、数名の社員は小言を言った。
「また怒られてるよ、あいつ」
「あいつもだけど、部長も懲りないな~」
「部長があいつを叱るのは、ドリーム社の日課だな。でも、いつもと違うみたいだ。」
「しょんぼりしてないね~」
「何かあったのか、あいつ」
岡島に気づかれないように、数名の社員は作業をした。岡島に隣の席の又が声をかけた。
「岡島さん、大丈夫か?」
「又さん。大丈夫です。僕はもう一人じゃないので。そういえば、この間、奥さんにお会いしましたが、ある場所に急いでいて失礼しました。」
「どこに急いでいたの?」
「トイレです。」
岡島は自信を持って言った。又は驚いた顔で見た。業務後、岡島は駆け足で人通りのない公園に行った。
「あそこだ。ルート頼んだ。」
岡島は言った。ルートと呼ばれた相手は岡島の中で答えた。(仕方ナイノウ。最短ルートデ行クゾ。)すると、岡島の体は線状に分かれ、消滅した。(ここで彼らを失うわけにはいかない。)
「我を捕らえられるかな?」
警官が銃を発砲し、敵に命中した。しかし、敵は別の場所から現れた。
「一体どうなってる?」
驚く警官に、敵は嘲笑して言った。
「撃ったのは我の分身だ。我の実体は一つ。さて、見破れるかな?それとも、その前に死ぬかな?」
そこに、もう一人の警官が現れた。
「鮫瓦さん!どこに行ったかと思いましたよ!」
鮫瓦という警官は答えず、銃を構えた。
「見破れなかったな。」
「はっ・・・」
その時、分かれた線状の体が集まり、岡島が現れ、鮫瓦という警官の銃を蹴った。
「しまった!もう一人いたとはな。一度出直そう。」
鮫瓦が意識を失い、倒れるのを警官が支えた。
「鮫瓦さん!しっかりしてください!」
岡島はそれを見て去ろうとした。
「君。君は一体誰だ?」
「僕はオカルト。心霊現象を追うことが趣味の会社員です。」
岡島は線状に分かれ、消滅した。現れたのは、人通りのない公園だった。
「上手くいって安心した。」
(当然ジャ。余ハモウ一人ノオ主同然ジャカラノウ。安心シタラ用ヲ足シタクナラヌカ?)
「そうだ。」
岡島はトイレに駆け込んだ。用を足した岡島は腰に手を当てて言った。
「すっきりした。これでしばらく大丈夫だ。」
(次ノ時マデ束ノ間ノ休息ト行クゾ。)
岡島は頷き、歩き出した。岡島流人、あだ名オカルトと相棒ルートのコンビは、宣託市で起きる心霊現象を追う。近い未来、侵略者の魔の手を防ぐ為に。
トイレの遭難 ソードメニー @sordmany
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