novel.42 天沢家の仲良しの兄弟達

「お姉ちゃん初めまして!天沢 初紀はづきです!小学4年生です!」


 天沢さんの妹さん・初紀ちゃんは私に丁寧な挨拶をしてくれた。私は同じ目線になるように屈んで、笑顔で声をかけた。


「初めまして、初紀ちゃん。私、天沢さ、じゃなくて、一紀お姉ちゃんのお友逹の汐宮聖です。ちゃんと挨拶できて偉いね~」


 私がそう言うと初紀ちゃんは嬉しそうにえへへ、と笑って見せた。小さい子と関わる機会がないので、こんなに近くで見ると何てかわいいんだろう、と胸がきゅんとした。するとまた誰かがリビングに凄い勢いで入ってきた。


「一紀ねぇが友達連れてきたって本当!?」


 そこには天沢さんと似て中性的な顔立ちをした端正な顔の男の子。その子はリビングにはいってくるやいなや、私を凝視した。


「こ、こんばんは、お邪魔してます」


 私が恐る恐るそう言うと、その男の子は


「あ、いえいえ、ゆっくりしていってください。俺、一紀ねぇの友達がどんな人なのか見たかっただけなので。あ、俺、次男の光紀みつきです」


 と、礼儀正しい挨拶をしてくれた。私もそのお礼に応える。すると光紀君は「一紀ねぇにこんなおしとやかな友達がいるなんて信じらねぇ」と言葉をこぼした。その言葉に私が首をかしげていると、天沢さんのお母様が「はいはい」と言った。


「ほら、皆。そんなに集まったらお客様が驚いちゃうでしょう?」


 天沢さんのお母様がそう言うと光紀君があっ、とした顔をした。そうして私に「ゆっくりしていってくださいね~」と言って、初紀ちゃんを連れてリビングを出ていった。春紀さんもそのままどこかに行ってしまった。すると天沢さんのお母様が


「ごめんなさいねぇ、騒がしくて。一紀がお友逹連れてきたの初めてだから、皆ビックリしちゃってね」


 と、おっしゃったので私は「いえいえ」と首を振った。


「私の家はこんなに賑やかじゃないので、なんだかとてもほっこりしました。皆仲が良さそうですし......」


「そう~?ならよかった。うちは兄弟仲良く、が家族のルールだから!」


 すると、隣で天沢さんがうなだれていた。


「......すまない、汐宮先輩。特に光紀と初紀が大変失礼をした」


「いいのいいの、初紀ちゃんとってもかわいかったし光紀君も丁寧に挨拶してくれたし......!」


 私はフォローでもなんでもなくただ思ったことを言ったつもりだったのだが、天沢さんは「気を使わせてしまって申し訳ない......」と本当にうなだれていて、もしかして天沢さんからしたら恥ずかしかったのかなぁ......と考えてしまった。

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