人気者の後輩と一つ屋根の下
novel.40 急なお泊りなんて……
「あら~!一紀のお友達?さぁ、どうぞどうぞ上がって!」
「あ、はい!失礼します!」
夜9時、私は天沢さんの家に来ていて、天沢さんのお母様にとても歓迎されていた。お母様は嬉しそうに私の手を握った。
「まぁ、お友達なんて私、嬉しいわぁ!もしかして今日はお泊まり?是非是非泊っていって!兄弟が多いからうるさいかもしれないけど、お着替えもあるしお夕飯も用意しているから安心してね!あ、まずお夕飯がいいかしら?それとも……」
「母さん、一旦私の部屋に連れて行くから。夕飯の準備しててもらえる?」
「そう?じゃあ準備しておくわね!うふふ、また後で沢山お話ししましょうね~」
そう言って手を振るお母様をよそに、私は天沢さんに手を引っ張られて2階に上がった。しかし天沢さんの家、あまりに広すぎる。一般家庭の家にしてはあまりに広すぎるし、少し豪勢な気もする。私は天沢さんの部屋に案内され、中に入ると思わず言葉を失った。
「すごい、部屋広いね……」
「ああ、無駄にだがな。適当にソファーに腰かけてくれ」
そう言って天沢さんはソファーを進めてくれたので、私は座らせてもらった。天沢さんは適当に鞄を置いて、私の隣に腰かけた。
「すまない、急に泊まりなんて提案して。しつこいようだが親御さんは大丈夫だったか?」
あれから私は天沢さんを家まで送ろうと思い、自分の降りる駅を過ぎて天沢さんの家まで来たのだ。すると家に着いた天沢さんが今から1人で帰るのは危ないから、泊まっていかないか?と提案してきたのだ。
「あ、せっかくの機会だし話すんだけど、私の家お父さんと弟しかいないの。さっき電話したらお父さんすごく心配してたんだけど。同性の後輩の家だから大丈夫って伝えておいた。ごめんね、まだお父さんには天沢さんのこと恋人だって言えなくて……」
「いいんだ、まだ付き合って日も浅いし、汐宮先輩のお父様も急なことだと驚かれるだろう。またちゃんと挨拶しに行きたいしな」
「うん、ありがとう。………あ、天沢さんのお母様には言っておく?」
「……ああ、出来ればいい機会だし紹介だけでもしておきたいんだが。ただ兄弟が多くてな……あまり兄弟には聞かれたくはないんだ」
「わかるなぁ、兄弟にそう言うこと知られるのってなんだか恥ずかしいよね。私も聞かれたら恥ずかしいもん」
私がそう言うと、天沢さんは少し気恥ずかしそうに「……ああ」と答えた。
「でも、天沢さんってご兄弟いたんだね。聞いていいかな?どんな子なの?」
「ああ、兄弟は、多くてな。5人兄弟なんだ。全部揃ってる。社会人の兄と大学生の姉、中学生の弟と小学生の妹。私は真ん中なんだ」
「お、おお………」
なんだか、意外な秘密を知ってしまったようだ。
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