novel.37 追いかけるのだって
「何で怒るの?天沢さんが1番辛い思いをしたのに」
私は今にも落ちそうな天沢さんの手をしっかりと掴んだ。
「雪城さんにもきっと何か考えが会ったのかもしれない。だからまだ捨てられた、と思うのは早いよ。しっかり雪城さんと向き合ってから、それからその事は決めよう」
「........今さら。話に行ったって変わらないと思うぞ。だって私はあの日、確かに聞いたんだ。私のことは嫌いになったかって。そうしたらあの人は、最初から嫌いだったって言っただ。だから考えも何も......」
「そんなの嘘......!」
私は天沢さんの言葉に思わず、そう言い返していた。
「私、雪城さんとは今日初めて会ったし、初めて見たけど、でも雪城さんがそんな人のようには思えないよ!向き合うのが怖いなら、私が先に会いに行くよ?でも今日の雪城さん、どうしても天沢さんに何か言いたげだった気がする。だから、天沢さん......」
その瞬間だった。天沢さんは私の手をぱっ、と振り払った。そうして私を睨み付けていった。
「......はは、何も知らないのに、よくそんなことが言えるな。私はこんなにひどいことをしているのに、笑って許すなんて、どうかしている......」
天沢さんはそう言うとそのまま開いていたドアから電車を降りてしまった。私は急いであとを追いかけようとしてしたが、電車はそのまま発進してしまった。
私は次の駅で降りて、そのまま駅を出た。そうして鞄をしっかりと抱えて、線路を頼りに天沢さんが降りた駅まで走った。あいにく運動は苦手なので走るのは遅いが、天沢さんまだ駅の構内にいるような気がして、その勘だけを頼りに私はただただ走った。駅の構内につくと、私はすぐに駅員さんに声をかけた。
「はあ、はあ、あ、あの、すみ、ません......」
「え?あ、どうしたんだい?そんなに慌てて」
「あの、さっき、ここで降りた女子高生、見てませんか?」
「女子高生?そう言われても学生はよく降りるし......」
「ここの近くの女子高の生徒です!髪はショートカットで、スラッとしてて、こう、なんか、目立つ感じの......」
「ああ、そういえばさっき、駅のトイレにそれっぽい女の子が駆け込んでいったような......」
「ありがとうございます!」
「あ、ちょっと!」
私はその情報を聞いてすぐに駅のトイレを探した。でもトイレは全室空いていて、誰も中にはいなかった。もしかしたらもう外に出たのかもしれない。私は急いで駅の外に出た。
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