第二章 ー自分の気持ちー

《都市中心部 管理センター》


「はぁ、やっとついたわ~」


中央都市に来てから色々あったけど、あたしは目的地である中心部に到着した。あたらめて管理センターを間近で見ると、その大きさと迫力に感心する。

建物の外部はぐるりと水路で囲われており、施設に歩いて入るには、正面ゲート前にある橋を渡るしかないように作られているようだ。

橋を渡り、ゲート前についたところで足を止めた。


〈ピピピッーソチラノカタ、オトマリクダサイ〉


ゲート手前で、人工知能に喋りかけられる。機械音声の案内に従い、あたしは返答していく。


〈住民ライセンスノ確認ト、ゴ要件ヲ伺イマス〉


あたしは左腕の時計を操作し、ホログラムでライセンスを表示した。


「ここに来た内容は、打ち合わせをするため。管理センターへの通行許可は、これで確認して」


ホログラムを、空間上で左にスワイプすると、管理センター内への通行許可書を表示した。


〈ピピッースキャン完了、通行許可ノ確認ヲシマシタ、許可内容ノ条件確認ーーエントランス受付マデオ進ミクダダサイ〉


機械音声が喋り終わると、ゲートを塞いでいた門が消え、あたしは管理センターのエントランスまで歩いていく。芝生が広がる庭を通過し、入口から中に入る。

広々とした空間の中央にある受付へと向かう。


「こんにちは、仕事の打ち合わせで、ここにきました〜」

「こんにちは、本日は管理センターへようこそお越しくださいました。先程内容を確認しましたので、案内人をお呼びします。しばらくお待ちください」


管理センターの受付嬢が、丁寧に対応してくれる。


「お姉さん、あそこの椅子に座って待っていてもいいかしら?」

「はい、どうぞお掛けになってお待ち下さい」


あたしはエントランスに置いてあるソファーへと腰掛け、あらためて室内の様子を確認してみる。目立たないようにしているが、厳重なセキュリティが設置されているのがよくわかる。

のんびりしながら待っていると、受付の奥にある扉が開き、メイドのような制服を着用した、清楚な女性がこちらへと歩いてくる。


「お待たせしました。案内人を務めさせていただきます、ティアナと申します」

「初めまして、白崎です。よろしくお願いします」


ぱっと見は普通の人と何ら変わりないが、瞳の色が赤いので、彼女はおそらくアンドロイドである。高性能なモデルなのだろう。


「それでは会議室へ案内いたしますので、奥のエレベーターまでどうぞ」

「うん、わかったわ~」


あたしはティアナに案内され、エレベーターへと乗り込んだ。


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