俺はドラゴンゾンビ、チーズジャーマンポテトがうんめぇ!

俺はドラゴンゾンビ、不死の肉体を持つ、紫色のドラゴンだ。

別に体が臭いとか、溶けてるとか、そういう訳ではないのだが。

不死のせいか、翼だけは骨だけになっている。

そして長所である不死を利用して、体をはった仕事をしている。

俺は今、映画の撮影で山の奥に来ていた……


ハト監督「はい次、叫びつつ崖から転がっていくシーンね、スタントマンさん、よろしくー」

「……わかりました」


俺は崖の上にスタンバイすると、そこから勢いよく谷底へと転がっていく。


「ドドドドドド……ドラエェェェーーゴンーーン!!!!」

ハト監督「はいOK、そんじゃあ休憩にしましょうか。スタントマンさんも休憩にしてね」

「はい、わかりました」


このくそったれが、俺が不死身だからといってコキ使いやがる。

よくわかんねぇシーン撮りやがって……

ドラゴンって空飛べるんだぞ??まあ俺は翼が骨だから、飛べないんだけどよ〜。

でも、なんでわざわざ落下しなきゃいけねーんだ、チクショウ!!

俺がトボトボと歩いていると、道の真ん中で、一羽の鳥が腕立て伏せをしていた。

その鳥は、ドヤ顔でこっちを向いてきた。


ニワトリ「飛べないドラゴンは……ただの鳥だ……」

「ハァァあぁあぁぁ??なんなのコイツ??焼き鳥にして食っちまうぞゴラァぁぁぁ??!!」

ニワトリ「クックック、お前に俺を捕まえることは、不可能だ!!」


すると、そのニワトリは空へと飛びたった。おいおいマジかよ……普通飛べねぇだろうよ……

はあ、お腹すいたなぁ。そう思っていたら、偶然にも俺は、飲食店を見つける。


「あ、ここって美味しいって評判のお店じゃん。ラッキー」


俺はお店のドアを開けると、中へと入った。

店員さんが、出迎えてくれる。


「いらっしゃいませ〜お一人様ですか〜?」

「ドラゴンゾンビ1体ですけど、いいですか?」

「ええ、大丈夫ですよ。マスター、1体様ご案内で〜す」

「いらっしゃ〜い」


俺は広々とした座敷へと案内されると、席へと座る。

テーブルの横にあった、メニューを手に取って見てみる。

「チーズジャーマンポテト」


うーむ、よくわかないが、ひとまずこれにしよう。

店員を呼ぶと、お水を持ってきてくれた。

そして注文を聞いてくれる。


「ご注文はお決まりですか〜?」

「チーズジャーマンポテトください」

「かしこまりました、チーズジャーマンポテトですね。マスタ〜、オーダ〜でーす」

「はーい」


チーズって事は、やっぱり溶けてるんだよな……食べたら化学反応とかで、俺の体溶けたりしないよな……

いったいどんな料理なんだろ。俺は水を飲みながら、厨房で作る様子を眺めることにした。


ーーーーー


ジャガイモの皮を向き、鍋に入れて茹でていく。

串が通るくらいの柔らかさになったら、ザルにあげて粗熱をとる。

粗熱がとれたら、1cm程度の輪切りにしておく。

次に、フライパンにオリーブオイルを注ぎ、ニンニクのみじん切りを入れ、火にかける。

ニンニクのいい香りがしてきたら、そこに短冊切りにしたベーコンを入れる。

ベーコンに軽く焼き色がついたら、先程のジャガイモを投入し、塩、ブラックペッパーで味を整え、両面を軽く炒める。

火を消し、耐熱容器に移す。

その上に、たっぷりととろけるチーズ(シュレッドタイプ)をまぶし、バターを多めにのせる。

オーブンに入れ、チーズに軽く焦げ目がつくまで焼いていく(約12分)。

オーブンから取り出し、上に細かく刻んだパセリを乗せれれば、完成である。


ーーーーー


「ミーリン〜、できたわ~」

「はーい、今行きま〜す!」


定員が、頼んだ料理をもってきてくれる。

なにあれ、お皿からなんか湯気がでてるし、しかもいい匂い……


「お待たせしました、チーズジャーマンポテトです。お皿が大変熱いので、お気をつけください」

「はい、わかりました」


俺は不死の肉体だ、でも火傷はしたくないからな。

だがなぜだ……さっきからとても良い香りがする……

俺って………嗅覚あったっけ?まあいいや

ひとまずこのジャガイモを、チーズに絡めて食べてやるぜ。


「ワッツ!?グレードデリィシャス!!!!」


ちくしょう!!!なんて美味さだ!!!

厚みがあるジャガイモの食べごたえに加え、このチーズが相性抜群じゃね!?

しかも時々感じるこの旨味は……ベーコンか!?ベーコンなのか!?

俺はもう一度ジャガイモをチーズに絡めて食べてみる。


「トロっときたあと……ホクっときて……そんでもって………ズドーン!!つまりゴージャスエクセレント!!!?」


俺はもはや、この料理に夢中だった。ジャガイモとベーコンを交互に食べながら、そして時々チーズ………ニンニクと胡椒のパンチ力に加え、この燻製くんせい感とのハイブリット……

でも俺は、ドラゴンとゾンビのハイブリットだがな!!!

そして俺はその料理を残さず食べた。

なんだか翼が熱い……骨を落として……肉が生えるぅ!!!!!


「テイク!!!オフ!!!!!」

〈バコォーーーンッ!!〉


唐突に飛びたくなったので、俺はその場から屋根を突き破り、大空へと飛翔した。

俺の翼が……復活したぜ!!!!!

俺は猛烈なスピードで、撮影現場まで飛んでいく。眼の前には、白い鳥がパタパタと飛んでいた。

でもそのまま突き進むぜ!!!


「いくぜぇぇぇぇぇぇ!!!最強ドラゴンゾンビ様だぁぁぁぁぁ!!どけやコラぁぁぁぁ!」

ニワトリ「ほげぇ!???」

〈ドカンッ!!ピューーーー……〉

ニワトリ「あ〜〜〜〜〜れ〜〜〜〜」


弾いた鳥が、空の彼方へと飛んでいき、星になった。


「なんだ、さっきのニワトリか。俺に感謝しろよ、おかげでスターになれたんだからな!!」


俺はあっという間に、撮影現場まで戻ってきた。

思いつきで、なんとなくブレスを吐くことにした。


ハト監督「あれ?スタントマンさん、飛べたの?」

「吹き飛べ!!ガーリック×ドラゴンブレス!!!ンゴォォォォォ!!」

〈ピューーーーーーー〉

ハト監督「あの息くっさ!!」


監督までも、スターにしてしまうこの力……

でも俺は、この力を正しい事に使ってみせるよ……

ありがとう、マスター!!

本当のスターって奴は、心の中で輝き続けるから!!


ーーーーー


「マスタ〜、天井に刺さったこの骨、どうします?」

「うーん、一応忘れ物コーナーに置いておこうかしら?」

さっきのお客さん、興奮するくらい料理が美味しかったのね〜

ある意味、骨抜きになったのね〜



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