小生はブラックシャーク、醤油ラーメンが美味いぜ

「おはようございます!マスター、何を仕込んでいるのですか?」

「今日は醤油ラーメンにしようかと思ってね〜」


ーーーーー


まずはチャーシューの仕込みからだ。

豚バラ肉の固まりに、塩・ブラックペッパーをまぶし、下味をつける。

フライパンで、表面全体に軽く焼き色をつけながら、肉からでてくる余分な油を取り除いていく。

濃口醤油・料理酒・水・砂糖少々・白ネギの青い部分。それらを加えた鍋に、先ほどの豚バラ肉を投入し、落し蓋をしてクツクツとさせながらじっくりと煮込んでいく。

煮込み終わったら、1度火を止め、鍋に入れたまま冷ましておく。


スープを仕込んでいく。

およそ30分以上、鍋の中にだし昆布をつけておき、昆布がしっかりとふやけたら、削り節(混合)を入れ、弱火でじんわりと、時間をかけて沸騰させていく。

そのまま2分ほど沸騰させ、出汁の味見をしながら、濃さを調整する。

火を止め、だし昆布、削り節を鍋から取り除き、1度ボコボコと沸騰さしておく。

鶏の出汁、そしてチャーシューを取り出したあとの煮汁を加え、味見をしながらスープの濃度を調整していく。

海苔、メンマ、刻んだ青ネギを準備すれば。

仕込みは完成である。


ーーーーー


小生しょうせいはブラックシャーク。誇り高きサメだ。

無性にラーメンが食べたくなり。小生はモンスター・タクシーで、美味いと噂される飲食店に向かっているところだ。

小生は誇り高きサメ……だが今日は筋肉痛のせいで体が痛ぇんだ……でもよ、テクノロジーは活用しなければ損だぜ!

気がつけばもう、お店が見えてきたぜ!


「お、タクシーチケットがまだ残っているな。運転手さん、これで頼むぜ!」


小生は支払いを終えると、店のドアを開け中に入る。


「いらっしゃいませ〜おひとり様ですか〜?」

「違うぜ!小生はおひとりサメだ!!」

「かしこまりました。マスター、サメ1匹様でーす」

「いらっしゃーい」


小生はうまそうな娘に、外にあるプールみたいな席へと案内される。

クックック、これが、おもてなしって奴なんだなぁ!!

小生は席へと浸かると、メニューを見てみるぜ。

[醤油ラーメン、チャーシュー増量できます]


麺類だと?小生は魚類だぞ!?分かってねぇ!!

でもお腹が空いたので、食べる事にする。

うまそうな娘が、水を持ってきてくれると、注文を聞いてくれる。


「ご注文はお決まりですか~?」

「醤油ラーメン、チャーシュー増々で」

「かしこまりました、醤油ラーメン、チャーシュー増々ですね。マスター!オーダーで〜す」

「あいよー」


俺は水を席にぶちまけてから飲む。クックック、これが小生の本能だぜ!!

おっと、どうやら厨房の中が丸見えだな。どれどれ、狙いを定めるぜ!!

俺は尻尾の力で席から立ち上がると、厨房の中を見た。


ーーーーー


たっぷりと水が入った鍋を、火にかける。

グツグツと沸騰してきたら、鍋に細い麺を入れ、湯でていく。

湯であがった麺を、しっかりと湯切りし、ラーメンの器に移す。

そこに、メンマ・厚切りにしたチャーシューをたっぷりと乗せ、温めたスープを回し入れる。

軽く胡椒をまぶし、刻んだネギをのせ、器の隅に海苔を添えれば完成だ。


ーーーーー


「へいお待ち〜、ミーリンお願〜い」

「はーい、ただいまー」


小生は席にもどる。うまそうな娘が器に入った醤油ラーメンを持ってきてくれると、席に浮かべてくれる。

その匂いと見た目だけで、おもわずヨダレがでてくるぜ!!


「お待たせしました〜醤油ラーメン、チャーシュー増々で〜す。お熱いので気をつけてくださいね」

「クックック、小生は誇り高きサメ。アグレッシブに食べてやるぜ!!!」


まずはこの、肉片をガブリと食らいつくぜ!!な……これは!!!噛んだ途端、ジュワっと出てくる肉の旨味……そしてトロっと消えてなくなりそうなこの感覚………

まさに……小生にこそ相応しい極上の肉片!!!

次にスープを飲み、トッピングと一緒に麺をすすっていく。


「ーーばかな!この小生にトリハダが立つだと!?」


ただの醤油かと思いきや、どこか懐かしさを感じるこのスープ……

あっさりとしたコクと深みだけじゃねぇ……そこに細い麺が絡んでくるぜ……

メンマが…海苔が…そしてネギが……

弱肉強食のこの器の中で、見事なまでに成り立っているこの生態系……

そしてその頂点に立つのは……小生なのか……

小生はスープまで全て飲み干すと、満足したので飛び跳ねながら家に帰ることにした。


「ーハァ!トゥ!せりゃ!よいしょ!!」


小生は、誇り高きサメだ……だが今は全てを忘れ……水を得た魚になろうではないか……


「マスター、さっきのお客さん、脱皮していったみたいですけど?」

「きっと、生まれ変わったんだわ~」


今日は一匹のサメに、喜んでもらえた。

でも、まさか脱皮するなんてね。不思議だわ〜









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る