ワシはゼウス、カツ丼が美味いわ
ワシはゼウス、みんなから全知全能の神と言われておるよ。
最近そこら辺で戦が始まったんじゃが、興味がなくての〜。
日光も浴びたくないし、とりあえず神殿に引きこもっておるのじゃ。
バンッ!と勢いよく扉が開くと、戦士達がワシの元に駆け寄ってくる。
タケノコマン「ゼウス様!!キノコマン達がすぐ目前まで攻め入っております!!何卒……何卒お力をお貸しくださいませ!!!!」
「ええ〜めんどくさいから嫌じゃ、それに今アニメ見ておるしの。いいところなんじゃよ、じゃからハッキリ言って無理じゃ」
タケノコマン「…………」
ワシはポテトチップスをパリパリと食べながら、アニメ[マッチョ!プリンセス]を見ておる。ホッホッホ、汗水流して戦うシーンは、やっぱり面白いの〜!
アニメを見終わると、ワシはお腹が空いたわい。
冷蔵庫を開けてみると、中には何も入ってなかった。
「うむむ、しょうがないのー。出前でもとるかの〜」
ワシはガラケーを取り出すと、天使達が噂していた、美味しいと評判のお店に電話してみることにする。
〈プルルッープルルーッカチャ〉
「はい、モンスターキッチンです」
「あ〜出前を頼みたいんじゃが、カツ丼ってできるかの?」
「はい、できますよ〜」
「じゃあそれ一つ頂こうかの。住所は天界1丁目、天使通にあるーーー」
「はい、承りました。20分程で配達できると思いますので、お待ちください〜い」
〈バコーンッ!!〉
ワシが電話を切ると、神殿の扉が破壊され、戦士達が入ってくる。
やれやれ、今時の若いもんは、扉の開け方もわからんとは。
キノコマン「はっはっは!!全知全能の神、ゼウスよ!!今日がお前の命日だ!!覚悟するんだな!!」
「おいおい、キノコがワシを倒せると思うわけかの?それよりこれから昼食なんじゃ。とりあえず食べ終わるまで、録画したマッチョ!プリンセスでも見ておいてくれんかの?そこのポテチ食べてていいから」
キノコマン「ん?そこまでゆうなら……仕方ない、見るとしよう」
そうこうしていると、時空のゲートが目の前に現れる。モンスター・イーツが出前を持って来てくれたみたいじゃ。
さすがは評判のお店、配達員も優秀じゃの〜ホッホッホ。
さっそくワシは、カツ丼の入った器の蓋を開ける。
ホホーー…これはこれは、これを作った者は、ただ者ではないの〜。
肉厚なカツに、トロっとした卵。その盛り付け方にも、練度を感じるぞい。
それではまず、この肉厚なカツを頂こうかの。
ワシは箸でカツを掴むと、ガブリとかじる。
「むむむむーーこのゼウスを唸らせるほどの存在とはの……」
肉厚なのに、非常に柔らかくジューシーじゃ……出汁の味を妨害しないよう、上品な下味をつけておる…
お次に、出汁と混ざりあった、卵とご飯をいただく。
ホホーそうくるとはの……濃いめの味付けではあるが、それに負けないくらいの出汁じゃ…カツと食べてもよし、ご飯と食べてもよし……
「このゼウス、久々に面白くなってきたわい…」
器に残ったカツ、出汁、ご飯を、胃袋の中へと納めていく……
このカツ丼、全てにおいて死角がないの〜…ムハハハハハ!!
このカツを作ってくれた者、感謝するぞい!!!!!
ワシは食べながら、だんだんと笑いが込み上げてくるのがわかった…
キノコマン「マッチョ!プリンセス、面白いな〜〜〜」
突然、破壊された扉の向こうから、たけのこマンが叫んでくる。
タケノコマン「ダメだ……キノコマぁぁぁぁぁン!!!逃げるんだぁあああああ!!!」
キノコマン「タケノコじゃん?いきなりどうしたんだ?ゼウスなら今ーー」
〈ビリビリーー…バコォーン!!!!!!!!〉
突如!!ワシの周囲からおびただしい電撃エネルギーが発生する!!そのエネルギーはやがて……強烈な大爆発を引き起こす。
周囲にあるもの、全てが吹き飛んだ。
「ムハハハハハ!!ワシは全知全能なる神!!!ゼウスぞぉぉぉ!!!!!このタケノコとキノコの馬鹿たれどもがぁぁぁぁぁぁ!!!いい加減にせんかぁぁぁ!!!」
ゼウスにより吹っ飛ばされた、たけのこマンときのこマンは、ひどく反省していた。どこかに刺さるまで、彼等は飛ばされ続けるだろう。
たけのこマン「……ほらな?」
きのこマン「早く言ってよぉぉぉぉぉぉ」
ポテトチップス「エェ!?俺もかよ!?」
そしてこれは、その後の話になるのだが。これ以降、タケノコとキノコは争うことはなくなったらしい。そしてゼウスは、ガラケーからスマホに機種変し、毎日サブスクでアニメを楽しんでいるとゆう。
「ホッホッホ、早くスマホにしとけば良かったわい。ググればなんでもわかるし、まさに全知全能じゃ!!」
ーーーーー
「マスター、外になんか刺さってますけど??」
「あら、空からのお中元かしら?」
カツ丼を食べたお客さんは、満足してくれたかしら〜。
食べたらきっと、受験にも合格よ!
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