わたくしはデーモン、オニギリが美味いですわ

わたくしはデーモン、お嬢様でございますの。

今日はわたくし、配下のしもべ達を引き連れて、夜のランニングをしておりますのよ。

美をたしなむ乙女として、地道な努力は必須だと思いますわ!


クマ1「お嬢さま〜待ってくださ〜い」

クマ2「お嬢さま!そっちは崖です!」

クマ3「グレート、ー◻︎⚪︎▷ー、おでん!!」


まったく、体重が増えたわたくしは、今崖っぷちだとゆうのに、呑気なしもべ達ですこと。

でもわたくし、なんだが小腹が空いてきましたわ。


「あら?あんなところにお店がありますわ。何か食べていきましょう」

クマ1「わ〜い〜、やった~」

クマ2「お嬢様、参りましょう!」

クマ3「クマバチン|∵|ハニワ」


わたくしはお店のドアを開けると、中に入りましたの。


「いらっしゃいませ〜お客さま、何名様ですか?」

「あら、わたくしはお嬢様ですのよ?」

クマ1「ぼくはしもべだよ〜」

クマ2「僕はクマだよ!」

クマ3「ごめんクマさい……」


人間の小娘に、席へと案内してもらうと、ちょっぴり優雅なテーブルに座りましたわ。

ホーホッホ!人間の小娘にしては見どころがありますわね!

しもべ達も席へと座ると、わたくしはメニューを手に取りましたの。

[オニギリセット、単品も承ります]


「う〜ん、タラコがいいですわね〜」

クマ1「僕、焼きおにぎりがいいな〜」

クマ2「いやいや、シーチンマヨがいい!!」

クマ3「最強△オニギリ!!」


わたくしは人間の小娘を呼ぶと、水を持ってきてもらい、メニューを聞いてもらいましたの。


「明太子、シーチンマヨ。それと焼きオニギリで、そのセットを2つ、いただけますこと?」

「かしこまりました、それらのオニギリセットを2つですね。マスタ〜、オーダーで〜す」

「あいよー」


わたくしは水を飲み干すと、おかわりを頼みましたの。それにしても、炭水化物を軽食にするのは、まずかったかしら?

作り方が気になった私は、厨房で作る様子を見ることにしましたの。


ーーーーー


事前に2時間半以上給水させてから、炊いたご飯を炊飯器から取り出す。

まずはシーチキンフレークLを缶詰から取り出し、金網のザルに入れ、余分な油を落とす。

油を落とす間、まずは焼きオニギリを作っていく。フライパンに、ごま油を多めにたらり、火にかけておく。

ボウルにご飯を入れ、みりん、濃口醤油、白だし、塩を少々入れ、てばやく混ぜていく。

ホカホカのうちに、三角の形に握っていく。握り終えたやつから、フライパンに乗せ、両面に焦げ目がつくまでじっくりと焼いていく。

次にボウルに入れ、冷ましていたご飯に、マヨネーズをたっぷり加えたシーチキン、塩をいれ、しっかりと混ぜていく。三角に握って、ひとまずお皿の上に置いておく。

最後に、明太子オニギリを作っていく。

たらこは、皮から身だけを取り出し、小さく刻んだ大葉、軽くマヨネーズを加え、軽く混ぜておく。

たらこを包むご飯には、手に塩をつけてから握っていく。

具は中心部にたっぷりと詰めておき、三角に握って置いておく。

三種類のオニギリが準備できたところで、コンロで大判海苔を火で軽く炙っていく。

海苔がパリっとしたところで、それぞれ握っておいたオニギリに、大胆に巻いていく。

それぞれをお皿に盛った後、少量のべったら漬けを添え、完成である。


ーーーーー


「ミーリン、できたわ〜。持っていって〜」

「はーい、すぐ行きま〜す」


人間の小娘が、注文したオニギリを持って来てくれましたわ。丁寧に並んでいるオニギリと、つけ合わせの白い漬物が美味しそう。いけないと分かっていても、食欲をそそってしまいますの。


「お待たせしました〜、オニギリセット2つになりま〜す」

「あら、ごめんあそばせ」


わたくはオニギリセットを一人で食べ。もう一つのセットは、しもべ達にそれぞれ一個づつ分けまて差しあげましたわ。

わたくしはまず、いい匂いのする焼きオニギリを一口。


「ンんん〜〜、香ばしいですわぁ〜〜♪」


重たい味かと思いきや…その予想は大きく裏切られましたわ……

そう、それは体重計の目盛りのよう……

味はしっかりとついているのに、一口一口が軽く、そしてまた焦げた醤油が絶妙ですのよ!

次にわたくしは、シーチキンマヨをかじりましたの。


「王道にも関わらず、この味とは。やりますわね♪」


ふっくらとしたご飯に、パリパリの海苔。これだけでも十分美味しいのに、そこにシーチキンマヨが現れてくる……

まさに、化粧水…乳液…美容液のコンビネーションのごとく……

シンプルながらも、完成されている味ですわね。ここで箸休めに、べったら漬けを食べましたわ。カリカリしてて、口の中をリフレッシュするのに最高でしたわ〜。

最後にわたくしは、明太子オニギリを食べますの。


「ほんと、どれを食べても美味しいですのね♪」


一口目は、海苔とお米の味わいを楽しみ、二口目から、徐々に現れる主役。そして、三口目からは、その主役の晴れ舞台となる。

化粧で例えるなら、アイライン…アイシャドウ……そしてアイブロウ…

まさにこのオニギリセットは、乙女の心を映し出す三面鏡のよう…

わたくしは体重の事など忘れ、おかわりをしてしまいましたわ。


「ん?ああ〜クマのぬいぐるみになりましたのね」


気がつくと、しもべ達は何も喋らなくなっていましたの。

お腹もいっぱいになりましたし。しょうがないのでこの子達を連れて家に帰ることにしましたわ。


「いけませんわ〜、軽食のつもりが、しっかりと食べてしまいましたわ……はぁ〜〜、まさに悪魔のオニギリですわね〜〜」


わたくしは、ぬいぐるみになったしもべを連れ、今日は夜道を帰っていきますの。

明日から、また本気出しますわ。


ーーーーー


「マスタ〜、さっきのお客さん、おかわりしてましたね〜」

「時にはやけ食いも大事だと思うわ〜」


今日は可愛い悪魔がオニギリを食べて、嬉しそうに帰っていったわ〜。

その意地に、振り回されるってのも、悪くないわ〜

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