うちはエルフ、台湾ラーメンが美味いわ

うちはエルフ、甘い恋に憧れてる戦士。

今ダークエルフ先生に教えてもらって、森の中で、弓の練習中なの。


「やあ!たあ!」

「ほほぅ、だがまだまだ甘いな」


乱れ打ちで矢を飛ばしまくってやるわ!でもこれが、勝手に誰かのハートに刺ささらなければいいのだけど…

突然辛いものが食べたくなったので、噂の飲食店に行く事にしたわ。

ダークエルフ先生が奢ってくれるんだって。やった〜約束だよ!

うちはその飲食店を見つけると、ドアを開けて店の中に入る。


「いらっしゃいませ〜、何名様ですか?」

「俺はダークエルフ、エルフを連れてきたんだ」

「うちは、弟子のエルフでーす」

「かしこまりました、エルフ二名様ですね。マスター、お客さんで〜す」

「いらっしゃいませー」


うち達は、ウエイトレスさんに席へと案内してもらう。

先生と2人きりだなんて……素敵すぎる。


「先生…実はあたし…」

「辛いものが食べたいのだろ?わかっている」


うちはメニューを手に取ると、先生と見てみる。

[台湾ラーメン 辛さ調整できます]


ウエイトレスさんが、うち達にお水を持ってきてくれる。そして注文を聞いてくれたの。


「ご注文はお決まりですか〜?」

「そうだな、大人の台湾ラーメンを二つ」

「先生…、一緒に頼んでくれたんだ…うれしい!」

「かしこまりました。マスター、オーダーでーす。大人の台湾ラーメンを2人前でーす」

「あいよ」


先生は、厨房の中を見つめている。本当はこっちを見てほしいのに…

仕方ないので、うちは先生と一緒に作るところを見る事にした。


ーーーーー


まずは鍋を火にかけ、お湯を沸かしておく。

フライパンに少量のサラダ油を注ぎ、豚と牛の合い挽き肉を、弱火で炒めていく。

軽く火が通ったら、一度フライパンから炒めた肉を取り出しておく。

次に薄くスライスした玉ねぎを入れ、ひき肉から出た油で半透明になるまで炒めていく。

そしてもやしを投入し、軽く塩こしょうをまぶし、炒める。

もやしがしんなりしてきたら、取り出しておいた挽き肉を入れ、沸騰したお湯を注ぎ込み、調味料を加えていく。

豆板醤・濃口醤油・鶏ガラの粉末・料理酒・ニンニクのチューブを少々入れ、お湯を沸騰させる。

そして、荒く刻んだニラと輪切りにした唐辛子を入れ、軽く煮込む。

ラー油を数滴垂らして、スープは出来上がる。

別の鍋で、少し硬めに茹で上げた中華麺をしっかり湯きりし、ラーメンどんぶりに入れる。

まずは具材を器の中央に盛り付け、出来上がった熱々のスープをかけていく。

仕上げに、細切りにした白ネギ、糸唐辛子をトッピングで乗せて完成だ。


ーーーーー


「へいお待ち、台湾ラーメンができたわ〜」

「今とりにいきま〜す」


先生とうちの目の前に、ラーメンを置いてくれる。


「お待たせしました、台湾ラーメンで〜す」

「わ〜お、辛そう!でも美味しそうだ、わん!」

「俺は……負けない……」


うちはまず、レンゲでスープをすくい、飲んでみる。


「セェエエエエイ!うちに的中したわ!!」


一度飲むと、やみつきになる辛さ。でも辛いだけじゃない……

挽き肉から出た油の重みと、パンチのあるコクがあるなんて…

次にうちは麺をすすり、具材を口の中へと移動させる。


「ああ……まいう〜」


麺の弾力を邪魔しない程度に絡んでくるこの辛さと旨み…そして、ただの具だと侮っていたわ…こんなにも存在感があって……そして辛くなった口の中に訪れる一時の停戦協定……

先生……ごめんなさい……こんなにも辛い恋をするなんて…


「この恋は……甘くなかった…」

「俺は…この試練を乗り越えてみせる……」


先生がラーメンを全部食べた後、辛いから帰ると言って、先に帰ってしまったの。

でもうちは、この辛さに恋をしちゃったから、スープまで全部飲んじゃったんだ!

そんなわけで、うちは家に帰ることにしたの。


「まさか、刺さったのが自分のハートだったなんて……」


先生の嘘つき!奢るって約束したのに!でも、うちはこれからも矢を飛ばし続けるよ。一本だと折れても、三本なら折れないから……


ーーーーー


「マスター、さっきのお客さん、破魔矢はまやを置いて帰ったみたいですよ?」

「あらあら、縁起がいいわね〜」


エルフには喜んでもらえたけど、ダークエルフはなんか辛そうにしてたわね〜

背伸びでもしてたのかしら?

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