我はフェニックス、鶏の唐揚げが最高だ!
「マスター、今日のメニューはどうします?」
「いい鶏肉が入ったから、唐揚げにしよっか」
あたしは仕込みをはじめた。
ーーーーー
新鮮な鶏ムネ肉と、鶏モモ肉をそれぞれ、大きめに切っていく。
ボールを取り出し、まずは鶏ムネ肉から仕込んでいく。
ボールに鶏ムネ肉を入れ、軽く塩をまぶす。
すりおろしたニンニク・すりおろした生姜を加え、手で軽く肉に揉み込む。
次に、清酒・うすくち醤油・白だしを加え、軽く混ぜたあと、マヨネーズを加え、しっかりと揉み込み、肉に馴染ませる。
ボールにラップをして、冷蔵庫でしばらく寝かせる。
次に鶏モモ肉を仕込む。
ボールに鶏モモ肉を入れ、塩・ブラックペッパー・ニンニクのすりおろし、軽く砂糖を加え、肉に馴染ませる。
濃口醤油・料理酒を加え、同じようにしっかりと馴染ませていく。
こちらもボールにラップをして、冷蔵庫でしばらく寝かしておく。
仕込みは完了する。
ーーーーー
我はフェニックス、さすらいの不死鳥だ。性別は秘密だ。
最近は豆しか食べておらず、何か別のものが食べたいのだ。
こうして我は、噂では美味しいと評判のお店を探していた。
「ふむ…どうやらあそこのようだな」
我は不死鳥のように、格好良くお店の上をクルッと一周回ると、ドアの前に降り立った。
ドアを開け、店の中に入る。
「いらっしゃいませ〜、何名様ですか?」
「我はさすらいの不死鳥なり」
「かしこまりました!マスタ〜、不死鳥1羽様で〜す」
「おお〜いらっしゃい」
どうやら人間らしき娘に、席へと案内される。
フン、我が不死身である事を理解し、広々とした座敷にしたようだな。
我は不死鳥のように翼を大きく広げる。翼をコンパクトにして、座布団の上に座る。
メニューを見てみる。
[新鮮な鶏の唐揚げ]
ふざけているのか!!我に鶏を食わせるとゆうのか!!まったく腹立たしい!!
だが、豆には飽きているので、食べる事にする。
どうやら人間らしき娘が、温かいお湯を持ってきてくれると、オーダーを聞いてくれる。
「ご注文はお決まりですか〜?」
「我、鶏の唐揚げを求める不死鳥なり」
「モモ肉とムネ肉がございますが、どちらにいたしますか?」
「フム、我はその両方を食する」
「かしこまりました、マスター、鶏の唐揚げ、ダブルで〜す」
「あいよー」
ふむ、どうやら厨房の中が見えるようだ。お湯をストローで飲みながら、見てみるとしよう。
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事前に冷蔵庫から取りだし、常温に戻しておいたそれぞれの鶏肉に、たっぷりと片栗粉をまぶす。
別のトレーの上で、軽く片栗粉をはたく。
温めておいた、たっぷりの油が入った鉄鍋の中に、肉を優しく落とし込む。
油の温度は、濡れた
温度の下がりすぎに注意しなかがら、じっくりと唐揚げを揚げていく。
綺麗なきつね色になったところで、金網を敷いたトレーの上に唐揚げをのせ、余分な油をおとす。
お皿に盛り付け、付け合わせのレモンを添えて、完成である。
ーーーーー
「揚げたてよ〜、ミーリン持っていって〜」
「はーい、ただいまー」
人間らしき娘が、ホカホカの唐揚げを我の前に置いてくれる。同胞よスマン……だがその命、我は決して無駄にはせぬぞ。
「お待たせしました〜、こちらがモモ肉でこちらがムネ肉です。熱いので気をつけてくださいね」
「我は不死鳥なり、火傷など他愛もない」
我は唐揚げをじっくりと眺める。
これが、同胞達の生まれ変わった姿なのか……
なぜ……こんなにも美味そうな姿に……
我はまず、鳥ムネ肉の唐揚げを一口で食す。
「ーーこれは!?まさかーー!!?」
表面はカリっとしているのに、中はしっとりとした肉質。ダシに混ざり、噛めば噛むほどクセのない油がジュワっと口に広がる。
そうか……お前は…自由な翼を持つ鳥なのだな…
次に鳥モモ肉の唐揚げを一口で食す。
「なぜ……お前はこんなにも美味い……」
食べた途端、口の中に溢れんばかりの肉汁が広がっていく。そしてパンチの効いたその一撃を食す我の心にはまさに……同胞の叫びなど、もはや聞こえぬ……
「我に、お土産を与えたまえ!」
「ありがとうございます、またのご来店を心からお待ちしております!」
「まいど〜」
鳥の唐揚げをお土産で買ったので、我は再びさすらいの旅に出る事にした。
「同胞よ……お主らは我の中で永遠に生き続けるのだ。共に世界を旅しようぞ…」
口に咥えた大きな袋が、ゆらゆらと揺れている。
そして我の身体の中は、何かがメラメラと燃えていた。
ーーーーー
「マスタ〜、あのお客さん、めちゃめちゃお土産買っていきましたね〜」
「そうだね、また仕込んでおくわ~」
今日もまた、1羽の不死鳥が嬉しそうに帰っていった。
一口で食べてたけど、火傷してなきゃいいけどね〜
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