私ピクシー、ボンゴレビアンコが美味しい

私ピクシー。インスタ映えを求めて山の中を彷徨っているの。

でも飛び回っていたら、なんだがお腹が空いてきちゃったな〜。

あれ?あんなところにご飯屋さんがある?いってみよ~。

私はドアを開け、お店の中に入る。


「いらっしゃいませ~、おひとり様ですか?」

「ピクシーで〜す!彼氏募集中♪」

「かしこまりました、ご案内しますね。マスター、ピクシー1名様で〜す」

「いらっしゃいませー」


私はまあまあ可愛い人間の娘に、窓際の席に案内してもらう。あら?いい景色じゃない。

私はセクシーポーズを決めると、メニュー表を手に取る。

[好きなパスタ頼んで]


私は手鏡を取り出し、鏡にキャハ♪っとキメ顔をしてから、まあまあ可愛い人間の娘を呼んだ。

美味しそうな水を持ってきてくれると、注文を聞いてくれる。


「海が味わえるパスタで〜、オススメありますか?」

「それでしたら、美味しいアサリがたくさんはいった、ボンゴレビアンコはいかがですか?」

「じゃあそれください♪」

「かしこまりました。マスター、ボンゴレビアンコで〜す」

「あいよー」


あたしは水を一口飲むと、背中についてるハネを外し、壁に引っかけた。オシャレなんだけど、これ結構重いのよね。

あら?厨房の中が見えるわ?ボンゴレビアンコってどんなパスタなんだろ?

私は料理を作る様子を見ることにした。


ーーーーー


たっぷりの水が入った鍋に、塩を入れ火にかける。

同時にフライパンにオリーブオイル(エキストラバージン)を注ぎ、軽く潰したニンニクを入れ火にかける。

ニンニクを焦がさないように、オイルに香りをつけると、フライパンからニンニクを取り出す。

ここで、グツグツと沸騰したお湯の中に、表面がツヤツヤしたパスタを入れ、タイマーを1分短めにセットしておく。

次に新鮮なアサリを、貝がついたままフライパンに入れ、蓋をして蒸し焼きにする。

貝の口が開いたところで火を強め、フライパンをコンロから少し浮かせて、アサリにオイルを馴染ませながら炒めていく。

少量の白ワインを入れ、パセリを散らして再び煮詰めるように炒めていく。

さらに、オリーブオイル(エキストラバージン)

をかけて、オイルをしっかりと馴染ませる。

タイマーが鳴ったので、鍋からパスタを取り出し、そのままフライパンに入れる。

そのまま、アサリのソースとパスタを混ぜ合わせ、軽く水分をとばしたら、お皿に盛り付る。

仕上げにパセリと刻み海苔をまぶして完成。


ーーーーー


「ボンゴレビアンコできたよー。持っていって〜」

「は〜い、持っていきまーす」


まあまあ可愛い人間の娘が、わたしの目の前にボンゴレビアンコを置いてくれる。

香り…ツヤ…見た目…、全て映えるわ!でも、早く食べたい。


「おまたせしました、ボンゴレビアンコで〜す」

「いただきま〜す♪」


わたしは箸を手に持つと、まずはアサリを食べた。


「海よ…これは母なる美しさ……あぁ、いけないわ……」


シー・オブ・マザー・ビューティー・シェル……

プリっとしていて柔らかいのに、歯ごたえもある、そう………これが…母……

次に、パスタをすする。

なんてこと!!??貝から引き出された塩分が、パスタに絶妙な感じで絡んでいるわ……

そして、優しい自然のようなこの香り……これは……父……

あたし、こんな大事な事を忘れてたなんて……


「これが、愛!!!」


愛に気がついた私は、ご飯を全部たべたあと、歩いて帰ることにした。


「あちゃ〜、写真とるの忘れちゃったな〜。でも、いいの……心の中に、この思い出はいつまでも残り続けるから……」


心なしか、私の足取りはとても軽くなっていた。

まあまあ可愛い人間の娘、本当は結構可愛いかったよ。


ーーーーー


「マスター、お客さんが忘れていったハネ、どうします~?」

「うーん、困ったわね〜」


今日も、一人のピクシーを笑顔にする事ができた。

愛情って、大事よね~

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