俺はウルフ、ポトフが美味いぜ

俺はホワイトウルフ、気高き白き獣だ。

腹ペコの仲間達のために、なにか食べるものを探している。


「お頭、お腹が空いたよ……」

「すまねえ、俺がドジなばっかりに……」


俺はウルフだが、狩りが苦手だ。なぜなら運動音痴だからだ。

そうゆうわけで、飯が上手いと噂されているレストランに来た。

俺は仲間達を外に待たせ、店に入った。


「いらっしゃいませ〜、何名様ですか?」

「ホワイトウルフ100匹だ」

「かしこまりました。マスター、ホワイトウルフ100匹様で〜す」

「いらっしゃい」


俺は可愛い人間のお嬢ちゃんに、外にあるテラス席に案内される。天気が良くていいじゃねえか。

仲間達も、一緒に案内してくれた。


「お頭、メニューは任せます!」

「おうわかった、俺がバシっと決めるからよ。待ってな」


人間のお嬢ちゃんが、俺達に水を持ってきてくれる。

俺は渡されたメニュー表を見る。

[ポトフ]


「ご注文はお決まりですか~?」

「ああ、ポトフ大盛りで。ただしシェア出来るようにしてくれ」

「かしこまりました、マスター、シェアポトフ大盛りで〜す!」

「あいよ~」


窓から厨房の中が見える。それなら俺が確かめてやる、運動音痴でも視力はいいからな。

俺は椅子を踏み台にし、尻尾をパタパタさせながら、厨房を見つめた。


ーーーーー


鍋底にオリーブオイル(エキストラバージン)をたっぷりと入れ、細く刻んだニンニクを入れる。

鍋を火にかけると、じんわりとオイルを加熱していく。

オイルからニンニクの香りがしてきたら、スライスした玉ねぎを入れ、軽く塩をまぶし、半透明になるまで炒めいく。

食べやすいサイズにカットした、ベーコン・しめじ・エリンギ・まいたけ、を鍋に投入する。下味として、塩とブラックペッパーを軽くまぶし、炒めていく。

次に、くず野菜からとったスープ(出汁)を加え、表面に切り込みを入れたウィンナーをいれる。

そこからコトコトと煮込んでいき、最後に塩とブラックペッパーで味をととのえる。

お皿に盛り付けると、仕上げにパセリを散らして完成。


ーーーーー


「出来たわ~、ミーリン持っていって〜」

「はい、すぐいきま〜す」


人間のお嬢ちゃんが、巨大な皿に盛られた料理を、いくつも持ってきてくれる。

ばかな……俺たちホワイトウルフでも食べやすいように配慮されてやがる。そしてこの狼数にたいして、適切なお皿の枚数…完璧なシェアじゃねぇか。


「お待たせしました、シェアポトフ大盛りになりま〜す。大変熱いので、お気をつけくださいね」


俺は仲間達に待てをすると、皆の目の前に料理が行き渡ったところで、頂きますをする。


「さあ、喰らいつこうではないか!」

仲間達「いただきます!」


俺はまず、熱々のスープを舌で味わう。


「なんてこった……これが…俺の獲物……」


スープに溶け込んだ野菜の甘みと、ベーコンやウィンナーから滲み出た旨味が半端じゃねぇ…

俺は次にウィンナーをバクリと一口……これは!!!

燻製感があるくせに、まったく臭みがねぇ…これが……本当の狩りって奴なのか!?

仲間達も、泣きながら食べてやがるぜ………


100匹「クォォーーン!」


お腹がいっぱいになった俺達は、皆で太陽に向かってに吠えると、家に帰ることにした。


「ごちそうさま……お頭、ありがとう」

「いいんだ、お前達がお腹いっぱいになってくれるならよ……」


俺は毛がなくなり、軽くなった体で家に帰ることにした。きっと、すぐまた生えてくるさ。


ーーーーー


「マスター、さっきのお客様の毛、どうします?」

「う〜ん、熊よけにはなるかもね~」


今日は大勢のお客さんに、お腹いっぱいになってもらえたな~。

それにしても、尻尾を振りながら食べてた姿は、可愛かったな〜。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る