美味しい出前シリーズ

ワシは雷神、出前の餃子が美味いぞ!

ワシは雷神、雷を操る存在じゃ。

そして今日も雲の上で、天気予報に合わせ、雷を鳴らしておる。


「最近は天気予報と違うことをすると、ひどく怒られるようになってしもうたの〜、やれやれじゃ」


最近は歳をとってしまい、ワシの体力は落ちてきておる。

そろそろワシも引退を考えんとの〜。

それにしてもお腹が空いたわい、ほれ、バチや。


「おいっす、どうかしたんすか?」

「何か出前をとってくれんかの〜、ワシは腹ぺこじゃ」

「マジっすか!?マジ頼んじゃうっすよ?」


するとバチは、スマホを取り出し、電話をかけ始める。

ほっほっほ、ワシにはまったくわからんが、便利じゃの〜。


『はーい、モンスター・キッチンです』

「ちょっと〜、なんかぁ〜。出前たんのじゃってもいいっすか!?」

『はい、かしこまりました。ご注文は何にされますか?』

「なんかぁ〜、餃子がいいんすよぉ。29個くらい頼んでいいっすか?住所なんすけど、空の上7番地、雷山2丁目のーーー」

『ーー承りました。20分程で配達できるかと思いますので、お待ちくださ〜い』


電話を切ると、バチはどうやら。雷神の達人とゆうゲームをし始めた。

音楽に合わせて、何やら連鼓れんつづみをボンボンっと叩いておる。

ほっほっほ、楽しそうじゃの〜。

そしたらチャイムの音が鳴ったので、どうやら出前が届いたようじゃ。

ワシは玄関まで行くと、モンスター・イーツから餃子を受け取る。


「ほっほっほ、すでにいい匂いじゃの〜」


袋からいい匂いがしておるわい。ワシは餃子の入った箱をひとつ開ける。

すると、こんがり狐色の焼き色に、しっかりとした餃子の羽根がついておるわ。

ニンニクの良い香りもしっかりと感じる。

ワシは付属のタレ、ポン酢、からしを用意した。


「若い頃を思い出すの〜、いただきますじゃ」


まずは一つ、パクリと食べる。

なんじゃこれは!!もっちりとした皮の下から、溢れる肉汁。じゃがそれだけではない…キャベツのような甘味もあり、白菜のような水水しさも感じるぞ…

具材達が、見事にクラシックを鳴らしておるではないか!!

こやつ、只者ではない!!!これは若かりし頃の……


「オオオオオオォォォォォォ!!!!かぁああアアアア!!!!」


ワシの周囲に、稲妻が駆け巡る。衰えていた筋肉が…すり減っていた軟骨が…若返っていく。まだじゃ…まだ足りぬわ!!

タレ、ポン酢、からし……あらゆるパターンで餃子を食べまくる。

食べても食べても、飽きがこない。ならば和太鼓で勝負じゃ!!!

さらに筋肉は肥大化し、周囲に雷鳴が鳴り響く!!!


「雷神様!!何卒落ち着きください!!雷神さーーー」

〈ドンドンドンドンカッードンドンカッカッーかカカカカッ!〉


ワシはバチを握り取ると、体から溢れだすエネルギーを、連鼓にぶつける。

その舞いに、バチはマイッているようじゃがのぉ!!


「天気予報なぞ、知った事ではないわぁぁ!!はぁ〜はっはっは!!!!」


太鼓を叩くのワシの舞いに合わせて、周囲の雷鳴が共鳴しておる。


「ワシこそが、真の達人じゃろうてぇぇ!!」


これは後から聞いた話じゃが。どうやらこの時の稲妻が原因で、放送局に大量のクレームが入ったらしい。

ホッホッホ、人生は気長が一番じゃぞ。


ーーーーー


「マスター、外は何だか凄い雷ですよ〜」

「そうね〜まあそんな日もあるわ〜」


きっと、餃子を配達した先の客さんは喜んでいるわ。

だって、天気予報はコロコロ変わっても、料理の味に変わりはないもの

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