第18話 推し

絵を観に画廊に行った。

色々な絵画を見れて良かったと思うが.....その途中で俺は気分が悪くなり。

俺はその事で画廊の休憩室に居た。


それから甘い缶コーヒーを飲む。

結局.....まだ気分が悪いのな。こう言うの観ると。

思いながら俺は虚しい気分に駆られていた。

だけど勉強にはなった気がする。


「.....やれやれ」


そんな事をポツリと呟きながら俺は甘ったるい缶コーヒーを煽る。

するとスマホにメッセージが入った。

それは桃である。

俺は、?、を浮かべて桃のメッセージを開いた。


(杏の件です。あの子まだ横道先輩と付き合っているみたいです)


(そうなんだな。.....それは残念というか)


(残念ですね。まあでもこれが杏なんで。.....やっぱり無理だと思いますよ俊樹先輩。こんな事をしている限り杏は変わらないと思いますから)


(まあそう言えるが杏に声掛けてもダメだったか?)


(駄目ですね。そもそも先ず杏からは返事が来ません)


(そうなんだな)


俺はそう返事をしながらスマホを握り締める。

すると桃は、俊樹先輩。俊樹先輩はよく頑張ったと思います。.....だけどもう限界だと思います。アイツ言う事全然聞かないので、と文章を送ってくる。


その言葉に俺は、まあそうかもしれないが。でも最後までやってみたいから。取り敢えず明日来るかを賭けてみる、と言う。

桃は、俊樹先輩。無理はしないで下さいね。私も説得は取り敢えずしていますが、と文章を送信してくる。


(杏が来なくても失望しないで下さいね。私は行くつもりですが)


(しないよ。それはそれで納得だから)


(俊樹先輩は変わらずですね。.....まあその分惹かれたってのはあるんですが)


じゃあ今日は楽しんで下さい、と送ってくる桃。

俺はその姿に、そうだな、と文章を送信する。

それから俺は伸びをしてから外の景色を見つつ。

楽しんでいると思われる兎と長妻の。

兎にメッセージを送る。


(兎。有難うな。配慮)


(気にしないで。無理は良くないって思っていたから。休んでもらって良かった)


(つまらんだろ。お前にとっちゃ。.....一緒に居る長妻の様子はどうだ?)


(楽しんでない事ないよ?私に長妻さんが説明してくれるしね。.....長妻さんも私も楽しんでいるよ。有難う)


(そうなんだな。.....それは何よりだ)


俺はそんな回答をしながら缶コーヒーを置く。

それから天井を見上げる。

そして目を閉じてから考え込む。


ふむ、と思いながら。

長妻が教えてやっているのか。

それは有難いな。


思いながら俺は缶コーヒーを空っぽにして.....缶をゴミ箱に捨ててから周りを見渡してみる。

そこには色々な人達が話をしたりしていた。

俺はその姿を見ながら頬を両手で叩く。


「頑張らないとな」


そんな事を呟きながら歩こうとした時。

長妻からメッセージが来た。

それはこんな事が書かれていた。


角野先輩。角野先輩は兎先輩が好きなのですか?、と。

俺は、ぶっ!!!!?、と思いっきり噴き出す。

周りに白い目で見られた。

その事に慌てて俺は外に出る。


(お前な!?そんな事は無いからな!俺はあくまで桃の彼氏だ)


(それは分かります。その.....聞きたいなって思って。先輩の本心を。先輩が幸せになってほしいですから。それ優先で動きたいんです。.....応援したいんです)


(気持ちは分からんでもないが.....でもそんな事をする必要というかそこまでする必要無いぞ)


(.....私は兎先輩を応援したいです。推したいです)


(.....え?それは.....何故だ)


予想外の言葉だった。

俺が聞くと長妻は、先輩。.....私がそう思うのは山口さんの事がどうしても好きになれないっていうのもあります。ですがそれ以外にも兎先輩の方が一生懸命さがあるからです、と書いてきた。

俺は、!、と思いながら文章を読む。


(だから兎先輩を推したいんです。先輩の内心とは裏腹かもしれませんが。.....でも兎先輩を推したいです)


(お前.....)


(先輩に悪いって思います。.....でも私は.....一生懸命な人が好きです)


そんな言葉に何も言えなくなる。

それから俺は壁に寄りかかってからスマホの画面を観る。

スマホの画面がなんだか眩しく感じた。


そう考えながら、お前はそういう人が好きだからな。昔から、と打ってから送信してみる。

すると、はい、と返事を寄越した。

と同時にいきなり背後から。


「先輩」


と声がした。

俺はビクッとしながら背後を見る。

そこには複雑な顔をした笑みを浮かべる長妻が。

うん?アイツは何処に行ったんだ。


「.....ビックリしたぞ」


「ゴメンなさい。でも、という事です。私は兎先輩に勝ってほしいです」


「.....兎は?」


「兎先輩は今、トイレに行ってます」


「.....そうなんだな。.....それでお前だけか」


長妻は俺の側で壁を背にする。

それから俺をニコッとしながら見てくる。

俺はその様子に、アイツの気持ちも考えたいって思っているよ、と答えながら目の前の画廊を見渡す。


すると、そうなんですね、と長妻が話した。

そうしてから数秒間沈黙してから俺を真っ直ぐに見据える。


「山口さんも誤解は解けた今ですが。でも私はそうであっても.....やっぱり兎先輩推しです」


「.....そうなんだな」


「はい。.....でもこれから先もそうですがこういうのは先輩が全てを決めるべきなので推しだけ伝えた感じですね。アハハ」


「.....」


俺はスマホを仕舞いながら顎に手を添える。

それから天井を見てから、兎の事を慕っているんだな、と笑みを浮かべる。

すると、はい、と笑顔になる長妻。

俺はその姿を見ながら苦笑しながら絵を観た。

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SNSで30秒だけだが公開された俺の彼女?らしき人物の動画を偶然観てから俺は幼馴染と相談して..... アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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