第12話 すれ違う心(超改稿)
正直言って今の状況はあまり.....その。
曖昧だと思う。
全てが曖昧である。
何がと言えば.....色々、だ。
まあ結果から言えば俺のせいかもしれないが。
思いながら俺は生姜焼きを作った兎を見る。
すると兎は目を逸らした。
「いや、ちょ。こっち見ないでよ.....」
「す、すまん」
赤くなりつつ黙々とご飯を食べる兎。
何だコイツ畜生。
こんなに可愛い奴だったか?
有り得なさすぎるんだが。
思いながら俺はそのまま食べ始める。
それから俺はまた気付かれない様に兎を見る。
兎は嬉しそうにご飯を食べていた。
が。
耳が真っ赤だ。
☆
生姜焼きはかなり美味しかったと思える。
本当に上手だ。
思いながら俺は食器を片付けてからエプロンを取る兎を見る。
それから俺に向いてきた。
今日はご馳走様でした、という感じで。
そして笑みを浮かべる。
「.....なあ。兎」
「何?俊樹」
「.....今日、お前が来てくれて良かったかもしれない。何だか落ち着いて考える事が出来たと思う。.....割とマジに心がザワザワしていたから」
「桃の件は明日以降に考えるべきだと思う。今は考える事はしない方が良いよ」
言いながら柔和に俺を見てくる兎。
その姿を見ながら俺は、まあそうだな、と答える。
それから兎を見ていると兎は、私は.....俊樹を独占はしたい。だけどそれは出来ない。私があれこれ言える立場じゃないと思うから、と向いてくる。
そして、俊樹が決めてね、と笑顔になる。
俺はその顔に応える様に顔を上げる。
「兎。思い出したけど今日、美術室に行ったのは.....その。もう一度、絵をやり直そうって思ったんだ。今の感情を表現したくて。でも足が竦んだけどな」
「.....!.....そうなんだね」
「.....ああ。でもまあ色々あって曖昧になったけど」
「今は俊樹がしたい事をすれば良いと思う。桃はあれこれ言うけど俊樹は人形じゃないんだから。操り人形じゃないんだから」
「.....そうだな」
俺はそう言いながら顔を上げてから兎に笑みを浮かべる。
兎は俺に対して、感情表現が主に絵だからね。.....安心した。描きたいって言ってくれて、と笑顔で言ってくる。
その言葉に、すまないな。時間が掛かって、と話す。
すると兎はこう答えた。
「.....時間なんて気にしないし。幾らでも待つよ。.....私は描きたいって思った時に描いて貰えば良いって思っていたから。とても嬉しい」
「お前は優しいな。有難う。待っていてくれて.....」
「好きな人の事だしね」
「.....それは余計だ.....」
どうしても赤くなってしまう。
考えながら俺はパッと見上げて兎にチョップした。
それから、イテッ、という涙目になる兎を見る。
苦笑した。
そんな兎は、えへへ、と言いながら、もし再開して絵を描くとするなら何を描くの?、と俺に聞いてくる。
「.....さあな。一体、何を描きたいんだろうな。俺は」
「まあ殴り書きでも良いから先ずは下書きでも描いたら良いと思う」
「そうだな」
それから、じゃあ帰るね、と言ってきた兎。
俺はその姿を見て兎を見送ってからそのまま風呂に入ろうとした。
そして驚く。
何と風呂の用意がしてある。
俺は、!?、と思いながら、アイツめ、と思ってしまった。
こんな事までしていたとは。
全くな。
☆
お風呂は好きだと思う。
何故好きかと言えば孤独になれるから。
だから好きなのだが。
でも今は何かが違うんだろうな。
思いながら俺は風呂に入って自室に戻ってから窓から外を見ていた。
そして目を閉じる。
それから、!、と思って考える。
発作が起きた。
「.....!!!!!」
親から虐待されていたあの時。
全ては成績だと言われていたあの時を。
俺は額に手を添えながらそのまま汗を拭ってヨロヨロと横になる。
それから俺は考え込んだ。
目を閉じる。
「忌々しい」
そう呟いてから考えていると翌日になった様だ。
朝になっていた。
俺はハッとして起きてから台所に向かう。
コップに飲み物を注いでから飲んだ.....が最悪だ。
頭痛がかなりする。
「.....」
俺は必死に考え込む。
それから俺は俯いてから血圧を落ち着かせて今日の事を思い出した。
今日は小テスト.....があるが、と。
だがその事を思って過呼吸になった様だ。
何というか崩れ落ちた。
と同時にドアが開く音がした気がした。
お邪魔します、とも薄れる意識の中で声がした気がする。
それから数秒してから、俊樹!どうしたの!?、と声がした。
きゅ、救急車呼ぶ!?、と兎の声がしてくる。
俺は何とか頭痛の中、否定した。
「ま、待て。救急車は本当に救護が必要な人が乗るものだから。大丈夫だ。兎」
「.....で、でも.....」
「良いから。大丈夫。.....取り敢えずこれは。.....その。水をくれ」
「.....う、うん」
そして兎に渡された水を飲む。
それから俺は兎を見てみる。
兎は俺の顔を見ながら心配げな顔をしていた。
そんな姿を見つつ俺は起きあがろうとして足がガクンとなって滑る。
俺を兎が押し倒した。
「!」
「.....!」
俺は咄嗟に兎の頭を守って押し倒す形になる。
そして俺は意識がはっきりして目の前の兎を見つめる。
兎はみるみる真っ赤になっていった。
俺は、うわ!、と慌てて真っ赤になりながら慌てて離れる。
なんてこった!
「.....す、すまない!」
「.....い、良いよ。別に。今のは仕方がないでしょ」
一体女子に何をしているのだ俺は。
思いながら暫く兎の顔が見れずに心臓がバクバクになる。
そしてそのまま俺は紛らす様に時計を見る。
ヤバい。かなり時間が無くなっている。
これは最悪だ。
俺なんかの事で手間を取らせたな。
「兎。時間が無い。とにかく急ぐぞ」
「.....う、うん.....俊樹大丈夫?」
その言葉に俺は、大丈夫、と答えながら兎を見る。
兎はそのまま、そっか、とゆっくりと立ち上がった。
そして朝食の準備を始める。
困ったもんだな.....こんな迷惑を掛けてしまって申し訳ない。
思いながら俺は胸に手を添える。
そうしていると涙を浮かべて兎が泣き始め.....た。
え!?、と俺は思う。
俺はビックリしながら身構える。
そして聞いた。
「兎!!!?!」
「.....ゴメン。.....訳分からないや。何で泣いているのか。どっか頭とか打ったかな」
「.....」
涙を流す兎。
俺はその姿を見ながら複雑な顔をした。
そして考えてみる。
兎が泣いている理由.....。
何となく分かった気がした。
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