第8話 最高の絵とは(超改稿)

長妻織姫だが彼女は俺の後輩である。

俺に親しみを込めていた感じだ。

だけどそんな教えていた事も描いていた絵も全部俺は途中で辞めてしまい。


そのまま絵から身を退いた時、長妻は『私は先輩が最高の絵をまた描く時まで絶対に諦めません』と言ってから卒業式の時に涙を流していた。


そしてそれから1年ぐらい経った今に至るが。

桃と俺は結局、それがあって一緒に弁当を食べる事は無かった。

何が起こったか。

長妻が桃の事をビシバシ指摘したのである。


俺はその事もあって.....桃と食事する気分ではなくなった。

長妻が悪い訳じゃない。

だけど一緒に食べる気にはならなくなった。


そして教室に戻って来ると。

教室はザワザワしておりその中で兎が寄って来た。

ヒソヒソ声で俺の耳に言ってくる。

その、と言いながら。


『長妻さんが貴方を探していた』


その様な言葉を話す。

俺はその言葉に、そうか、と言いながら俺も何が起こったか説明した。

すると兎は唖然としながら、それって本当に?、と言ってくる。

それから複雑な顔をする兎。

そして、やっぱり桃、浮気しているんだね、と兎はイラついた様に言ってくる。


「協力を仰いでみる。.....それからだな、って思う」


「そっか。.....あ。俊樹。.....その。ご飯食べたの?」


「食べてないな。そういうのがあってな」


じゃあ折角だから一緒にご飯食べよう、と言いながら俺を見てくる兎。

俺は、そうだな、と笑みを浮かべてそれからご飯を食べる為に机をくっ付けてくる。

その嬉しそうな姿を見ながら俺は、何でこんなに嬉しそうなんだ?、と考える。

ふむ?


「まあこういう事もあるよね。えへへ」


「まあそうだな.....」


「ご飯の意見を聞きたいって思っていたから。丁度良かったかも」


「そうなのか」


「うん」


それから俺は弁当箱を広げる。

そこには卵焼きやらポテサラやらミニバーグがあった。

相変わらず美味そうな料理だ。


俺は、本当に随分と上手くなったなお前、と話す。

すると、そうかな。イマイチだよまだ、と嬉しそうに答える兎。

その姿に俺は手を合わせてから食べ始める。


かなり美味しいと思う。

まだ、味が絶妙、とは言えないがそれでも十分だと思う。

思いながら注目されていると思ったので顔を上げてみると眠たそうに兎はうつらうつらしていた。


俺は、兎。お前.....何時からこのお弁当作ったんだ、と聞いてみる。

すると兎は、うん?.....午前5時かな、と答えた。

そりゃ眠たいだろ。

思いながら俺は、部活は?、と聞くと。

今日は休み、と答えた。


「お弁当作る為に起きるとは.....お前の学力とか成績が心配だ」


「言ったでしょ。私は.....貴方を再起させるって」


「言ったけど。それじゃ意味が無いだろ。お前がお前自身を滅ぼしているんだが」


「私はどうでも良いんだよ。私は貴方の描いた絵が見たいんだから」


「いやいや。意味が分からん。その。絵なんて俺じゃなくても楽しめるし、俺の昔描いた絵が写真に残っていたりとかしてるからそれを観たりすれば良いじゃないか」


意味が分からない?じゃあ教えてあげる。

私は貴方が一生懸命に描いている姿が好きなの、と話してきた。

それで完成する絵もね、とも。


俺は、!、と思いながら兎を見る。

兎は頬を朱に染めていた。

何故.....そんな。


「私は貴方が(今)描いた絵が見たい。貴方が一生懸命な姿が見たい」


「.....」


「.....私は貴方が(今)描いた絵じゃ無いと嫌なの。それに俊樹はずっと絵で感情を表現していたでしょ。今はどうなの?」


「.....」


「.....私は待っているからね。.....ずっと最高傑作が描きたいって思うまで頑張るから」


笑みを浮かべる兎。

何でそこまで。

一体何故そんなに俺の今の絵が見たいのか。


そして俺の姿が見たいのか。

昔の絵でも十分感情を表現していると思うのだが。

思いながら居ると背後から声がした。


「先輩」


と。

そして背後を見るとそこに長妻が居た。

俺達を見ながら、先輩の絵が見たいのと先輩の頑張る姿が見たいのは私も同じです、と切り出してくる。

それから、師匠の絵が、と切り出してくる。

懐かしい俺のあだ名を言った.....。


師匠。


長妻によく言われていたあだ名である。

俺はその言葉に黙る。

そして兎を見る。

兎も期待の眼差しをしながらも柔和に俺を見ていた。

俺は2人の姿に溜息を吐く。


「.....また考えておくよ。.....でもさ。長妻。お前の場合はもう良いじゃないか。.....俺の手を借りなくても絵のコンテストで度々優勝しているし」


「本当にそれは凄いんですかね?」


「.....え?」


「私は師匠。それでもまだ貴方には遠く及ばないって思っています。この2年でまだ賞も1位じゃないダサいレベルですよ?小学生のしかも1週間で才能発揮した師匠。.....タッチもダメダメな私と比べて下書き無いまま絵の具で見事な絵を完成させる先輩。次元が違います。貴方には私は及ばない。それに貴方の描いた絵は絶対に誰にも真似出来ません。それに師匠。私達のこの思いは(絵)が全てじゃ無いんですよ」


「そうだよ。俊樹。絵が全てじゃない。そこら辺にアートなんかザラにある。.....様は(どれだけ人の心を揺さぶれるか)だよ」


するとその言葉を聞いていたクラスメイト達が、角野。お前ってそんなに凄い絵を描いていたのか?、と聞いてくる。

俺は目を丸くする。


そういや話して無かったかコイツらに。

思いながら、油断したな、と思う。

すると兎がニヤッとして立ち上がった。

それから大統領が宣言する様に言い始める。


「ねえねえ。みんな聞いて。.....俊樹はね。コンクールで50回以上優勝している。内閣総理大臣賞も何回も受賞しているし。実際に総理大臣に観てもらってる」


「「「「「マジか!?すっげぇ!!!!?」」」」」


「ちょ!兎?!」


「えへへ。良いじゃ無いですか」


長妻はそう言うが。

暴露し過ぎじゃねーか?!

思いながら慌てる。


すると女子達が、そういえば角野くんの写った新聞、昔だけど見た事あるよ!、と言い出してスマホでカタカタと検索し始めた。

そして当時の画像をみんなに見せる。

みんな愕然として、ああ!角野だったのか!!!!?、とか言い始めた。

オイオイ!?なんてこった!


「うんうん。これは良かったね。俊樹」


「良い訳あるか!お前の計画か!?全く.....」


「私の途中で思った計画でもあります」


「お前らな!?」


全くコイツら!

そう思いながら俺は額に手を添える。

そして盛大に溜息を吐いた。

墓穴を掘ったわけだな俺は.....、と思う。

簡単に秘密を暴露しやがって.....。

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