第7話 天使の囁きと悪魔(超改稿)

クラスマッチがある。

そのクラスマッチで活躍する委員になってみようと思いクラスで立候補した。

すると何故か兎まで立候補したのだが何故なのか。

それから兎はこう言った。


私は俊樹をサポートしたい。


と、であるが。

でも幾ら俺のサポートとはいえどうなっているのだ?

あの面倒臭がり.....と言っちゃなんだがこんな事に兎が立候補するなんて今まで無かった気がする。


そんな感じの首を傾げる思いを抱いていると昼休みに突入した。

俺は授業が終わってからご飯を買いに行こうと立ち上がる。

すると兎が呼び止める声がした。


「待って」


うん?、と思い俺は背後を見ると兎が何か鞄を漁っている。

それから何かを取り出して駆け寄って来た。

それは青い包みだ。


弁当箱?の様に見えなくもないが.....でも兎は今朝は朝食を作っていたのに弁当とか作る暇あったっけ?

思いながら兎に聞いてみる。


「これは何だ?兎?」


「お弁当に決まっているよ。そう見えない?」


「な!?」


「こういうの繊細でやっぱり苦手だけど私が今日は作ろうって思って。桃もここまで気は回ってないみたいだから」


「.....確かにな。だけどお前が作るとは思わなかったよ。今日はそんな素ぶり無かったから」


「そうだね。アハハ」


俺は苦笑しながら青い包みを受け取る。

そうしていると兎の友人達が寄って来た。

兎。彼ピーの為に作ったの?、と言いながら.....。

へ?、と思いながら赤くなる。


「な?!俊樹には彼女居るし!幼馴染として健康状態が気になるから!」


「またまたぁ。嘘じゃないの?アハハ」


「違うし!?」


「怪しいなぁ」


「違うから!?」


大慌てになっている兎。

そして俺の顔を見て溜息を吐いて冷静な顔をする兎。

それから、何ていうか。恋人になっても俊樹は偶にお弁当がコンビニ弁当だから。.....埋め合わせなの、とモジモジしながら答える。


その行動は別の意味に捉えられるぞ兎。

思いながらまた苦笑いを浮かべていると。

兎の友人達が、だ、そうですが?如何でしょう、と目を輝かせて俺に聞いてくる。

奪い愛ですか!?、と。

兎は、あうあう、と慌てながら抵抗する。


「止めてよ!?」


「まあでもこういう事をしてサポートしてくれるのは有難いよ。奪い愛じゃないよ」


その言葉を言うと兎の友人達は顔を見合わせた。

それから柔和になる。

そっかー、と言いながら、である。

だが諦めきれない様に俺達を見てくる。


「でもなぁ」


「お似合いだと思うけどなぁ」


そんな事を次々に言う。

俺はその言葉に汗をかいてしまう。

そうかな、と思いながら。

するとそんな事を思っていると奥の廊下の方から桃がやって来た。


それから俺と兎達を見ながら微笑む。

すいません。今日もご飯作れなかったから先輩に謝りに来ました。と.....。

その顔に俺は目を丸くしながら、まあそういう日もあるし気にする事はないよ、と返事をする。

そして兎を見ると複雑な顔をしていた。


その中でも笑顔の桃、困惑する俺。

何か知らないが三角図が成り立っていた。

それから兎は踵を返す。

兎の友人達と一緒に。


「今日は譲らないとね」


「.....え?」


「気を付けてね」


「.....あ、ああ?」


それから立ち去って行く兎達。

そして俺は桃を見る。

桃はお弁当箱を見ながら、それは.....兎先輩が?、と聞いてくる。

そうだな、と俺は言うと。


「そうなんですね。.....今日は作れなかった分。その分を埋め合わせをしてくれて有難いです」


「.....」


「あ。で。俊樹先輩。懸案の絵画を見に行くの答えをもらいたいですが」


「.....ああ.....すまない。結論から言ってまだ無理かもしれない。絵を観るのは.....」


何かまだ辛い。

そう言いながら桃を見る。

桃は、分かりました。じゃあその分、一緒にデートしませんか、と言ってくる。


その桃の何気ない言葉に何も言えなくなる俺。

それは、と思う。

でも。


「.....分かった。じゃあ週末に」


「そうですね。.....週末楽しみですね」


「.....」


「.....どうしたんですか?」


「有難うな。桃」


「?.....いえ?」


俺の言葉に桃は、???、となる。

その姿に俺は目線をずらす。

何を言ってんだかな、と思いながら。

すると桃はその様子にニコッとしながら俺の目線を追う様に回って来る。


「愛してます」


「.....!」


「お互いを認め合える。それって最高って思いませんか?」


「.....」


俺はその言葉に桃を見つめる。

すると桃はニコッとしながらゆっくり手を握ってくる。

それから、屋上、行きましょう。俊樹先輩、と言ってくる。

そんな言葉に俺は、あ、ああ、と返事をする。

そして歩き出すと。


「俊樹先輩。私はですね」


「.....何だ」


「.....貴方に出会えて良かった」


「.....」


何も言えなくなる。

それが本心だと信じたいんだけどな。

だけど。


思いながら俺達は屋上に向かっていると背後から、角野先輩、と声がした。

飴玉を転ばす様なふわふわした声。

俺はハッとして背後を見てから驚いた。

まさか、と思ったが。


「.....お前.....」


そこに長妻。

長妻織姫(ながつまおりひめ)が居た。


ゆるふわウェーブの首までの栗毛色の髪の毛。

顔立ちは穏やかな感じの身長が若干に低く童顔の美少女。

何と言うか桃と似ている部分がある。


するとそんな長妻が切り出した。


「この何ヶ月ずっと会いたかったですが.....ちょっと事情がありました」


「4ヶ月も事情があったのか?」


「色々ありまして。あのクラスに居るのは知っていましたが」


長妻は.....俺の弟子に該当する。

つまり美術部で絵を教えていた女の子であるがその女子がまさかこの学校に入学しているとは。

何故今更.....、と思っていると。

桃を長妻は睨みはじめた。


「先輩。.....山口さん。彼女から離れてほしいです」


「.....は?.....ど、どういう意味だ」


「その子は信頼出来ません。先輩の彼女とは言え、です。その様な事を言って申し訳ないのですが.....彼女は.....」


「.....???」


「.....私はあとちょっとで山口さんの事を知れます。全貌を」


「.....!」


その言葉に、!!!、と目を丸くして思う俺。

そしてそのまま桃をバッと見る。

桃は笑みを浮かべたまま俺達を見据えている。

それから、何ですか?それ。長妻さん、と柔和な感じで聞く。


「.....私。調べたんですよ。色々。怪しい噂があって。先輩の目を覚ましたくて.....。貴方の行動に違和感があるとも思いました。貴方は信頼出来ません。.....いくら学校の用事があるからと言って他校の生徒と彼氏が居るのに一対一で一緒に家に帰るのは如何なものですかね。根性ありますねそんなの」


「.....何.....」


桃はその言葉と俺の反応に少しだけ動揺した。

いや。ちょっと待てどうなっているのだ。

思いながら俺は汗をかく。

そして長妻を見てから、それは本当か、と聞いた。

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