(四)-2(了)
そこはちょうど急カーブになっていた。長万部方面から来た車のドライバーからはちょうど死角になっており、信雄が立っていることに衝突するまで気づくことができなかったのだろう。
信雄の体は宙に浮いていた。猛烈な体の痛みを覚えつつも道路の方が見えた。信雄に衝突した車はそのまま走り去って行ってしまった。
しかも信雄の体は森の方に飛ばされるのではなかった。道路がカーブになっているあたりの南側は崖になっていて森が途切れていたのだ。そのため、信雄はその崖に放り出されていたのだ。
恐らくはわずか数秒というほんの一瞬の長い時間の後、信雄の体は崖下の岩石に叩きつけられて弾んだ後、海に落ちた。そして体の痛みと息苦しさの中、信雄は意識を失った。
(了)
森を抜けた先で 筑紫榛名@9/8文学フリマ大阪 @HarunaTsukushi
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