(四)
福島信雄はついに森を抜けた。片道一車線の国道に出た。確か右が室蘭方面、そして左が長万部方面だ。
右の方を見ると遠くに光が見えた。車のライトだ。
信雄はやっと助かると思った。だから外灯もない道路の真ん中、センターラインを跨ぐように立った。そしてシャツを脱いで旗のように振り回しながら大声を出した。
すると発砲音がした。小道の方に人影があり、銃をこちらに向けていた。
振り回していたTシャツに穴が開き、飛んでいった。
室蘭方面からくる車のヘッドライトはまだ遠かった。
だから信雄は猟銃の人影から遠ざかろうと長万部方面へ走った。すると、突然目の前が眩しく光り、次の瞬間クラクションが聞こえた。そしてそれとほぼ同時に信雄の体を、激しく強い痛みが襲った。まるで体の中身がそのまま飛び出しそうな感じだった。
(続く)
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