(三)

 福島信雄は、先に走って外に出た高松瑞穂を追っていこうとした。

 しかし、瑞穂は暗闇で方向感が狂っているのか、闇雲に森の方へと走っていった。それは国道へ続く狭く森を抜ける道とは別の方だった。

「おい、そっちはダメだ!」

 信雄はそう声を上げたが、次の瞬間、空高くパーンと音が鳴った。爆竹か何かの破裂音のようだった。

 そして森にまさしく入ろうとしたところで、瑞穂は前のめりに倒れた。

 瑞穂が倒れたところに人影が見えた。手に細長い何かを手にしているように見えた。人影は瑞穂のすぐそばにきて立ち止まると、細長い何かを倒れた瑞穂に向けた。すると次の瞬間、細長い物の先が光った。続いて先ほどと同じく短い破裂音がした。あれは恐らく銃だ。猟銃か何かだろう。


(続く)

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