(二)-12

 信雄はその音に気づき、瑞穂の手を握ったままペンションへ走った。

 ペンションの入口を開けてリビングの中に入った。リビングには誰もいなかった。しかし寝室の方から音がした。何かの機械音だった。

 信雄たちはそちらの方を見た。ドアは開け放ったままになっており、リビングから寝室の中が見えた。

 中には人影が見えた。蘭子とは別の人影が。そしてその人影は、何かを持っていた。それはチェーンソーだった。そしてそのチェーンソーを、床に向けて回していた。そしてそのチェーンソーの先からたびたび赤い液体が真上に、右に左に弧を描いて飛び散っていた。

 人影は少しづつ前後左右に動きながらチェーンソーを下に向けて動かしているようだった。


(続く)

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