(二)-7

 それ以外左右を見回しても何もなかった。ましてや強い生臭い匂いの原因は見当たらなかった。

 食堂の窓の上には額に入った写真が並んでいた。色あせてセピア色になってしまっているが、それがアイスホッケーの試合やチームメンバーが並んでいる写真だった。

 信雄は奥に進むことにした。食堂があるということは厨房もあるはずだ。生臭い匂いはきっとそちらからなのだろうと思った。

 瑞穂の手を引いているが、食堂を進んで行くと、少しづつその手が重くなっていくのを信雄は感じた。

 信雄はそれでも彼女の手を引いて奥へ進んだ。そして厨房の中に入った。


(続く)

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