(二)-4

 咲来はモデル体型で、身長が一七〇センチあった。この露天風呂周囲で咲来が隠れられるとしたら、森の中くらいだろう。しかし、周囲に彼女の姿は見当たらなかった。どこへ行ってしまったのだろうか。

 ともあれ、なにかどうかしなければならなかった。しかし信雄は生まれて二十一年間、このような状況に直面したことがなかった。だからどうしたらいいかわからなかった。

 ともかくまずは警察に電話だ。そう思って半ズボンの後ろポケットに入れておいたスマートフォンを取り出して一一〇番通報をしようとした。しかし圏外でつながらなかった。

 それならば、管理人の所へ行かなければならない。

「管理棟へ行こう」

 信雄はそう言ってペンションの方へ戻った。

 瑞穂は「待ってよ」と信雄の後をついてきた。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る