(一)-8
諦めた大隅は、テレビのリモコンを人の座っていないビーズソファの上に放ると建物の出入り口ドアに近づいた。ドアに注意書きが書かれているのだった。
それを読むと、大隅は「食事は管理棟の食堂まで来てくれってさ」と信雄たちに聞こえるように言った。
「夕食の支度がどうなっているのか、確認してくるよ」
大隅はそう言うと、ドアを開けてそのまま管理棟の方へ向かって行った。
リーダー格の大隅が行ってしまったあと、蘭子と瑞穂は互いに札幌で撮った写真を互いに見せ合うなどしながら観光の感想などを話していた。
信雄はスマートフォンをネットにつないで動画でも見ようかと思ったが、携帯電話の電波が来ておらず、見ることができなかった。
(続く)
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