たまには小説の話をしよう

 今この文章を読んでいる人にも、純粋に楽しんで読めない本は有るはず。

(ボカロ曲のノベライズかぁ……解釈違いありそう)

(映画を小説にしたものがあるの? 映像見た方が良くね?)

 本棚の片隅には、そういった作品が何食わぬ顔で隙間を埋めている。

 作っている人に申し訳ないと思うが、実際心のどこかで感じているかもしれない。

――しかし、言い換えてみると意外と言葉にし辛かったりする。

「なぜ、その作品が苦手/好きなの?」って。

・流行っている/ランキングで上位だったから

・キャラの性格に癖がある

・表現が上手い など。

 ここで、心理学の知識をひとつまみ。

「人の記憶は『抽象化』されやすい」

 高級なカレーを食べて「美味しかった」と言い、素敵な人を見て「良い奴だ」と言い、テストの為に一夜漬けしたが(あ、やべっ忘れた)となるのはコイツのせい。

――まぁ、つまりは小説にも同じ現象が起きる。

(レビューの反応が良いが、単語が難しすぎる……何だよ框扉って。造語かよ)

(かっこいいファンタジー作品だ。しかし……置いてかれている感がある)

 こんな感情を抱いたら後は予想できる。

「どんな話なの?」と言われ好きなシーンがパッと出てくるが

「うーん。好みが分かれるね」の一言に尽きるだろう。実際は違うかもしれない。

 さて、ここまで読んで気持ちが萎えた人が居るだろうか。

 私も小説を書いてる身なので、読者に感情移入させるのはある程度得意かもしれない。違うかもしれないので、一つ試しに書いてみた。



 冷え込む空気を吸い込みながら、家の近くにある自販機へと足を進める。

「おっ」と声を出した先にはライトが照らしている一台の自販機。

 値段に指を指しながら、130円以下のあったか〜い飲み物を探す。

「コーヒー多くね……? あ、ココアあんじゃん」

――問題だ。この登場人物は何の飲み物を買った?



 そう、答えは「300円もするカニ雑炊」である。

(違う? ごめんごめん)

 しかし、実際には次の場面で何をしたかイメージが出来たはずだ。

・外が寒くて自販機がある▶︎寒気の現実世界

・口調が軽い▶︎陽気な性格かもしれない

・「あ、ココアあんじゃん」▶︎ココアの飲み物を買った

 読んでいて、ついていけてると感じた人が多かっただろう。

「抽象化する」のは、行間を勝手にイメージして埋めるメリットがある。

 応用すればストレスなく執筆ができるし、読む側も置いてかれる心配がない。

(叙述トリックなどでも良く見かける気がする)



 得られるものがあったかもしれないし、無かったかもしれない。

 最後にひとつ、伏線を回収しておく。

「文章の『3つ目』に想像通りの事を書いておくと、割と気持ちいい配置になる」



 さて、文章を書くのに満足したのでこの辺で切り上げる。

 おやすみ。

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教科書に載らないストーリーを完結する為に 平山キャラメ @fact_news_

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