第48話 勇者、魔王を討伐する。

 ――はるか、はるか昔のこと。


 この地に魔王と呼ばれる、邪悪な存在が現れた。

 その圧倒的な魔力に人々は太刀打ちできず、北の地から幾度となく訪れるその襲来に、怯えて暮らす日々が続いていた。


 ある日、一人の人物が国王から勇者の称号を賜り、魔王の討伐を任命される。

 歳は二十五。伴侶に恵まれ、三年前には一人の息子を授かったばかり。他を寄せ付けぬ剣技を持ち、魔力もまた人並外れていた。

 それでも、圧倒的な魔王の力にはきっとかなわない。その力量差を埋めるには、装備品に頼るしかないという結論に至った。

 鍛冶師、裁縫師、黒魔導士、白魔導士……。

 国内外から集結する、最高の知恵や技術を持つ人々。その持てる力を結集して作り上げられた、史上最強の装備品たち。

 ついに勇者は、魔王と対等に渡り合える力を手に入れる。

 人々の声援を受け、鎧、剣、兜の装備品を身に着けた勇者は、いよいよ魔王が住む城に向けて旅立った。


 ――中略。


 魔王の部屋で繰り広げられる死闘。戦力は互角。

 どちらが勝っても負けてもおかしくない、そんな状況。


(魔王に勝てるかどうかは五分五分。勝てればいいが、もしも負けてしまったら魔王を止められる者がいなくなってしまう)


 そう考えた勇者は決断した。勝ちに賭けるよりも、絶対負けない手段を選んだ。

 死闘を繰り広げながら、勇者の手によって少しずつ刻まれていく刻印。勇者は魔王が城から絶対に出られないように、ここに結界を張ろうと決めたのだった。

 三日三晩の戦闘が終結に向かう頃、結界はついに完成した。

 その結界とは、魔王に対して拘束魔法を唱え続ける効力を持つもの。魔王は城から出る術を失った。

 さらに半日の戦闘の後、相打ちと言っても過言ではないほどの僅差で勇者が勝利を収める。結果的に言えば、結界は不要であった……。


 しかしこの時の初代勇者の行動が、将来の子孫たちへのこの上ないプレゼントとなったのだ。きっと初代勇者は知らなかったはず、また三百年後に魔王が復活することになるとは……。

 初代勇者の施した結界は威力を弱めることなく、復活した魔王も拘束し続ける。

 魔王の復活に伴って魔物や魔獣が出没し始めたものの、結界に封印された魔王本体からの脅威に晒されることは永遠になかった。

 そして今日、初代の血を引きし勇者が、魔王城へ向けて旅立った……。



「あの死闘が繰り広げられたのが、ここか……」

「ここだねぇ……」

「あぁ、ここであるな……」

「あたしも寝る時に何度も読み聞かされたのよね……」


 この国に伝わる勇者の冒険譚。『知らない者を知らない』とまで言わしめる有名な話を、ついにたどり着いた魔王城を見上げながらマーニは思い浮かべた。

 マーニの独り言にみんなが賛同したことからも、各自同じ思いを胸にしているに違いない。

 伝説の装備品をまとった勇者マーニライトが、正面の大きな扉の前に立つ。

 一列後ろには、ここまでの苦楽を共にしてきた仲間たち。

 布鎧を身に着けて大きな両手剣を背負うリックが、マーニの真後ろで頭一つ飛び出す。その左には純白の薄手のローブを着たソフィ。右には軽装の革鎧に身を包んで、マーニの姉の形見のレイピアを腰に差すルシア。みんな、緊張の面持ちだ。


 ――魔王城。


 城と言っても、タクティア城のような立派な建築物には程遠い。

 堀があるわけじゃなく、城壁に守られているわけでもない。むしろ屋敷という言葉の方が近い。

 初代魔王が建てたと言われるこの城は、二千年の時を経ても今なお朽ちずにここに在る。初代勇者が戦闘中に張り巡らした結界と共に。

 今となっては魔王を幽閉するための施設、巨大な牢と言っても過言ではない。


「この中に、魔王が……」


 入口の大きな扉を押し開こうとするマーニは、その手を震わせた。

 それを見たリックが、マーニを冷やかす。


「いかがいたしたか、マーニ殿。怖じ気づいたか?」

「な、なに言ってんだよ。武者震いってやつだよ! そんなことよりも、本当にいいのか? みんなも突入するんだな?」


 道中でも、直前にも確認したというのに、マーニはやっぱり不安だった。

 これから始まる命懸けの戦いに、みんなを巻き込んでいいものかと。


「くどい。昨夜も申したであろう? 吾輩は命を落としたとしても悔いはないと。そして、無駄死にするつもりもないとな」

「わたしだって、昨夜の気持ちから変わってないよ」

「じゃ、じゃぁソフィ、無事に魔王を討伐できた時には……」

「はい、はい、忘れてないから。ちゃんと、検討『だけ』はしてあげますから」

「呆れたのよね。そんな浮ついた勇者についていくのは辞めようかつら」

「えっ? 今さらそんな……」

「冗談なのよね。絶対魔王をぶっ倒して、報奨金をぶんどってやるんだわさ」


 普段と変わらない会話をみんなと交わして、マーニの手の震えが止まった。

 大きく深呼吸したマーニは、そのまま大きな扉をゆっくりと押し開く。


「さぁ、行こうか。僕たち、四人の勇者で魔王を倒しに……」




 マーニが魔王城の中へ足を踏み入れると、そこはガランとした空間だった。

 シーンと静まり返った何もない空間は、そのまま奥へと続いている。魔物が襲ってくるどころか、マーニたちの足音以外は何も聞こえてこない。


「留守じゃないかつら」

「いやいや、そんなはずはないだろ……」


 不安に駆られながらも一行は奥へと進み、突き当りにあるもう一つの大扉へと到達した。

 扉に手を掛けたマーニは、ソフィ、リック、ルシアと、一人ずつ目を合わせて、その意思を確認していく。

 もう言葉はいらない。ここまで来たら、マーニも改めて問いかけはしなかった。

 みんなの想いを受け止めながら、マーニはゆっくりとその扉を開いていく……。


 ――そこは真っ白い壁に囲まれた、空虚と思える空間。


 部屋の奥には、玉座がポツンと一つだけ。

 そこには一人の人物……いや人ならざる者が、たった一体で腰掛けていた。

 頭には角が生え、肌の色は紫、目は吊り上がり、口は耳の辺りまで裂けていて、両手の爪は鋭く伸びている。

 黒いマントを羽織り、その左手に握りしめているのは、グリップの部分に宝珠がはめ込まれた老木でできた杖。

 魔王と呼ぶ以外の言葉を思いつかないほどに、イメージそのものの魔王。その体格は、リックと同じぐらいだった。


「よく来た、勇者。俺が魔王だ。まずは、ここへたどり着いたことを褒めてやる。だけど、なんで四人で来た? 勇者は一人で来るものじゃないのか?」

「それは……ちょっと、よんどころない事情ができたんだ。僕たちは四人合わせて勇者、それでいいだろ!」

「やれやれ、俺が三百年眠っている間に、また世の中が変わったのか……」


 言葉を交わしてみると、なんだか気さくな感じでマーニは拍子抜けした。これだったら、よっぽどリックの言葉遣いの方が魔王感がある。

 けれども、もちろん油断は禁物。言葉遣いと凶悪性に相関関係はない。

 マーニは他の三人に目くばせをすると、立てておいた作戦を実行に移す。


「さぁ行くぞ、みんな! リフレクション!」


 リフレクションの魔法を唱えて、マーニが先頭に立って駆け出そうとした瞬間、その標的である魔王が右手を突き出してそれを制した。

 魔法でじゃない。普通に言葉でだ。


「慌てるな、勇者。戦いに入る前に、一つ余興といこうじゃないか。それもそっちの得にしかならない余興だ。どうだ、やってみないか?」

「惑わされるでない。そのようなものに乗る必要などないぞ」

「ここまで来たら、やるかやられるかなのよね。遊んでる暇なんてないんだわさ」

「わたしはマーニの決断に任せるからね」


 どう考えても怪しい誘いだ。リックもルシアも断るべきだと言う。

 けれども少し興味の湧いたマーニは、話だけでも聞いてみることにした。


「乗るかどうかは内容を聞いてからだ。どんな余興なのか言ってみろ」

「今回の勇者は話がわかる奴みたいだな。よし、それじゃぁ……」


 魔王はゆっくり玉座から立ち上がると、両手を大きく広げた。


「今回の勇者の力量を見てやろう。お前が一番得意な魔法を、この魔王にぶつけてみるがいい。無抵抗でそれを受けてやろうじゃないか。お前はノーリスクで魔法一発分のダメージをこの魔王に与えられる。そっちに得しかない余興だろう?」


 魔王の言葉に動揺が隠せないマーニ。

 余裕の表れなのか、それとも罠なのか。言葉の裏の裏の裏まで考えると、迷いが生じてマーニは次の行動が起こせない。


「魔王がああ言っておるのだ、最高の力をぶつけてやるがいいぞ、勇者殿」

「罠に決まってるのよね。きっと魔法を反射させる作戦に違いないのよね」

「マーニの決断に任せるわ、気をつけてね」


 三者三葉の言葉は、余計にマーニを迷わせる。

 そんなマーニに、再び魔王から声がかかった。


「どうした? 魔王の名に懸けて誓うぞ。卑怯な真似なんて絶対にしない、と」

「魔王にそんなこと言われたら、余計信じられないよ!」


 疑心暗鬼のマーニ。けれども魔王が言う通り、その身体に強化魔法が掛かっている気配はない。それにもしも魔法が跳ね返されたとしても、こっちにだってリフレクションの魔法が掛けてある。

 考え続けても仕方がないと、マーニは覚悟を決めた。

 右手を突き出し、一番得意な魔法を魔王に向けてぶっ放す。


「――フォトンンン……バレットォ!」


 マーニの手から放たれた光の弾が、一直線に魔王へと突き進む。

 伝説の装備品たちの力によって威力を増した光弾。これは人生最高の一撃だと、マーニは放った瞬間に手応えを感じた。


 ――ドゴーン!


 爆裂音と共に魔王の腹の辺りに命中した光弾は、その衝撃で魔王を玉座へ着席させるように押し込める。その直後、役目を終えた光弾は四散した。

 シーンと静まり返る室内。

 マーニの魔法の効き目は、これから始まる魔王との戦いの目安になる。一同はそれを見極めるために、魔王の動向に注目した。


「ククク……。グフッ」


 軽く笑ってみせた魔王は前のめりに椅子から崩れ落ちると、床に顔を押し付けたまま動かなくなってしまった……。






★★ここで分割




 そして命中した腹を押さえながらゆっくり身体を起こすと、マーニを称賛し始める。


「くそ……今回の勇者がこれほどまでの実力とは。俺は力量を見誤ったか……」

「効いているではないか、でかしたぞ勇者殿」

「こうなったら一気に畳みかけるべきなのよね」


 魔王は膝を折ったまま、立ち上がれずにいる。

 展開が信じられないマーニは、逆に警戒心を高めて魔王の様子をうかがう。

 すると魔王はマーニを睨みつけながらも、怯えるように震えだした。


「このままではやられる。反撃だ、悪く思うなよ……ぐっ、しまった。魔力が、もうないだとっ!? 俺は事前に警戒しすぎたということか……」 

「魔王の魔力は枯渇しておるというのか?」

「マジック・アブソーブ! うん、魔力が吸い取れないってことは、枯渇してる証拠なのよね。三日間もあんなに膨大な魔力を放出してたなら、魔王と言えども枯渇して当然なんだわさ」


 確かに魔王の体からは魔力が感じ取れない。

 だけどマーニには、この出来過ぎた展開が罠としか思えない。


「みんな、ちょっと――」

「魔力が枯渇しておるのならば、魔王など恐るるに足りん。覚悟!」

「あたしの黒魔法の標的になってもらうんだわさ」


 リックは両手剣を背中から抜くと、容赦なく魔王に斬りつける。けれども魔王の皮膚は固く、そう簡単には傷つけることができない。

 ルシアは繰り返し黒魔法を唱える。詠唱に時間がかかるせいで実戦向きじゃない精霊魔法も試しているようだ。けれどルシアの残念な魔力では、魔王にさほどダメージを与えられていない。

 それでも塵も積もれば山となる。無抵抗の魔王に休みなく攻撃を与え続けた結果、数十分の後に魔王は瀕死状態に陥った。


「……さすがにこれは、おかしくないか?」


 マーニはパーティ全員を集めると、小声でみんなに話しかける。


「確かに魔王が弱すぎるが、裏を返せば我々が強すぎたということではないのか?」

「魔王の事情なんて知らないのよね。魔王に嫌気がさして早く眠りに就きたいのかもしれないのよね」

「でもマーニ、まだ油断しないでね?」


 相変わらず玉座の前でぐったりとしている魔王。流れ出ている青い血液のせいか、今にも体力が完全に尽きようとしている。

 その弱々しくなった声で、遺言らしき言葉をマーニにかけた。


「見事だったな、勇者よ。この俺にその顔を良く見せてはくれないか?」


 見事と言うには程遠い戦いだったけれど、勝利は勝利。マーニはそれぐらいの願いなら聞き入れてやろうと、勇者の兜の前面を跳ね上げた。

 すると魔王は、消え入りそうな声でさらに懇願する。


「……そ、それじゃ良く見えないだろ。その兜を脱いで、もっとよく俺に顔を見せてくれ」

「脱げるのであるか?」

「外しちゃって大丈夫かつら?」

「わからないけど、魔王は魔力が枯渇してるから回復はできないし、最後の頼みぐらいは聞いてやってもいいかなって」


 躊躇したものの、マーニは勇者の兜を脱ぎ去ることに決めた。

 マーニは両方の手で勇者の兜を掴むと、ゆっくりそれを引き上げてみる。するとあっさりと勇者の兜は脱げた。


「脱げた、な」

「魔王の魔力が枯渇したから、邪悪な呪力が放出されなくなってるのよね。きっとそれで脱げるようになったんだわさ」

「なるほどね。じゃぁ、魔王に俺の顔を見せに行ってくる」

「マーニ、兜邪魔でしょ? わたしが持ってようか?」

「いや、まだ何があるかわからないから、自分で持っておくよ」


 マーニが奥の玉座へ歩み寄ろうとすると、今度は突然魔王がそれを制する。


「ああ、よい、よい。そのままでよい。充分にその顔を見せてもらったぞ。今度はあれだな、兜を被った勇者の勇ましい顔も、もう一度見てみたいものだな……」


 勇者の兜を脱がせておいて、今度はまた被せようとする。

 どう考えても不自然な魔王の言動に、マーニはみんなの意見を求めた。


「……なぁ、みんな、おかしいと思わないか? これ」

「明らかに不自然なり」

「それに兜を被ったら、またあれなのよね」

「頼む、お願いだから。もう一度被ってみせてくれ。勇者の兜を被った勇者の姿をこの目に焼き付けなければ、死んでも死にきれないんだぁ」


 警戒するマーニに、魔王は必死に懇願を始めた。

 けれどもその必死さが胡散臭さをさらに強める。魔王に対してこの上ないほどに不信感を高めたマーニは、躊躇することなく討伐を決断した。


「完全に怪しい、もうとどめを刺そう」

「心得た」

「最大火力でぶっ放してやるのよね」

「みんな頑張って!」


 マーニの意見にみんな賛同する。

 その一つにまとまった意思を声に変えて、マーニが先陣を切って号令を掛ける。


「みんな、行くぞ。リフレクション!」


 魔法の詠唱と共に、マーニの身体が薄っすらと光に包まれた。その背後にリックが回り込み、特攻の陣形を形作る。

 ルシアは少し後ろで精霊魔法の詠唱準備。ソフィは耐性魔法や強化魔法を掛けて、魔王の反撃に備える。

 そしていよいよ、マーニが魔王に向けて特攻を仕掛けようとした時だった……。


 ――魔王が懐から小瓶を取り出して、その中身を一気に飲み干す。


 見る見るうちに体力を回復する魔王。そして魔王は元気よく立ちあがる。

 それを見て、マーニは慌てて特攻を中止した。


「ちょっと待って、攻撃中断だ。迂闊に飛び込むのは危険かもしれない」

「はぁ、今代の勇者もひねくれ者か。せっかく穏便に済ませようと思ったのに……。そっちがそういうつもりなら、こっちだって本気でいかせてもらうから覚悟しろ」


 魔王は完全に息を吹き返した。

 しかも今度の魔王の気迫は、手抜きなんて許されない雰囲気だ。


「みんな、これはちょっとやばそうだ。気を引き締めないとやられるぞ」

「承知した」

「どんとこいなのよね」


 本気を見せた魔王を相手にどこまで通用するのか試そうと、マーニは右手を突き出して一番得意な魔法を放ってみせる。


「フォトン・バレット!」


 マーニの手のひらから光弾が撃ち出される。けれどその大きさは握り拳大だった。


「くそっ、兜を脱いでるから威力が……」


 また兜を被れば身体が入れ替わってしまうかもしれない。けれどもこの貧弱な魔力のままじゃ、リフレクションだって魔王の魔法を跳ね返しきれないだろう。

 みんなの意見なんて聞いている暇のないマーニは、リスクを承知で勇者の兜を被り直すことにした。

 マーニは脇に抱えていた勇者の兜を再び両手で掴む。


「僕も本気でかかるから、みんなも覚悟してくれ」

「マーニ! 兜はやめておいた方が――」


 ソフィの忠告も聞かず、マーニは勇者の兜を被り直す。

 被り直しても入れ替わらないかもしれない、入れ替わってもまた自分の身体のままかもしれない、そんな一か八かの賭け。

 けれどマーニの賭けは裏目に出たらしい。

 兜を被った瞬間に目の前が真っ暗になり、再びマーニの身体は入れ替わった。

 一体誰に変わったのだろうと、マーニは咄嗟に眼前に手を差し出して確認をする。

 すると黒いガウンに、両手の肌は紫色、そして鋭い爪。これは……魔王?


「――どこへ行くつもりか、勇者殿!」


 聞こえてきたリックの声に、慌ててマーニは顔を上げる。

 その目に映ったのは、こちらに背を向けて逃亡を試みる勇者の姿。それをがっしりと、リックが腕を掴んで阻止していた。


「なにしてるのよね。最終決戦なのよね」


(あの勇者は……誰だ?)



 リックによって玉座に縛り付けられた勇者。その上、ルシアの魔法によって動きも封じられている。逃走を試みたその人物は、マーニと身体を入れ替えた魔王だった。

 その周りを取り囲むのはパーティの面々。二メートルの大男のリック、背の低い幼女のようなルシア、容姿端麗なソフィ、そして黒いガウンに角の生えた魔王となったマーニ……だ。

 結局あの瞬間、入れ替わったのはマーニと魔王だけ。

 取り囲んだ全員は今回の不可解な行動の説明を求めて、シュンとしている勇者の姿をしている魔王を問い詰めた。

 そして魔王は観念したのか、静かに口を開く。


「――わかった。すべてを話すとしよう」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る