7 元気な爺さん
翌日、俺は王殿横の庭で掃除をしながら、昨日タカシたちと話したことを考えていた
「しかし、聞くといってもどんな風に聞くか。。。死んでくれ、とも言えないし・・」
「なにをぶつぶつ言っておるんじゃ」
「わ、びっくりした、、、なんだ爺さんか」
「なんじゃとはなんじゃ」
「いや、すいません。 別になんでも、、、なくはないんだけど」
「なんじゃなんじゃ、はっきりせんな。 もっとしゃきっとせい、お主は軍師なんじゃから」
「いや、それ今関係ないし、ってか軍師のステータス出なかったじゃん」
「あーあれは、まあそうじゃったな。 で、なにを悩んでおるんじゃ」
「それは、、、」
俺は昨日のタカシの見解、つまり爺さんがいなくなれば、自分たちは元の世界に帰れるのではないか?という仮説を説明した。
「なるほど」
「まあ、とはいえ爺さんに死んでくれといも言えないし、どうしたものかと悩んでいた」
「ははは、お前はいい奴じゃのう。 あれほど戦場は敵と戦っておるくせに」
「はあ? それとこれとは別だろう。」
「そうなのか? まあよい。 そうじゃのう、ワシが死んだら帰れるかしれんのう」
「え? そうなのか?」
「ただ、ワシも死んだことがないから分からん。ははは」
「まあそうだよな」
「まあ、他の魔法、例えば雷魔法などは神から加護を受けた自然界、つまり精霊の力を借りて、生み出しておる」
「うん。」
「つまり、神が魔法を作った」
「なるほど」
「お主らを呼び寄せた召喚魔法は、自然界つまり神が作り出したものではない。 ワシが作ったのじゃ」
「じゃあ、爺さんが神様?ってわけか??」
「まあ例えが良いかは別として、わかりやすくいうとそういうことじゃな」
「じゃあ、タカシの仮説は、間違っていないのか?」
「そうじゃなあ。 理論としては間違ってはおらんな」
「じゃあ。」
「ははは、ワシはまだ長生きするつもりじゃぞ」
「そうだよね。爺さん元気だしな」
「まあそういうことじゃ」
「わかった。 タカシには適当に言っておくわ」
またその日の夕方、俺はタカシに、爺さんとの話をかいつまんで話した
「、、とまあ、そういうわけだから。 まあ爺さんも死んだことないから分からん、と」
「そうか・・・ でもそのお爺さんが召喚魔法を作った、ことは変わらないよね」
「まあ、そうだな」
「だとすると、、、やっぱり死んでもらうしか。。。」
「おい、タカシ、それはまずいぞ」
「でも」
「たしかに俺たちは戦場に出ている。 でもそれは仕方なく、だ。 自分たちの意志ではない」
「そうだけど、勝手にここに連れて来れられて、それはいいわけ?」
「まあ、そうだけど」
「それにアキラはわからないんだよ。 僕たちは実際に戦場で剣を振って相手を傷つけている」
「まあ、それを言われると、俺はみんなに指示を出しているだけだからな」
「ごめん。 そういうことを言いたいわけじゃなかった。 僕は、僕はただ帰りたいだけなんだ」
「タカシ、、、」
そのままタカシは涙を堪えたような声を出しながら、その場から立ち去っていった。
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